2020年の東京オリンピック開催が決まった。
最近はこの話題で持ちきり、今日もにぎやかである。
日陰育ちのひねくれ者の私にはこうした光景は眩しすぎ、背中を向けて歩くのでございます。
そこで静かに音楽で東京オリンピックを振り返ってみたのである。
1964年の東京オリンピックに合わせてテーマ曲がつくられた。
「東京五輪音頭」。
作曲は音楽界の大御所、古賀政男である。
東京の前のオリンピックはローマで開催された。
古賀は東京オリンピックの前年ヨーロッパを旅行し、ローマも訪れていた。
作曲の依頼を受けた古賀は自伝で「「東京五輪音頭」の詞を渡されたとき、私の脳裏には、あのローマの光景があざやかに思いおこされた。再びよみがえった感動をもとに、私は一気にメロディーを書き上げたのであった。」と述べている。
 
ハアー
あの日ローマで眺めた月が(ソレ トトントネ)
今日は都の空照らす(ア チョイトネ)
四年たったら又会いましょと
かたい約束夢じゃない
ヨイショコーリャ夢じゃない
オリンピックの顔と顔
ソレトトントトトント顔と顔
 
鉦や太鼓が入ったまさに日本の伝統の音頭に仕上がった。
この曲は三波春夫の歌で知られているが、実は当初は競作であった。
最初に歌ったのが三橋美智也。
その後レコード各社が競って発売する。
歌ったのは、三波春夫、橋幸夫、北島三郎と畠山みどり、坂本九など6社の競作となった。
結果的に勝利したのは三波春夫であった。
坂本九が歌っていたのは意外であった。
三橋美智也の歌もなかなか良かったがやはりこのような歌は国民的歌手の三波春夫が一番よく似合う。
ちなみに三波は1970年の大阪万博のテーマ曲「世界の国からこんにちは」も歌った。
この曲も坂本九などとの競作となったが、またしても三波が勝利する。
 
そしてもう一曲は開会式での入場行進に流れた「オリンピック・マーチ」。
作曲したのは日本のマーチ王ともいわれる古関裕而。
この曲を聴くと入場行進の様子が目に浮かぶ。
無論私は当時まだ三才、直接目に焼き付いているわけではないが。
晴天の国立競技場にこの曲が流れ、各国の選手団が入場する。
実況のアナウンサーが「心も浮き立つような、古関裕而作曲のオリンピック・マーチが鳴り響きます」と。
最後に赤と白のユニフォームの日本選手団が入場する。
古関裕而はこの曲について「「日本的なもの」という要求であった。各地の民謡や越天楽も「日本的なもの」には違いないが、私はこれを曲想に活用することは考えなかった。また「君が代マーチ」や「軍艦マーチ」を参考にしようとは全く思はなかった。」と回想している。
そして古関裕而の得意とする西洋のクラシックをベースにし、世界のスポーツ、平和の祭典にふさわしい躍動感あふれる曲が誕生したのである。
イメージ 1
 
あくまで日本的な「東京五輪音頭」、世界を意識した「オリンピック・マーチ」
この二曲が東京オリンピックを盛り上げ、花を添えたことは間違いない。
 
さて2020年の東京オリンピックにはどんなテーマ曲がつくられるであろうか。
時代も変化している、最近の流行り歌もいいが、私としては一曲は日本の伝統的な「新東京五輪音頭」のようなものがあってもいいのではと思う次第である。
 
こういうことを言う私も やっぱり古ーい人間でござんしょうかねぇ