『嫌われる勇気』と禅
です
『嫌われる勇気』
著者:岸見一郎 古賀史健
出版社:ダイヤモンド社
この本はアドラー心理学に基づいて書かれたもので
そこから嫌われる勇気を持つことを紹介しています
一見すると
嫌われる勇気
なんて持ちたくないと思いたくなりますが
本を読んでいくうちに
この嫌われる勇気が重要なことを知らされます
私自身は恥ずかしながら
アドラー心理学というものをこの本で初めて知りました
本は対話形式で書かれているため
とても分かりやすく読みやすいです
本の内容にもありますがこれは『心理学』と書かれていますが
アドラー心理学という『哲学書』であるようです
昔の哲学者達はこの本のように実際に問答をしながら
この世の真理を考えていったのだろうなと感じました
またアドラーもギリシャ哲学のソクラテスも
このような対話によって
その相手に合わせて自ら答えを導かせています
この点はまさに
お釈迦さんが行った対機説法と呼ばれる
各々の相手に合わせた説法と同じです
場所や時代が違えども
相手を導くその方法が同じな点にもとても興味が湧きました
仏教は原因と結果の繋がりから縁起説を唱えます
物事には必ず原因があり
そこから結果が生じるというものです
そして禅においてはさらにそこから高揚して
原因イコール結果という
因果一如(いんがいちにょ)の姿勢をとります
簡単に言えば
良い事をすれば良い結果が生まれるから
良い事をしましょうが仏教の考えであります
そしてそれなら良い事をした時点で
良い結果が生まれるんだから
ただ今すぐに良い事をしよう
というのが禅の考えであります
だいぶ簡略化してますのでご容赦ください
しかしこのアドラー心理学は
結果から原因を考えることを否定します
完全に否定しないまでも何らかの影響はあるけれども
行動の原因に過去は関係ないと教えています
目的論と述べてますが
目的があるからその原因が起こっているだけで
目的が全ての行動を裏付けるというわけです
これ以上の詳細はぜひ本をご覧下さい
心理学に興味がある方はもちろんですが
哲学や宗教や今の現状に悩みがある方にも
とても面白い本だと思います
某有名な方がお勧めしたにしろ
30万部売れてる本はさすがです
アドラー心理学は原因を大切にしない部分では
仏教とは相反するようにも見えますが
読んでいくうちに禅と似た部分が多々あることが発見できます
一つの解釈の仕方であり
アドラー心理学の『嫌われる勇気』が生き方の全てだとは思いませんが
禅的な立場から見ても非常に為になる行動心理学ではないかと感じました
禅は決して目的ありきでは行動しませんが
アドラー心理学の目的論は
人がどうしてそのように行動していくか
の参考にとても役立つと思います
そして『嫌われる勇気』の終盤では
人生を線ではなく点として考え
その点の一瞬一瞬を一生懸命生きることに焦点を当てます
これはまさに禅の生き方そのものであります
アドラー心理学と禅のマッチングする部分も見え
心をテーマとする宗教において
アドラーの唱える行動心理学を知ることは
安心を得るアプローチへのとても有用な知識の一つであると思いました
目的論が分かれば
そこから今自分のすべきこと
そして今この一瞬をどう生きるか
を探求できる禅的な行動にも移せるのではないでしょうか
とにもかくにもアドラー心理学面白いです
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人のすべての悩みは対人関係の悩みである
自由とは他社から嫌われることである
嫌われる可能性を怖れることなく前に進んでいく
坂道を転がるように生きるのではなく眼前の坂を登っていく
それが人間にとっての自由である
自由とは他社から嫌われることである
嫌われる可能性を怖れることなく前に進んでいく
坂道を転がるように生きるのではなく眼前の坂を登っていく
それが人間にとっての自由である
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本の中で印象に残ったものを抜粋ささていただきました
本の中で印象に残ったものを抜粋ささていただきました
これだけでもアドラー心理学と禅の共通点が垣間見えます
人生とは連続する刹那であるとの章もありましたが
これもまさに
過去心不可得(かこしんふかとく)
現在心不可得(げんざいしんふかとく)
未来心不可得(みらいしんふかとく)
な今この瞬間をどう生きるかを問う禅そのままでもありました
アドラー心理学を学ぶことによって禅を見る
物事を考えるには
やはり違ったフィールドからのアプローチも
とても大切であることを再認識できました
また色々と偉そうなことを書いてしまいましたが
最後に本を紹介してくれた友人に感謝をしたいと思います
良玄合掌
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