『隊長さん、何か見つけたの』って、アッちゃんが聞くと、隊長さんは、廊下の壁の下を指差して、

『アッちゃん、これ、何だと思う。なんか布に見えないかな、だとえば、シャツとか』って、言われて、アッちゃんは、隊長さんが指差している、廊下の壁の下まで来て、ほんの少しだけ出ている布らしきものを確認した。クンクン臭いを嗅いで

『多分、人間のシャツ、間違いないと思う。でも、隊長さん、こんな少しの布、よく見つけた』って、アッちゃんが感心して言うと

『これだね』って、猫と犬のミックスになった片腕を、アッちゃんの目の前に差し出して

『私は、少しだけ人間離れしているから』って、ウインクをした。

ほん少しのシャツの布が、廊下の壁の下から出ているということは、この壁の向こうには、人が居るということになる。ただし、人の気配が全くないということは、壁の向こうに居るかもしれない人たちが、生きているとは限らないって事になる。

隊長さんとアッちゃんは、お互いに同じ事を頭に浮かべているって事は、お互いの顔を見て、何も言わなくても分かっているので、

『覚悟を決めて、この壁の向こうに行って見よう』って、目で言うと、二人とも黙ったまま、壁の向こうに。

『やっぱり』って、二人は、同時に言った。

『すごい人、この人たち、みんな、息していないよ』って、アッちゃん

確かに、ここに隠されていた人たちからは、呼吸の音が、全く聞こえないんだけれど、不思議なことに、ここの人たちからは、死っていうにおいも全くしていなかった。

『こんなに大勢の人たちが、息を全くしていないということは、言いづらいけれど、今の状態は、死んでいることになるんだけれど、死のにおいが、私には、しない。って言うか、ここの部屋は、無臭だ。なんか、おかしくないかな』って、隊長さん

『そうだよね、なんにも臭わないって、おかしい。ここの人たちって、本当に死んでいるのかな。人間っていうか、生きものって僕もそうだけれど、息していないと死んじゃうのに。それに、この人たち、冷たいよ』って、アッちゃんは、言いながら、自分で自分が何を言っているんだか、分からなくなってきていた。

『アッちゃん、とにかく、この人たちを見つけたこと、リッちゃんとストーンさんに知らせて。この人たちを、フューチャーちゃんのところに連れて行こう』って、隊長さん

『うん、でも、、ここだけなのかな、隠し部屋って』って、アッちゃん

『悪魔達は、一部屋だけみたいに言っていたんだけれど、さだかじゃないから、私は、もう一度見て周る。アッちゃんは、ここ人たちを』って、隊長さん

『無理、僕だけじゃ、こんなに大勢は、少しの間、この人たちに、バリアを掛けて、隊長さん、手伝って』って、アッちゃん

『何を、手伝う』って、隊長さん

『僕の背中に、ミックスの手をのせていてくれれば、そう、そんな感じ、力が伝わってきている』って、アッちゃん


       つづく






悪魔達は、偉そうな悪魔に怒鳴られて、姿を消したリッちゃんとストーンさんを、探し周っている。それぞれ手に、探知機がセットされているような棒を持って、空を切っている。上手く、リッちゃんとストーンさんに、ヒットするように懸命に振り回している。少しでもサボったりすると、偉そうな悪魔は、怒鳴りだすので。

ただ、二番目に偉い悪魔だけは、『馬鹿なことを、そんなことをしても、あいつ等は捕まらないのに』って、いう覚めた目をして見ている。

『ストーンさん、あの二番目に偉そうな悪魔って、なんか他の悪魔と違う感じがするんだけれど』って、リッちゃんは、目でストーンさんに話しかけると

『私も、そう思う。あの悪魔は、侮れない』って、ストーンさん

『アッちゃんたち、閉じ込められている人たちを、見つけられたかな』って、リッちゃん

『城の中は隅々見て回ったのに、見落とした部屋なんか、無かったと思うんだけど』って、ストーンさん

『ストーンさんも、そう思う。僕も、そんな気がするんだけれど。それに、人の気配も感じなかった、ストーンさんや隊長さんには感じなくても、僕ら、アッちゃんや元ちゃんも感じなかったのに、なんか嫌な感じがするんだけれど』って、リッちゃん

『あんまり悪いことを、考えるのは止めよう』って、ストーンさん

『リッちゃん、聞こえる』って、アッちゃんからのテレパシー

『うん、聞こえるよ。見つかった』って、リッちゃん

『それがさ、見つからないんだ。本当に、閉じ込められている人たちって、居るのかな。気配が、全く感じられないんだ』って、アッちゃん

『今ね、その事を、ストーンさんと話していたんだけれど、もう少し、じっくり捜してみて』って、リッちゃんが、ストーンさんに言ったことには、触れずに言った。

『ああ、そうしてみる。ただ、ちょっとだけ、うんん、なんでもない。あっ、隊長さんが何か見つけたみたい。又、連絡する。爆発だけは、させないで』って、アッちゃん

『分かった』って、リッちゃんはアッちゃんに言った後で、今の話を、ストーンさんに話した。

『ねえ、ストーンさん、大丈夫だよね。さっき、爆破装置が直ったって、悪魔が言っていたけれど。それと、隊長さん、何を見つけたんだろう』って、リッちゃん

『うん、何を見つけたのか、少し嫌な感じはするけれど。ああ、爆破はさせないから、安心していていいよ』って、ストーンさん


       つづく


偉そうな悪魔が、『駄目です』って言った悪魔を、睨みつけて

『何をしているんだ、早く直せ』って、怒鳴った。

ストーンさんが、何かキー見たいな物を、指に挟んで

『どんなに怒鳴られても、これが無ければ、直せないよな』って、ニヤニヤしながら言った。

いつの間にストーンさんは、あのキーを抜き取ったんだろうって、リッちゃんは思った。そして、なんかストーンさんが、いつものストーンさんと雰囲気が違うなって、そんな風に思いながら、ストーンさんを見ると、ストーンさんには、リッちゃんが思っていることが分かっているみたいで、

『あの偉そうな悪魔はね、馬鹿にされるのが嫌いなんだよ。だから、こうやってどんどん怒らせようと思ってね』って、テレパシーを送ってきた。

『なるほど』って、リッちゃんがちょっと感心していると、二番目に偉そうな悪魔が、落ち着いた感じで、怒鳴られた悪魔を呼んで、リッちゃんとストーンさんに、聞こえないような小さな声で、何かささやいている。

『何をこそこそ、仲間割れの話をしているの。みんな、あんたのこと嫌っているよ』って、リッちゃんも、ストーンさんに真似て、ニヤニヤしながら言った。

ただし、リッちゃんが、どんなにニヤニヤしてみても、犬なのでその表情は、人間には、まあ、相手が悪魔なんだけれど、伝わらないのがちょっと残念。

『なんだと、犬の分際で、人を馬鹿にしたようなことを抜かすな』って、怒鳴った。

そんなことには、お構いなくリッちゃんが

『そんなに怒鳴ってないで、自分でなんとかすればいいのに。自分じゃ何も出来ないくせに、フフ』って、

真っ赤な顔になって、又、何か言おうとした時、二番目に偉そうな悪魔が

『爆破装置は、直りました』って、偉そうな悪魔に耳打した。

偉そうな悪魔が、何か言う前に

『こんな何も知らない、馬鹿な悪魔の部下は、大変だね』って、ストーンさん

『なんだと、お前ら』って、又、怒鳴る

『そんなに怒鳴っても、ここが爆破できても、血の入ったパックがないと、お前らは、どこにもいけないんだろ。悪魔のヘッドに、殺されるんだろ』って、ストーンさん

『ど、どこにやったんだ、血のパック』って言いながら、ストーンさんに襲い掛かってきた。

ストーンさんは、笑いながら身を交わして

『そんなんじゃ、捕まらないな』って、言うと

偉そうな悪魔は、部下の方を見ながら

『こいつらを、捕まえろ』って、ばつ悪そうに言う。

『そんなに簡単には、捕まらないよ』って、リッちゃんは言いながら、姿を消す。

『それじゃ、私も』って、ストーンさんも姿を消す。


      つづく