みんな一斉に『ワー』って、何の前ぶれもなく突然、二つの石が天井から落ちてきたんだから、そりゃてっぺんの扉に石がくっ付いて取れなくなっていたのは、みんな知っていたけれど、まさか取れて落ちてくるなんて思っていなかったから、驚いた。

『石が落ちてきた、父さんと母さんの石が』って、ホープ君

『じゃあ、今まで歩いてきたのは、地軸が元に戻るとかじゃなくて、石がホープ君のところに戻るためってことか、もう一度振り出し』って、僕が言うと

『そうよ、簡単だったもの』って、愛ちゃん

『確かに』って、空君

『簡単じゃなかった。僕の目は、皿のように』って、僕が言うと

『元ちゃんの目、皿になっている』って、リッちゃんが

『ギャオー』って、リッちゃんを威嚇したら、僕らが立っていた地面が開いて、僕らは、ストーンって、

『イタ』『いたいよ』『なんで』『おちた』『あー』『ここは』『なんで』『いたたた』って、みんな、それぞれ短い単語で、今起きたことを。

『元ちゃんが、僕のことを威嚇したから、地球が怒ったんだよ』って、リッちゃん

『じゃ、地上で、また地震があったのかな』って、アッちゃんが心配そうに言った。

『いや、それは、なかったんじゃないのかな。おそらく、ここが地軸の中心だよ。怪我の功名ってやつかも』って、隊長さんが

『僕も、そう思います』って、エナジーさん

『ああ、元ちゃん、もう一度、僕のこと威嚇してよ』って、リッちゃん。

リッちゃんの言っている意味が分かったから、僕は、もう一度、リッちゃんを威嚇してみた、さっきよりももっと強く、でも、何も起きなかった。

『ここで、間違いない』って、僕は、上を見た。僕は、猫だから、みんなのことを見ようとすると、上を見上げなければ見えないから、そしたら石と握っている、ホープ君の手の指の隙間から、光が漏れていたので

『ホープ君、手、手、石が光っている』って、僕が言うと

『えっ、あっ』って、ホープ君は言って、石を握っていた両手を開いた

『ああ、きれい』って、愛ちゃん

その両の掌に、のせられているホープ君の、お父さんとお母さんの魂の石は、虹色に輝いている。そして、その二つの石の輝きの中から、各々一本づつ太い光が放たれている。その二本の光は、空中でクロスする光の先は、左右の壁にぶつかっていて、そのぶつかっている光が壁に、動物の足跡を掘っている。ここにいる動物は、猫の僕と犬のアッちゃんとリッちゃんだ。でも、二人の足跡にしては、小さすぎる、多分、僕の足跡だ、でも、左右が離れすぎているんだけれど、同時に両方に、足を掛けるのは無理、でも同じ高さだ、えー。


          つづく

僕らは、スクリーンに映し出されていた映像について、あれこれ話しながら、地軸を元に戻す手がかりがないかを、探してグルグル地軸の中を歩き回った。ホープ君のお父さんとお母さんの石が、くっ付いたままの扉には、近づくことは出来ないんだけれど、高さ的には飛ぶことが出来るので、アッちゃんとリッちゃんは、高いところに何かないかを探していた。二人は、僕にも、飛んでくるようにって言ったんだけれど、僕は、高いところよりどうしても、下のほうが気になって

『僕は、下の方を探してみる。なんか気になるから』って言って、隅から隅を目を皿のようにして、探し回った。

これは、猫と犬の僕とアッちゃんとリッちゃんで、人間の空君、愛ちゃん、ホープ君、隊長さんにエナジーさんたちは、自分たちの身長にあわせて、やっぱり目を皿のようにして、何か手がかりにないかって、探し回っていた。

そんな時、偶然に、僕の後ろ足がスポって、あっ、前足も、

『あれ、なんだ』って、僕が大きい声を出したら、みんなが僕の方を見て

『元ちゃん、元ちゃんの歩いた足跡が、残っている。雪道に残る足跡みたいだよ』って、ホープ君

『僕、ここを歩いていたら、なんかムニュムニュって、足がほんの少しだけど、吸い込まれて行く感じがして、それで振り返ったら、僕の足跡が残っていていたんだ』って、僕が言うと、上を飛んでいるアッちゃんとリッちゃんが

『地軸が動いた、微かに。元ちゃん、もっと歩いてみて』

『分かった』って、僕は言って、ムニュムニュって足が少し吸い込まれるのを感じながら、歩き始めた。

みんなは、僕の歩くのよりも、残っている足跡と、天を仰いで本当に地軸が動いているのかを、見るのが忙しそうだ。とは言う、僕も、歩きながらてっぺんが気になって、仰いでいるんだけれど。

『う、動いている』って、また、アッちゃんとリッちゃん。下で見るより、分かるらしい。

『愛ちゃんも、上で見たい』って、あーあ、そうだろう、言うと思ったよって、僕は、心の中で、ささやいた。

愛ちゃんに、甘いリッちゃんが降りてきて、愛ちゃんと空君を背中に乗せて、戻っていた。上から

『元ちゃん、歩いて』って、ったく、愛ちゃんは、お気楽だな

『元ちゃん、僕も元ちゃんの後ろ歩いてみる』って、ホープ君が言って、歩き出した。

『駄目みたい、ホープ君』って、上からアッちゃん

『ホープ君、元ちゃんの横に並んで歩いてみたら』って、空君

空君にそう言われて、ホープ君が僕の横に並んで歩く、歩きながら上を見ると

『動いている、さっきよりも』って、

『私も、歩いてみるよ』って、隊長さんがホープ君の横に

『僕も』って、言ってエナジーさんが隊長さんの横に

『ああ、動いている。僕らも』って、上からアッちゃんたちが降りてきて、みんなで並んで横一列で歩く、上を見ながら、少しづつだけれど、確実に地軸が動いている。

『こんなに簡単なことなのかな』って、僕は、心の中で思ったけれど、とにかく地軸の塔を垂直にしてみなくては、みんなすごく一生懸命だし。

随分、垂直に近づいてきたんだけれど、そこから先に進まない。

『これ以上、歩いても変わらない。ここから先は、何か違うことだと思う』って、僕が言った時、ホープ君の目の前に、二つのお父さんとお母さんの石がてっぺんの扉から、落ちてきた。


        つづく


『あのさ、さっきも揺れた。スクリーンに何か映ったの』って、ホープ君が思い出したように聞く。

『うん、揺れた。ホープ君たち、地軸のてっぺんにいたから、怖かったでしょ』って、空君が言うと

『ううん、大丈夫だったけど、理由もないのに揺れたわけじゃないと思って』って。ホープ君

『あのね、また、戦争をしようって、考えている国があって、それが映ったの。戦争の会議をしていたの』って、愛ちゃん

『本当なの』って、僕が聞くと

『でも、戦争をしようって思っている人ばかりじゃないから、その国にも、平和を望んでいる人もいるし、何とか落ち着いた』って、エナジーさん

『なんで、陣取り合戦みたいに、領土を増やそうとするのかな、それと偉い人達は、どうして自分の国の国民を、コントロールしようとするのかな。それとね、戦争とかじゃないけど、まだ、親父狩りをしている少年達が、もう、そんなことをする子達なんか、いなくなったって思っていたのに、いなくならないね』って、アッちゃん

『それと暴走族が、信号を無視して子供とお母さんを轢いたんだ。轢き逃げ、それも何台もで、轢き逃げして行ったんだ。その親子、無残だった、見てられないくらいに。僕、どうしても、轢き逃げは許せない』って、空君

『愛ちゃん、見てられなかった』って、泣きべそをかきながら

『人間の世界は、モンスターがいくらいなくなっても、同じってことか。自分達が、モンスターの源を創っているんだから、いくら自分達がモンスターの存在を、知らないとは言え、本当に恐ろしい、パワーモンスターは、人間なのかもしれない。陣取り合戦か、戦争はなくならないな』って、隊長さん

『ああ、でも、いいこともあったんだよ。ほら、地球っていうか、世界って、いろんな国があって、面積の広い国や狭い国、資源が豊富な国、乏しい国ってあるでしょ。僕、ずっと不公平だって思ったいたんだ。けどさ、面積が狭くて、資源が乏しい国って、知恵があるんだって、そんな映像が出てきて、悲しいものばかりじゃなくて、なんか希望が持てる映像もあったよ。そういう映像が、いっぱい出てくると地軸が喜ぶみたい』って、リッちゃん

『僕とホープ君が、てっぺんで震えていた時も、スクリーンにはいろいろな映像が映されていたんだ。でも、戦争って、どうしたらなくなるんだろ。何でも、分け合うといいのに。ああ、知恵は、みんなにあるよ。上手く使えるかどうかだけど、僕らも持っている、あれ、考えることかな』って、僕が言うと、地軸の中に、あたたかい風がすーと入って来たような気がした


       つづく