年末年始の高速道路の渋滞もひと段落ついた。
今回も所により激しい渋滞が発生していた。
私もこの年始に激しい渋滞に巻き込まれたのであった。
車を運転しているとこれまでも幾度となく渋滞に巻き込まれたことがある。
その時いつも渋滞の先頭はどうなっているのかと疑問に思う。
渋滞を経験したことがある人は誰でも思うことであろう。
私はこの疑問を解明したいと思った。
そしていろいろ調べたのである。
「渋滞学」という渋滞を科学的に分析した本もあり読んでみた。
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この本では、車だけでなく、人、アリ、通信、航空機など様々な渋滞を分析している。
 
国土交通省の試算によると、渋滞による経済的損失は年間12兆円にも上る。
これは国の予算の約八分の一にあたる。
本来別に使われるべき時間が、渋滞により奪われるのである。
 
そもそも渋滞とは。
高速道路では時速20キロ以下になった状態をいうそうである。
では渋滞の原因は。
ある高速道路会社の調査によると、渋滞の発生する原因、発生する場所として、
サグおよび上り坂がもっとも多く約55パーセントを占める。
サグとは下り坂から上り坂に変るところ。
次いでトンネル入り口。約23パーセント。
インターチェンジ、ジャンクション合流部が約10パーセントとなっている。
これらの場所では車の速度が低下し、後続車はブレーキを踏み安全な車間距離を保とうとする。この連鎖により交通量が多い状態だと渋滞が発生するのである。交通量が少ないとこういった場所でも渋滞にはならない。
つまり渋滞の多くは、道路構造、状態と人間の反応・心理、交通量などが合わさった形で発生するといえる。
 
渋滞のメッカと言われるのが、中央道の小仏トンネル、東名の大和トンネルなどであるが、ここはいずれもトンネルで上り坂という条件が重なった場所である。
いずれも良く通る場所であるが、小仏トンネルは東京方面に向かう場合、トンネルのだいぶ手前で流れが悪くなり、渋滞が始まる。そして上り坂のトンネルの渋滞を抜け、トンネルを出たら急に流れだし渋滞が解消する。
トンネルの出口が上り坂のピークになっている。
こんな経験をたびたびした。
つまり渋滞の先頭はちゃんと普通の速度で走っているのである。
これは交通集中による渋滞であり、事故などで車線が規制される場合は状況が変わる。
これで小仏トンネルの渋滞の原因は解明できたのであるが、しかし原因が分かったとしても急に渋滞が解消するのにはいつも不思議な感じがする。「あの渋滞はなんだったのか」と。
原理からいうと、そういった場所でもすべての車が速度落とさず一定の速度で一定の車間距離を保っていれば渋滞は発生しないはずなのである。
 
かつての渋滞の発生場所のトップは料金所であった。
ETCの導入によりそこでの渋滞は大きく改善された。
構造を変えることによる渋滞が緩和された例である。
しかし上り坂や、トンネルの構造を変えるのは至難の業である。
そこで高速道路会社では渋滞緩和三原則を呼びかけている。
1、サグ部や上り坂、トンネルの入り口で速度を低下させない。
2、車間距離を詰めない。
3、追い越し車線に集中しない。
いずれもブレーキを踏むことによったり、車間距離が詰まることで渋滞の原因になることを防ごうというものである。
1、については最近「ここから上り坂」「速度低下に注意」といった案内板をよく見かけるようになった。
2、は道路上に車間距離確認のマークがある。
3、については以前から中央道に入る手前の首都高速で「左車線キープ」という案内板をよく目にするようになった。何のことかよくわからなかったが、最近その下に「渋滞対策」という文字が加わった。
つい速く走れると思い、追い越し車線に車線変更しようとするのであるが、これが結果的に渋滞を招くらしい。
渋滞時一番右側車線が速いと思うのであるが、一番左の車線が結果的に早いという調査もあるようだ。
 
いずれにしても、高速道路で激しい渋滞が予想されるのは、週末、行楽シーズン、帰省しシーズンと時期はある程度決まる。そして渋滞する時間もある程度一定の時間に集中する。それをうまく外せばいいのであるがそうもいかない。そしてそういう時には普段あまり高速道路を乗り慣れないドライバーも集中する。一層渋滞に拍車をかける。
これは東名、中央、関越といった高速道路の一般的なことであるが、首都高速や一般道ではまた違ってくる。
首都高についてはまた改めて取り上げてみたい。
一般道の渋滞は多くは信号待ちによる。
赤信号で止まって、青になり一台の車が動き出すのに要する時間は約1.5秒といわれる。自分の車が何台目かによりどれぐらいで信号を通過できるかがだいたい予測できる。青になっている時間により何台通過できるかも予測できる。むろんこれも道路状況、交差点や右左折の状況により異なる。
 
渋滞にはまったら、運のつき。
イライラしないで、音楽やラジオを聴いたり、大声で歌ったりと気を紛らわしたいが、それができないことが多い私は、渋滞についていろいろ研究することで、いろいろな発見があり気晴らしにもなる。
渋滞を楽しむのである。
でも渋滞は無いに越したことはない。