自民党政権の沖縄観 | 『月刊日本』編集部ブログ

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 まだ内閣発足前ですが、安倍新政権は早速躓いてしまったように思います。


 安倍氏は21日、山口県庁で記者会見し、米軍普天間飛行場の移設問題に関し「名護市辺野古に移設する方向で地元の理解を得るため努力したい」と述べ、県内移設実現を目指す考えを示しました(『沖縄タイムス』12月22日付)。


 民主党政権の3年半の間に、沖縄をめぐる状況は劇的に変化しました。また、辺野古への移設については、アメリカ側も見直しを始めていると報道されています。それにも関わらず再び辺野古移設をぶちあげるというのでは、あまりにも現状を把握できていないと言わざるを得ません。

 

 安倍氏がどのような根拠から辺野古移設を主張しているのか定かではありませんが、3年以上政権の座から遠のいていたというのがやはり大きいように思います。また、自民党にオバマ政権とのパイプがないことも一因かもしれません。

 

 その一方で、石破茂・自民党幹事長は16日夜の記者会見で、米軍普天間飛行場の移設先について「選挙中も言ったが、最終的に県外移設というゴールにおいて、党本部と沖縄県連に齟齬はない」と述べ、さらに「日本全体で負うべき(負担)を沖縄に押しつけていないか。普天間が今のままというワーストを、ステップをふみながら解消しないといけない」、「辺野古移設はベストでなくワース。県民の理解なくして済むものではない」と語りました(『朝日新聞』12月17日付)。

 

 石破氏には弊誌12月号においても、沖縄の基地問題について論じていただきました。新政権沖縄問題日米問題をどのように進めていくかを占う上で、重要なものとなっています。ご一読ください。(YN)




『月刊日本』12月号
安保条約に胡坐をかくな」より



―― 憲法を改正して自主防衛路線へと転換するとなれば、在日米軍基地の削減も問題となってくる。

石破 日本は日米安全保障条約によりアメリカに基地を提供する義務を負っている。しかし、集団的自衛権を前提としてお互いに守り合う同盟になれば、米軍に基地を提供する条約上の義務もなくなる。アメリカが当初、日本に集団的自衛権を行使させたくなかったのはそのためだ。

 それゆえ、「日本にアメリカの基地はいらない」、「アメリカは出ていけ」と主張する人たちこそ「集団的自衛権を行使できるようにすべきだ」と言わなければ、論理が通らない。

―― 沖縄の米軍基地問題についてはどう考えるか。

石破 沖縄問題の本質もまた、日本が自国で行うべきことをアメリカに負わせてきたという点にある。沖縄に駐留している米軍が自衛隊に置き変わったらどうだろうか。私は沖縄の人たちが現在のように反発することはないと思う。

 私は防衛庁長官の時から、沖縄の部隊はなるべく沖縄県人によって構成される共同部隊であるべきだと主張してきた。

 それと同時に、なぜ日本に海兵隊がないのかと提起してきた。海兵隊の任務は、①自国民救出②島嶼防衛③真っ先に駆けつけ、補給地・滑走路・港湾を確保すること――である。

 ①と②などあまりにも当然の話だ。しかし、日本はこれらをアメリカに委ねてしまっている。

 沖縄問題を解決するためには、沖縄になければならないもの以外は本土で受け入れることが必要だ。そして、アメリカが現在行っていることの中で、日本が法的にも能力的にも可能なことは、日本自らで行わなければならない。

 この二点をセットにして沖縄を説得すれば、もちろん反対する人もいるだろうが、沖縄県民の過半の理解を得られると思う。今までその努力さえしてこなかったことが問題なのだ。(以下略)





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