Intensive speech and language therapy in patients with chronic aphasia after stroke:
a randomized, open-label, blinded-endpoint, controlled trial in a health-care setting.
Lancet 2017;389:1528-1538
【目的】
脳卒中後慢性失語症患者に対する3週間の集中言語療法の有効性を検討した。
【方法】
多施設共同無作為化試験を行った。
対象は脳卒中後6ヶ月以上失語が遷延している18~70歳未満のドイツ語を母国語とする、基本
的な言語理解と指示動作に従える慢性失語症患者で、入院もしくは外来リハビリを行っている
ドイツの19施設で行った。
置換ブロック法でランダム化し、施設ごとに3週間週10時間以上集中言語療法を行う群と3週間
異なった言語療法を行う群に割り付けた。プライマリエンドポイントは両群における3週間後の
コミュニケーション能力をAmsterdam–Nijmegen Everyday Language Test(ANELT) A-scaleで
評価。解析はIntension-to treat法。
【結果】
2012年4月1日~2014年3月31日までの3年で158症例をランダムに割り付けた。2人が除外さ
れ、2人がfollow upからdrop outし、最終的に154症例を解析。集中言語療法群では有意に言
語コミュニケーション能力が改善した(2.61 point(SD 4.94) 95%CI 1.49~3.72)が、コントロー
ル群では改善しなかった(-0.03 point(SD4.04) 95%CI -0.94~0.88 between-group difference
Cohen’s d 0.58,P=0.0004)。
【結論】
3週間週10時間以上の集中言語療法は70歳未満の脳卒中後慢性失語患者に有効と考えられ
る。主なリミテーションは試験介入前のリハビリの効果の影響を評価できないこと、その他のも
っと効率の良い方法が存在する可能性があること。
失語は死ぬ気で訓練すれば何とかなるというお話。
脳領域の基本はやはりリハビリに尽きる訳だが、今回はそのリハビリの重要性がよく分かる論文。
要するにいい加減な短時間のリハビリをやってもあんまり意味がない訳だ。
それがRCTで示されたというのはかなり意義が大きい。それと同時に、SB623が出てきたから今後
どうなるか分からないよなぁ、などとも思う。失語とか高次脳機能障害には効果あるのだろうか?
少なくともSB623は麻痺には有効みたいだが。