梅雨の季節が到来しました。
夜はまだ過ごし易いかもしれませんが、本格的な夏は直ぐそこです。
近年、過ごし易いさわやかな春の気候は短く、むしむしと暑い亜熱帯のような夏の気候が長くなっていると感じられます。
飲食・睡眠・空調・運動等に気をつけ、五臓六腑のバランスを保ち、暑くて長い夏を一緒に乗り切りましょう。
東洋医学における病・季節・五臓六腑の関係 病の原因
東洋医学では大きく分けて、病が外から入る「外感病」と内から起こる「内傷病」とがあり、それぞれ六淫等と七情・飲食・労傷等が病因となります。
*六淫(風・寒・暑・湿・燥・火)
*七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)
季節・気候・(六淫)と五臓(六腑)の関係
春は温暖(風)・夏は炎熱(暑)・長夏は湿暑(湿)・秋はすがすがしく乾燥している(燥)・冬は寒くて乾燥している(寒)のが特徴です。
肝は風・心は暑・脾は湿・肺は燥・腎は寒をそれぞれ苦手として嫌っています。
肝(胆)気は春・心(小腸)気は夏・脾(胃・胃腸系)気は長夏・肺(大腸)気は秋・腎(膀胱)気は冬にそれぞれ旺盛になるのが正常なバランスです。
*上記の説明だけでは分り難いでしょうが、詳しいことはスタッフにお聞き下さい。
夏に体調を崩す原因と東洋医学的メカニズム
(*①~④の各数字はそれぞれに対応しています)
例年むしむしとうだるような暑さが続くために、
①冷たいものばかり飲んでしまったり、
②あっさりした素麺みたいな物ばかりたべてしまったり、
③クーラーや扇風機にあたりすぎたり、
④寝苦しさの為に夜更かししてしまったりしてしまう方が多いと思います。
その結果、胃腸の調子を悪くして、夏風邪をひいたり、身体がだるくて仕方なくなってしまう方も多い事でしょう。
夏風邪や夏場の倦怠感やむくみは、東洋医学的には脾(胃腸系)の失調によるものが多いと考えられています。
①胃腸は正常な体温の元で活動する為、必要以上に冷やされると働きが弱まり消化吸収力を悪くし、下痢になったり便秘になったりします。
②小麦粉食品は体に残りやすく湿熱を発生しやすく、脾が嫌う湿により脾(胃腸系)の機能を低下させます。
③体内にこもった熱は、汗や尿(春夏は汗・秋冬は尿)として体外に排出される水分と一緒に外に逃がされますが、熱を冷気や風で無理に押さえつけることにより、排出されるはずの水分が体内に湿として残り脾(胃腸系)を失調させます。
④東洋医学の考えでは脾で生成された血は肝に貯蔵され血流量の調節を受けますが、睡眠中に肝臓に貯蔵される血が睡眠不足で不十分な為、脾に血が行き渡らず脾の力が失調してしまいます。
* 脾(胃腸系)が弱ると腸内環境が悪くなり、免疫力も落ちます。下痢や腹痛などの胃腸障害を伴うことが多い夏風邪の原因となるウイルスにも感染しやすくなります。
東洋医学では、脾胃は気血(エネルギー)を作る源です。
機能が衰えるとエネルギーが全身に行き渡らなくなり、腹部膨満・腹鳴・下痢・消化不良・食欲不振・などが起こり、血色もわるくなります。
又、体液(津液)の停滞も起こり、むくみの原因にもなります。
その他、脱力感・脱肛・内臓下垂、血便・血尿・崩漏・月経過多・不正性器出血などの原因にもなります。
*治療穴としては、五月号でも扱った足三里・三陰交やその他の足の穴・腹部背部の穴・手の穴等に症状に合わせて鍼灸を施します。
養生法
①喉が乾く前にこまめに潤す程度の水分を補給するようにし、氷のものは急激に多量にはとらない。
②栄養バランスを考えてビタミン・ミネラル豊富な食事を心掛け偏食しない。
③クーラー・扇風機の冷気を直接受けないようにし、外気温との差を極力少なくする。
④③に気をつけつつ就寝時は無理にクーラーを我慢せず睡眠を充分とる。
⑤汗をかいたらこまめに着替えたり拭いたりしましょう。(湿った状態だと湿が体に入り込みやすいという事もありますが)体表の水分は蒸発する際に熱を奪う為、暑い夏でも知らないうちに体を冷やしてしまう事があります。
その上今はクーラー等で寒い室内環境の場所がたくさんあります。
寒湿による腰痛や関節痛・寝違いの原因になります。
当院では皆様の体調管理を全力でサポートさせて頂いてます。
ご自分で健康管理に気を使うのが第一ですが、気になる症状等が有りましたら、当院スタッフにご相談下さい。
東洋医学 玄武堂 松井 良介