安倍増税は地獄への道 | 『月刊日本』編集部ブログ

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本誌11 月号 は、22日より店頭販売しております。

 

今月号では「安倍増税は地獄への道」という特集を組み、改めて消費再増税に警鐘を鳴らしました。

 

政治評論家の森田実氏は「安倍総理は無能な独裁者か!」と追及しています。森田氏はIMF2014年度の日本の経済成長率を16%7月時点)から09%(10月時点)に見通したことを踏まえた上で、「このような状況で8%から10%への消費再増税を決めれば、日本経済が地獄に落ちる危険性大です。しかも世界経済を道連れにした無理心中になる危険性すらある。そこで海外諸国の経済界からは『消費増税は止めておいた方がいい』という声が上がり始めています」と警鐘を鳴らしています。

 

消費再増税は、日本経済だけではなく、世界経済の問題でもあります。森田氏は「消費増税の是非を決めるこの2か月間が、日本経 済、そして世界経済の運命を決めることになるでしょう。そしてその決定権を握っているのが、他ならぬ安倍総理なのです。消費再増税は内閣が決めることにな りますが、閣内で安倍総理に異義を唱える人物はいませんから、最終的には安倍総理が独断で決定することになります」と分析しています。

 

安倍総理は、下手をすれば日本経済はおろか、世界経済までをも地獄に道連れにしかねない決断を下さなければなりません。森田氏 は、「事実上の独裁者」である安倍総理は消費再増税を中止すると決断すべきだと主張したうえで、「さもなければ、貴方は後世から日本経済を地獄に突き落と した無能な独裁者という烙印を押されてしまうでしょう。私は安倍総理がそのような最悪の独裁者にならないことを心から願っています」と述べています。

 

さて、安倍総理が消費再増税を決断するにあたっては、国内外の意見が参考にされます。産経新聞の田村秀男氏 は、アメリカと自民党内から消費税慎重論が出ていると指摘しています。田村氏によれば、「基本的には、アメリカを始めとする国際金融社会は、日本がデフレ であることが望ましいと考えています。デフレであれば、国内でお金を使わず、余剰資金を海外へ投資するからです。彼らが日本に対して『消費増税やるべし』 と働きかけてきたのはそのためです」が、最近になって今更『消費再増税やめるべし』と言っているのは、「ヨーロッパの景気が悪いという現状において、日本 の景気まで冷え込んでしまえば、アメリカの景気回復に遅れが出てしまうからです」。

 

田村氏は「要するに、アメリカは自らの国益にとって都合の良い場合は増税しろと良い、都合が悪くなれば増税はやめろと言う、ただそれだけの話です。アメリカの言うことを真に受けていると、日本経済はとんでもないことになります」と結論しています。

 

アメリカの意見は参考になりませんが、自民党内の意見はどうでしょうか。田村氏は岸田派の山本幸三議員に注目しています。「山 本議員は一議員のように見えるかもしれませんが、アベノミクスの異次元緩和はもともと山本議員のアイデアです。山本氏は安倍総理が自民党総裁に就任する前 から、安倍総理に対して異次元緩和をすべきだと働きかけてい」たという、アベノミクスのキーパーソンです。

 

当初、山本議員は異次元緩和によって消費増税のマイナス影響は相殺されるという考えのもと消費増税に賛成していましたが、消費 増税後に景気は大きく落ち込み、今では消費再増税は1年半延期すべきだと主張しています。田村氏は「山本氏は自らの過ちを認めたからこそ、消費増税延期論 を主張し始めたのだと思います。安倍総理に異次元緩和を働きかけてきた山本議員が増税反対へと転じた意味は大きいと思います」と評価しています。

 

田村氏は日本経済のデフレ脱却のためには、消費再増税はもちろんのこと、ほぼ全品目に軽減税率を適用して「消費税を5%に戻せ」と主張しています。「そのくらい思い切ったことをやらなければ、家計の消費が回復する見通しはありません」。

 

安倍政権は国民に消費増税を課す一方、企業には法人税減税をおこなおうとしていて、家計よりも企業を優遇することで、日本経済を再生しようとしているようです。しかし、中央大学名誉教授の富岡幸雄氏は「法人税を払わない巨大企業」という問題を提起しています。

 

富岡氏は、法の定 める税率のことを「法定正味税率」、企業が実際に負担している税率のことを「実効税負担率」と呼んでいます。大企業は「日本の法人税は高すぎる」と批判 し、安倍政権もそれを引き下げようとしていますが、富岡氏は「日本の法人税が高いかどうかを判断するためには、実行税負担率を見る必要があります」と指摘 しています。実際、富岡氏の調査の結果、「実効税負担率が20%台という企業が圧倒的に多く、中には1%に満たない企業も存在すると言う驚くべき実態が明らかになりました」。(ソフトバンクの実行税負担率は0003%、ファーストリテイリング(ユニクロ)が691%、みずほ銀行が863%など)

 

最終的に富岡氏は「私は、日本は世界一安い法人税率にしてもよいと考えています。仮に地方税を含めた法人税率を20%くらいまで下げたとしても、巨大企業が正常な所得につき税率通りの税金を払えば、今よりも15倍近くの税収は上ります」と述べています。

 

また消費増税と法人減税の関係について、富岡氏は「法人税を減税するためには、代わりの財源を確保しなければなりません。消費増税の目的は、法人税減税によって減った税収を穴埋めすることです。実際、1989年度からの25年間で、法人税の累計僧減収額は255兆円なのに対して、同時期の消費税収の累計は282兆円です。ここからも、これまでの巨額の消費税収のほとんどが法人税の減収の穴埋めに消えてしまっていることは明らかです」と指摘したうえで、「巨大企業を優遇するために国民に負担を強いるような策謀は、何としても潰さなければなりません」と訴えています。

 

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