王様と奴隷 ~白血病の旦那を亡くした私の日記〜 -4ページ目
旦那が亡くなってから
ほぼお会いした事のない
または全く面識のない旦那の友人が
連絡をくれる事が何度もあった
何人かで集まって
ご飯を食べに行く事もある
コミュニケーション能力が低く
友人も少ない私の事を旦那は心配してか
「俺がいなくなった後は嫁をヨロシク
案外いいヤツなんで仲良くしてやって」
などと周りに言っていたらしい
しかし私は
既に出来上がっているコミュニティに
後から入っていくのが苦手だ
旦那の思い出話に花が咲いている間は
私もとても楽しく話に入っていくのだが
個々のプライベートな話が始まると
どこまで踏み込んで聞いて良いのか
悩みに悩んで結局黙って話を聞く事になる
相手の情報は
旦那との関係性を聞いているだけなので
突然個人名が出てくると「誰?」ってなる
お相手同士で話してる内容を聞いて
「お子さんの名前か!」って理解して
話が途切れないように話を合わせてたのに
話が進むと「え?孫の話!?」ってなって
同年代っぽいのにもうお孫ちゃんいるのか!
え?そんなに小さいお子さんがいるの!?
そんなに年下だったのか!
こちらの方は年上なの!!!
もうそこからは頭の情報整理できなくなって
突然出てくる名前も覚えられないし
家族構成も訳わかんなくなるし
次に同じメンバーで会った時には
どの人がどの家族構成だったか記憶が曖昧で
今更聞き直せないし
聞いたとて覚えられる自信ないし
その場でメモ取りたい衝動を抑えて
分かったフリして会話に参加している
その点
一対一で連絡をくださる方は
とても話しやすい
「これは聞いて良い事なのか?」なんて
勘繰って気を遣いすぎる必要もないので
こちらもストレスなく会話ができる
私のリラックスした感じが伝わるのか
相手も私に対して余計な気を遣わず
友人と呼べる存在になった人もいる
今の私の生活を
旦那はどう思うだろうか?
基本は1人が好きなので
フラッと出かけて知らない街を歩いたり
家で趣味に没頭したりの時間が多いけど
生前の旦那の気遣いを周囲から聞いて
引き篭っちゃダメだと
自分を奮い立たせている部分もある
祖母や父の介護の問題は
1人で抱え込んでる感じになってるけど
事前準備さえキチンとしていれば
泊まりで遊びに行くことも出来ている
旦那が心配していたほど
孤独で辛い生活は送っていないはずだけど
これからも見守っていて欲しい
祖母は6人兄弟だったが
存命しているのは1番上の祖母と
1番下の妹の2人だけ
祖母が入所している特養には
その10歳ほど歳の離れた妹が
数年前から先に入所していた
妹の方はほぼ寝たきり状態だし
祖母の認知もすすんでいるし
同じ施設内にいても会うことは無かった
先日その妹が亡くなり
葬儀が執り行われる事になった
祖母も参列できないか施設に相談したが
このところの祖母は
朝食後は毎日のように血圧が急激に下がり
意識を消失している状態
意識はすぐに戻るものの
長時間の座位は危険との主治医の判断で
葬儀に参列させる事は叶わなかった
故人の甥にあたる父も参列するので
送迎&お世話係として私も参列
最近喪服の出番が多い
そういうお年頃になってしまった
父は昔からかなりの痩せの大食いだったが
脳梗塞になってから動かなくなったせいか
お腹がパンパンに膨れていて
スラックスのファスナーが上がらない
慌てて旦那の喪服を合わせてみたが
縦にも横にも大きかった旦那の服は
太ったとはいえ父には大き過ぎて
ブカブカでとても見栄えが悪い
さらに慌てて実家中を探しまくり
ウエスト調節可能なスラックスを見つけ
全開に伸ばしてギリギリ履けた
ジャケットとの色味が違うのはご愛嬌
家族葬でこぢんまりとした葬儀だったが
ほぼ知らない人ばかりの遠い親戚だし
精進落としまでちゃんとあるのは久々で
丸一日がかりでとても疲れた
結局使わなかったものの
旦那のブラックフォーマルを出す事になり
「こんなに身体大きかったっけ……」と
帰ってからしみじみと眺めている
買ってから出番がなかった喪服
誰かに譲ろうにもサイズが特殊だし
しかもダブルだから
若い子には敬遠されるだろうし
眺めてるうちに着てみたくなって
ジャケットを羽織ってみた
膝丈……
しかし捨てるに捨てられない……
誰か貰ってくれんかな……
180cm100kg超の方……
今日は旦那の誕生日
亡くなった今となっては
もう歳をとる事も無く
永遠の53歳
お祝いに集まってくれた友人の1人が
今年54歳になったと言い
「私の方が年上になったやん!
早すぎるんよ!
どなんしてくれるん!」
と旦那に怒りをぶつけてた😂
納骨堂にお参りした後は
みんなでランチ
旦那の好きだったタイ料理のお店
一通り笑ってみんなとお別れした後は
父を連れて用事を済ませてから
闘病中に唯一美味しく食べられたうどん
家に帰ってからは
ケーキとワインで2人きりの乾杯
旦那の残骨灰が供養されている
能登の總持寺で販売されていたお土産を
わざわざ送ってくれた友人もいて
本当に嬉しくてずっと飾ってる
少し前に放送されたドラマ
「生きとし生けるもの」
見始めて30分程で嗚咽が止まらなくなり
3日ぐらいかけて分割視聴
良いドラマだったんだけど
演者さんの言葉一つ一つが
旦那が闘病中の頃を思い出して
苦しくて堪らなかった
その時の感情とは全く逆の
旦那を思い出して笑ってばかりだった今日
久しぶりに
朝から晩まで旦那尽くしの1日で
私の心はとても満たされた