なんか、疑いの目で見られると、国王の仲間なんかじゃないのに、妙な感じになっててしまう、だから、おじさんと猫さんに、自己紹介をしようとしたら、僕は、

『あっ、あ、あの、僕らは、その天界から来たんです。その怪しいものじゃないんです。本当に』って、焦ってしまった。で、僕は、深呼吸を一回して、気を取り直して、ニャオーって鳴いてから

『僕の名前は、元気といいます。こっちは、空君、で、ゴールデンレトリバーの方がアルフ、ラブラドールがリッチ、僕らは、天界から来たの。こっちの大きい人は、隊長さん、隊長さんは、おじさんや猫さんと同じ地球の住民、で、こっちの男の人はストーンさん、女の人はエンジェルさん、二人は赤い地球のガーディアンさん、そして赤い地球の犬さん。みんな、この国を元に戻すために、この城の中に入ってきたんだ。そしたら、銃に撃たれて倒れているおじさんと、おじさんの下敷きになっていた猫さんを見つけたんだ。ああ、それから、猫さん、さっき、母猫さんと赤ちゃんニャンコさんたちのことを言っていたけれど、その母猫さんって、ここを逃げ出した猫さん。えーと、二人とも、以前に亡くなった猫さんから、城の中に入っちゃいけないって言われていた』って、僕が言うと

『そうだよ。母猫のことを知っているんですか。無事ですか』って、猫さんが、噛み付きそうな勢いで聞いてきた。

『元気です。母猫さんも、赤ちゃんニャンコたちも、みんな元気にしています』って、僕

『僕の飼い主の家に、みんな居ます。赤ちゃんニャンコは、三匹』って、犬さん

『そうですか、元気ですか、生まれたんですか、三匹も』って、父猫さんが嬉しそうに言うと

『良かったな、無事に生まれて』って、おじさんは、父猫さんの頭を撫でながら言った、そして、

『天界っていうのは、死んでしまうと行くところ、確か。なんだ、その赤い地球っていうのは』って、おじさんは、少し落ち着くと、ほんの少しだけ横柄な口調で言った。

『そのことを、今、説明していると時間が掛かるから、いつかってことでいいですか』って、僕が言うと、猫さんは『ええ、私は』って、おじさんはちょっとだけ不満そうな顔に見えたけれど、

『構いません。それより、国王の暴走を止めてもらえるんですか。この国を救ってくれるんですか』って、

『それに、協力してもらえるんですか』って、隊長さんが聞くと

『勿論です』って、おじさんは、二つ返事で答えた。


       つづく

猫さんが、少しだけ苦しそうに

『そうですか、僕は、やっぱり死んだんですか。でも、あなたまで、死ぬことはなかったのに。僕のことを、助けたりしなければ・・・。妻が逃げるのを、見逃してくれただけで、それだけでも・・・』って、その猫さんは、泣き始めた。

えっ、妻を逃がしてくれたって、もしかしたら、この猫さんは、母猫さんのご主猫さんで、赤ちゃんニャンコたちの父猫さん、そして、この男の人は、母猫さんが悪魔って言っていた人になるのかな。

『ねぇ、一体どうなっているんだろう。この猫さんって、もしかしたら、それでこの男の人ってさ』って、リッちゃんが、テレパシーを送ってきた。

『僕も、思っていた』って、僕が言うと

『僕も』、『僕も』、『私も』って、僕らが、話していたら、男の人が

『あなたたちは、私を地獄に連れて行くのに、ここに来たのでしょ。私は、地獄に行く覚悟は、出来ているから構わないが、この猫は、私とは、関係がないので、どうか天国っていう所へ、連れていってやってください。お願いします』って、僕らに言ってきた。

そうしたら、それを聞いていた猫さんが、

『この人は、私と私の妻と、妻のお腹にいた赤ちゃんを助けてくれた、恩人なんです。この人が、地獄に行くなってことのないように、お願いします。悪いのは、この人じゃないんです。この人は、仕方なく国王の言うことを聞いていたんです。この人も犠牲者なんです』って

僕らは、全員顔を合わせて、

『犠牲者?』って、言った

『そうです、この人は、犠牲者です、悪い人なんかじゃない。地獄に行かなくちゃいけないのは、国王です』って、猫さん

『いいんだ、私は、こころを国王に・・・さあ、連れて行ってください、地獄へ』って、

『僕らは、おじさんのことも、猫さんのことも、どこにも案内したりしません。地獄にも天国にも、おじさんも猫さんも、生きているんですよ。ほら、さっき、おじさんたちを捜しに来た人たちに、見付らないように、ちょっと姿を消しているだけ、心配しないで。時期が来たら、元に戻すから』って、僕が言うと

『何者なんです、あなたたちは』って、おじさん

『心配しないで、国王の仲間じゃないから』って、空君

でも、男の人の目も猫さんの目も、疑いでいっぱいの目をして、僕らのことを見ている。


           つづく


        


銃で撃たれた男の人と、その人の下敷きになっていた猫さんは、僕の涙で何とか助かったみたいだ。でも、いつもなら涙を口にすると、比較的早くに意識を戻すのに、この男の人と猫さんは、なかなか意識が戻らない。

『なかなか意識が戻らないね。戻ってもいい感じなのに、ちゃんと息は、しているんだよね』って、心配そうにアッちゃん

『僕も、それが気になっているんだ』って、僕が言うと

『ねえ、僕らの涙も』って、空君

『ああ、でもさ、この男の人の傷って、銃に撃たれただけなんだよ。それも、心臓から少しずれている。それなのに、元ちゃんの涙だけで、意識が戻らないっておかしくない』って、リッちゃん

『この猫さん、相当強くどこかに、投げつけられたんじゃないかな。かなりの打撲だよ。内臓が、どうなっているのか、それに頭も、打っているかもしれない』って、隊長さん

『もう一度、僕の涙で、それで駄目だったら、みんなの涙も』って、僕が言うと、隊長さんは、何も言わずに僕のペンダントから、男の人と猫さんの唇と、涙を

『うううぅ』『ぅぅぅ』って、男の人と猫さんが、

『気が付きそうだよ。傷も塞がっていく』って、僕

『だ、誰だ』って、男の人が、周りを目でキョロキョロしなが、姿の見えない僕らを捜しながら、驚いた様子で叫んだ。

『元ちゃん、不味いよ。このままは、誰か戻って来たら』って、アッちゃん

『そうだね、猫さんも、もうすぐ気が付くだろうし、僕らと同じように姿を消してしもらおう』って、僕が言うと、その男の人は、まだ、はっきりと意識を戻していない猫さんを、強く抱きしめて守るように、

『誰だ、何者だ。国王の回し者か』って、

『元ちゃん、急いだ方が良さそうだよ。声が』って、アッちゃん

『うん、そうみたいだね』って、僕は言うと、猫さんを抱いたままの男の人の姿を消した。まあ、消したと言っても、ただ、人間の目に見えなくしただけなんだけれど。

僕らが何もしなくても、僕らのことが見えるって人たちは、本当に心がピュアな人か、邪悪な心の持ち主かのどちらか、比較的猫さんや犬さんには、何もしなくて見えるかもしれない。

で、とにかくこの男の人と猫さんの姿を消して、僕らの姿が見えるようにして、話をすることにした。

『フー、危機一髪。この人のこと、連れにきたのかな』って、リッちゃん

『多分、連れに来たというよりは、死体を片付けに戻ったって感じだな。ほら、死体がないって捜している』って、隊長さん

それを、姿を消して、相手からは見えない状態で、見ていた男の人が、僕らの方を見て、

『一体全体、どうなっているんだ。俺は、仲間に打たれて死んだんだ。だから、あいつらには、俺のこと見えなんだ。猫、目が覚めたか、俺達は死んだんだぞ。猫だ、犬だ、人間が、俺たちを迎えに来たらしい。もう、すっかり銃に撃たれた傷も治った。お前の方は、どうだ、まだ、痛むか』って、猫さんに話しかけている。

僕らは、少しの間、男の人の言った、迎えの者の振りをすることにして、黙って居ることにした。


           つづく