2026年7月16日(木)に、神戸産学官交流会にて「海外委託先の品質保証と現場力向上」をテーマに、約100分の講演をさせていただきました。

講演では、私のこれまでの歩みや経験を交えながら、以下のようなストーリーでお話しいたしました。

  • 改めて自己紹介と事業紹介
  • ダニとカビと微生物との出会い
  • サラヤに入社して衛生管理のプロフェッショナルに(まずは手洗い!)
  • 神戸営業所長・総務部長・営業管理部長・購買管理部長を経て
  • 海外委託先の品質保証と現場力向上
  • 大阪・関西万博「ブルーオーシャンドーム」館長を経験して

本日は、講演でお伝えする一番の肝(エッセンス)である「ビジネスを成長させる5つの衝撃的教訓」を、いつも応援してくださるブログ読者の皆様にも特別にシェアさせてください!

品質管理とは、単にチェックリストの項目を埋めるルーチンワークではありません。目に見えない微細な生物の挙動を読み解き、国境を越えたパートナーと対話を重ね、経営資源を最適に配分する「高度な経営判断」なのです。

 

1. 「刺される」のは末期症状:0.4mmの隣人が教える予兆

ビジネスのリスク管理において最も警戒すべきは「目に見えない予兆」を見逃すことです。家屋に潜む0.4mmの隣人、ダニの生態系はこれを鮮やかに示してくれます。

  • 第1段階: 食品の粉などを好む「ケナガコナダニ」が大発生(まだ人は刺されません)
  • 第2段階: それを餌とする捕食者「ツメダニ」が到来
  • 第3段階: ツメダニが誤って人を刺し、初めて「痒み」などの被害が表面化

つまり、「ケナガコナダニの発生は、刺される被害の『予兆』」なのです。 0.4mmという見えない段階でリスクを察知し、芽を摘む。クレームという「刺される被害」が出てから慌てるのではなく、目に見えない予兆で手を打つ「先行的監査」こそがビジネスリスクを最小化します。

 

2. 「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」

除菌や殺菌を機械的に繰り返すだけでは、真の衛生管理(HACCP)は実現しません。 大切なのは「相手(微生物)の顔」を深く理解すること。その菌はどんな環境を好み、何に弱いのか。相手を知り、自らの現場の特性と照らし合わせる知的なプロセスを経て初めて、科学的根拠に基づいた「無敵の管理体制」が構築されます。

 

3. 監査は「警察官」ではなく「医師」のスタンスで

海外委託先の管理で陥りがちな罠が、主従関係による品質の押し付けです。委託先は下請けではなく、共に成長するパートナーです。

  • ❌ 警察官のスタンス(違反摘発型): 一方的に指摘し罰する。対話のない「ドッジボール」は現場を萎縮させ隠蔽を招きます。
  • ⭕️ 医師・教師のスタンス(改善指導型): 現場の「病巣」を共に特定し、理由を丁寧に説く。対話に基づく「キャッチボール」です。

パートナーの現場力向上を自社の利益と捉える、医師のような誠実な姿勢が盤石なサプライチェーンを築きます。

 

4. 「品質はコストダウンの源泉である」

「品質を上げればコストも上がる」は一面的な理解です。 不良による「失敗コスト」と、検査や教育への「予防・評価コスト」。この2つを組み合わせたトータルコストが最小となる【最適点】を見極めるのがプロの仕事です。 不良ゼロを盲目的に追い求め、予防にコストをかけすぎる「過剰品質」は、時に企業の競争力を削ぐ毒となります。経営リソースをどこに集中させるかを見極めることこそが真理です。

 

5. 結論:手洗いという「原点」に立ち返る

高度なシステムや経営理論を構築しても、最後に行き着くのは驚くほど基本的な「手洗い」という動作です。どんなに素晴らしい仕組みも、現場の指一本の洗い残し(汚染)がすべてを無に帰します。

品質とは、目に見えないものへの想像力と、最も基本的な動作への誠実さから生まれるもの。その原点こそが、ビジネスを真の成長へと導くのです。

ブログ読者の皆様も、それぞれの現場の「原点」を大切に、今日も1日ご安全に、明るく元気にいきましょう!