戦後70年 日本を問い直す | 『月刊日本』編集部ブログ

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日本の自立と再生をめざす言論誌

 弊誌9月号は22日より店頭販売を開始しております。

 今月号では「戦後70年 日本を問い直す」と題する特集を組みました。戦後70回目の8月15日を我々はどのように迎えるべきか、各界の識者にお話をうかがいました。

 京都大学名誉教授の佐伯啓思氏は、あの戦争で亡くなった310万人の同胞、すなわち死者たちと向き合うことが必要だと指摘しています。佐伯氏によれば、現在の日本では、左翼も保守も死者たちと向き合っているとは言えません。左翼は東京裁判史観を認めて死者たちを侵略戦争の手先だと断じ、保守は東京裁判史観を否定しながらも親米を捨てることができていないからです。結局のところ、アメリカに与えられた戦後レジームの枠内にいる限り、死者たちと向き合うことはできないのです。

 京都産業大学名誉教授のロマノ・ヴルピッタ氏は、日本は独立を目指す国民精神を取り戻す必要がある旨を述べています。戦後の日本が経済大国へ上り詰めた際、イタリアでは「日本人は戦争を継続したのだ」と言われました。日本は当時、敗戦国という立場上、「国家の再建」という危険な臭いのするスローガンを掲げることはできませんでした。そこで、政治家や国民は「経済成長」という建前の下、国家の再建を目指したのです。そこには日本の独立を目指す国民精神が確かに存在していたと言えるでしょう。

 また、今月号では東京オリンピックの問題を取り上げました。東京オリンピックについては、新国立競技場建設をめぐる混乱やエンブレムに関する疑惑など、問題が次々に出てきています。

 しかし、最も重要なのは、福島原発事故が収束していない中でオリンピックを開催している余裕などあるのかということです。東京オリンピックでは被災地での聖火リレーなどを通じた被災地支援が計画されていますが、聖火リレーを行ったところで原発事故が収束するわけではありません。本誌では編集部の取材に加え、民主党参議院議員の櫻井充氏、元スイス大使の村田光平氏、大田区議会議員の奈須りえ氏にお話をうかがいました。

 東京オリンピック問題を見ても明らかなように、安倍政権の政策はあまりにも稚拙です。今、論壇では「反知性主義」という言葉が流行していますが、これは安倍政権を分析する上で重要なキーワードだと言えます。

 今月号では、「反知性主義」という言葉を流行らせた作家の佐藤優氏と、哲学者の山崎行太郎氏に、反知性主義をめぐる問題について縦横無尽に語っていただきました。ポイントは、反知性主義には二重の構造があるということです。一つは、無知蒙昧を恥じない態度、もう一つは、知性の限界を知り、それを超克する態度です。両者には似たところがありますが、本質的に異なります。本対談で批判されているのはあくまでも前者についてです。

 その他にも読み応えのある記事が満載です。ご一読いただければと思います。(YN)




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