今日の朝日新聞の天声人語でわが故郷島根県の話題が取り上げられていた。
めったに取り上げられることがないので興味深く読んだ。
内容は筆者が日本橋にある島根県のアンテナショップを訪れたときの話題。
人気商品「自虐カレンダー」について。
自虐ネタのオンパレード。
「オリンピックを2200年に、島根に招致!」「島根って、鳥取のどの辺?ってきかれた」「定休日じゃないです。人がいないだけです」「本社どころか、支社も少ない」極めつけは「日本で47番目に有名な県」といった具合だ。
以前島根県の位置を示したTシャツも売られた。
知名度の低さを逆手に取った戦略。これが返って功を奏しているとのこと。
島根県は選挙の投票率が高い。国政選挙では常に全国でもトップである。これは自慢できることと思う。
投票率が高いのは田舎の証拠と言われそうだが。
私は紛れもなくその島根県出身なのである。その匹見町で中学まで育ち、高校時代を益田市で過ごした。
東京で島根県出身者に遇うことはまれである。
出身を聞かれて島根県といって理解する人はいいが、位置がわからない人には鳥取県の隣、といっても鳥取の位置がわからなければ話にならない。鳥取の左で、広島県の上。これが精いっぱい。
ましてや益田市となると島根県の最も西で萩と津和野に近いところ。
匹見町となるとさらにそこから山の中へ向かうこと40キロあまり。おわかりいただけたろうか。
何が名物ですかと問われると、いろいろあっても驚くほどのものもの無いので、「手つかずの自然がいっぱいあります」ということにしている。
 
私はその故郷を、郷土をこよなく愛している。その伝統、自然や風景、人情、食べ物などなど。
18歳で故郷を離れ憧れの東京に出てきた。すでに東京での生活がはるかに長くなってしまった。
故郷を想う心は歳を重ねるにつれてさらに強くなっているように感じる。
童謡や唱歌、故郷を歌った歌謡曲などを聴いて思い出すのはやはり生まれ育った故郷の情景である。
そんなに故郷がいいのなら帰るべきではと言われたこともある。返す言葉もないが、生活できなければどうしようもない。室生犀星の詩の一部を取り出して「ふるさとは遠きにありて思うもの そして悲しくうたうもの」と格好つけたりもする。
 
帰郷する機会は少なくなったが、東京では、
アンテナショップを訪れて買い物をしたり、街で島根産のものがあれば進んで買ったりする。
郷土芸能の「石見神楽」の東京公演があれば観に行ったり、こうして故郷のことを話題にしたりと。
私の郷土愛というものはたかだかこんなものでしかないのであるが。
 
教育基本法が改正され新たに「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」という文言が加わった。      
私の郷土を愛する心は、そこでの遊びや、生活、暮らし、自ら学んで身についたものと確信する。
決して教育で教えられたからではない。そこに愛すべき対象があれば自ずと愛着がわくものと思う。
愛国心という言葉すらないが、国についても同じことだ。
 
今の政治家、特に2世3世議員は、東京で生まれ育ち、東京の学校を出て、選挙区は親の出身地という人が多いようだ。
そういった政治家にとやかく言われたくない。