■推敲 一(無駄な言葉はないか)
俳句を推敲するにあたって、つぎの五つの点をとくに注意したほうがよいと思います。
① 無駄な言葉はないか。
② 不足の言葉はないか。
③ 語順はこれでよいか。
④ 「切れ」はあるか。
⑤ 「サビ」はあるか。
まず、推敲上一番目の点についてですが、「無駄な言葉」というのは表現上意味が重複している言葉であるとか、言い過ぎていて余計な言葉などになります。
(*例句を挙げますが、悪い見本としての例句になるので、人の句を引用するのはなるべく避け、できるだけ自作の句とします。)
木から木へついんついんと小鳥飛び 一村葵生
この句の場合、小鳥が「木から木へ」と言い、「ついんついん」というのは飛んでいる様子の擬態語であり、すでに飛んでいることは言われていると言えるので、句末の「飛び」は言わなくても分かる無駄な言葉となっています。そこで「飛び」に替え「かな」という切れ字を用いて余情を強調しています。
木から木へついんついんと小鳥かな
それぞれに座せる野猿ら春の風 一村葵生
この句の場合でも、すでに「それぞれ」と言っているので、野猿が複数であることは分かることであり、「ら」という複数を表す接尾語は余計な言葉となっています。この「ら」を削除して「や」という切れ字で感情を込めた方がよいのではないかと思います。
それぞれに座せる野猿や春の風