鮎毛鉤巻きの師匠であるFさんから、現在「鮎鉤工房」で扱っている鮎バケ鉤のラインナップ、約50種を写真撮影して欲しいとのご依頼がありました。ブログに掲載する許可を頂きましたので公開します。
 
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 鮎バケについての説明は「鮎鉤工房」のホームページに紹介されておりますが、ご存じない方向けに概要を説明します。Fさんは元々鮎毛鉤師で、ご自身もドブ釣りを永くやって来られた方ですが、重くて長いドブ竿ではなくもっとライトな道具立てでアグレッシブに釣りたいと2001年頃に編み出したのが鮎バケです。ドブ釣りでは流れが緩くて深い淵などに釣り座を決めたらあまり動かずジックリ狙いますが、鮎バケの場合は軽量なハエ竿を使う「チンチン釣り」で水深50㎝前後の急瀬を中心にランガンで釣ります。写真のように竿と小さめの鮎ダモ、ヒップウェーダにリュックといった軽装でポイントあたり数投程度で次々にポイントを探っていきます。
 
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 タックルはこの図のような感じ、下オモリの胴突2本鉤仕掛けに直径10~15㎜程度の小さな玉ウキを付け、4.5m程度のハエ竿を使って鮎が潜んでいそうな岩の脇を流します。オモリはガン玉の3B~5程度を使い、オモリが底を叩きながらウキと同調して流れるようウキ下とオモリを流れに合わせて調整します。流れるウキが止まったり上流や横方向へ走るなど不自然な動きをしたらアタリ、瞬時にアワセます。
 
 鮎バケの最大の特徴は鮎毛鉤同様に、成長して苔を主食とするようになり餌には興味を示さない「苔食み鮎」を狙える事です。Fさんはこの鮎バケを使ってホームである神奈川県の早川、酒匂川、相模川で毎年尺に届くような鮎を多数仕留めておられます。小田原~箱根エリアでは地元の釣具店でFさん作のバケが販売されていますし、この釣り方のファンも多数おられメジャーな釣法となっています。
 
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 鮎バケの基本パターンは写真の「アカ」と「黒荒巻」で、これだけで概ねどこの川でも通用します。ただ鮎毛鉤同様に川、ポイント、時期によってこれ以外のパターンが大ハマリする場合があるので、以下の写真に示すように多くのパターンがあります。基本的には素材鉤に「底巻」としてラメ等を巻き、絹で胴を巻いた上に、「上巻(フライで言うリブ)」としてラメや別色の絹を隙あけ巻してビーズヘッドを付けた形をしています。サイズは1.5号、2.3号、2.8号がありますが、鮎毛鉤のサイズ表示なので単位は全長を「分=約3㎜」で表したものです。つまり2.3号のバケなら全長2分3厘=7mmです。概ね、それぞれ袖針の1号、2号、3号程度の大きさです。
 
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 私も琵琶湖河川で実際に使用しています。残念ながら琵琶湖河川の鮎は総じて小さいので大物には巡りあえておりませんが、威力は実感しています。盛夏の時期など、早朝は餌釣りで釣れても日が昇ると全く口を使わなくなる事がありますが、そんな時でも鮎バケには反応します。また、ニジマスやウグイ、オイカワ、カワムツなど川魚は何でも反応するようで、これからの時期だと鮎に先がけて産卵のために川を上る「桜ウグイ」なんか面白いように釣れます。
 
 苔しか食べない鮎が鮎バケには食らいつく理由はよく分かっていませんが、Fさんの説では「流れ苔」に似ているのではないか、とのことです。主力である第二種針は底巻に緑色のラメを使いますが、水に濡れて透けた絹に下地の緑が混じると水中では苔と同じ色に見えるものと考えられています。鮎はヤスリ状の歯で石の表面のコケを削ぎ取って食べますが、その際に飛び散った切れ端を拾いに行ったり別の鮎が横取りしたりする生態が実際に見られるそうです。また、フライの世界には餌である昆虫には似ても似つかないのに魚が思わず飛びついてしまう「アトラクター」と呼ばれるパターンがありますから、その一種なのかもしれません。
 
 それでは針の種類ごとにご紹介します。ちなみに、写真はこちらの記事で紹介している毛鉤撮影ボックスを使い、カメラはFUJIFILMのFinePix SL300のスーパーマクロモード、絞り優先F=8で撮影しています。

第一種針

 これはFさんが研究段階で作っていたパターンで、底巻に鮎毛鉤の先巻(尻尾部分)にもよく使われる水色ラメを巻いたものです。春の稚鮎の頃にはこちらの方が良くアタる場合が多いそうです。
 
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アカ:赤ラメ隙あけ巻
 
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クロ:黒絹隙あけ巻
 
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赤:赤絹隙あけ巻
 
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アオ:水ラメ隙あけ巻
 
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ラメ:緑ラメ隙あけ巻
 
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キン:金ラメ隙あけ巻
 
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ギン:銀ラメ隙あけ巻

第二種針

 主力がこの、緑ラメで底巻したバケです。これと全く同じデザインでカエシのある鉤に巻いたものが「第三種針」です。
 
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アカ:赤ラメ隙あけ巻
 
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黒荒巻:黒絹隙あけ巻
 
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黒小巻:黒絹の間隔が狭いもの
 
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赤荒巻:赤絹隙あけ巻
 
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赤小巻:赤絹の間隔が狭いもの
 
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アオ:水ラメ隙あけ巻
 
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ラメ:緑ラメ隙あけ巻
 
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キン:金ラメ隙あけ巻
 
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ギン:銀ラメ隙あけ巻
 
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カッパー:銅ラメ隙あけ巻
 
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ムラ:紫ラメ隙あけ巻
 
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ライト:ライトパープルラメ隙あけ巻
 
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コン:紺ラメ隙あけ巻
 
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黒:黒ラメ隙あけ巻
 
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チャ:茶色ラメ隙あけ巻
 
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パール:オーロラティンセル隙あけ巻

 
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