1. 「いつの間にか、父と同じ場所に座っていた」
定年退職して家にいる時間が長くなると、不思議な変化が起きました。 夕方5時。気がつくとテレビをつけて、大相撲を観戦している自分がいるのです。
現役時代は、この時間はまだ仕事の真っ最中。早く帰れても夜8時、遅ければ深夜。晩飯を食べて風呂に入って寝るだけの繰り返しでした。相撲なんて、昔は「親が見るもの」だと思っていたのに、今では手に汗握って応援しています。日曜夕方の『笑点』も同じです。あのお決まりのテーマ曲を聴くと、なんだかホッとする。
「自分も、あの頃の親父と同じ年齢、同じ行動をしているんだな」と、ふと笑ってしまいます。
2. 「7キロのゴミ拾い」と「AI駆使」の新しい日常
生活のリズムは変わりましたが、中身は意外とハードです。 朝はメールをチェックし、仕事の依頼を待つ。仕事がない時間は、AIを駆使して文献を検索し、次の活動のための資料整理に没頭します。
そして、健康維持のための「7キロウォーキング」。冬の寒さの中、気合を入れて出発し、1時間半かけてゴミを拾いながら歩きます。帰宅して汗をぬぐい、風呂掃除を済ませて、やっと「相撲」の時間。
昔の親も、こうして一日を終えて相撲やニュースを見ていたのでしょうか。今ならその気持ちが少しわかる気がします。
3. 「ランチの空気感」と、テレビへの違和感
昼間、家にいることで直面する「定年あるある」が、奥さんとの昼食です。 毎日献立を考える奥さんの、なんとも言えない「困った空気感」……これには冷や汗が出ます(笑)。
そんな昼食後に楽しみにしているのが、NHKの『ばけばけ』の録画です。ストーリーに引き込まれ、「もっとこういうドラマが増えればいいのに」と感じます。
一方で、民放のトーク番組には違和感を覚えます。どの局も同じような内容で、視聴者の価値観を無視しているように見える。YouTubeの方が面白いと感じてしまうのは、私だけでしょうか。
4. 品質保証のプロが考える「番組作り」と「商品作り」
私は長年、品質保証や衛生管理の現場で、常に「お客さん視点」を徹底してきました。 番組作りも、商品作りと同じはずです。ターゲットとなる視聴者が何を求めているのか、今の時代に何が必要なのか。
「売れない(視聴率が取れない)」のは、作り手の都合が優先され、マーケティング(顧客視点)が欠けているからではないか。
そんな中、テレビ東京の『YOUは何しに日本へ?』や『世界!ニッポン行きたい人応援団』には、独特の「熱量」と「視点」を感じます。そこには、他局にはない「こだわり」という名の品質があるように思うのです。
結び
生活スタイルは「親」に似てきましたが、モノを見る目は今も「現役のプロ」のままでいたい。 ゴミを拾い、資料を整理し、相撲を見て、鋭くテレビを分析する。 そんな私の新しい「現場」は、まだまだ発見に満ちています。
かつて親がテレビの前で相撲観戦して一喜一憂していた姿は、一日を誠実に終えた後の、最高のご褒美だったのだと今なら分かります。