アメリカの詭弁 | 『月刊日本』編集部ブログ

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日本の自立と再生をめざす言論誌

 弊誌8月号に掲載した編集部記事「アメリカに奪われた尖閣諸島」について、読者の皆さまから様々なご意見をいただきました。

 ここでは紙幅の関係もあり論じられなかった点について、少し補足しておきたいと思います。

 アメリカが尖閣諸島を日米安保条約の適用対象だと述べたことを取り上げ、アメリカは尖閣諸島における日本の領有権を認めてくれた、という見解があります。

 しかし、これは間違いです。日米安保条約第5条では、

「各締約国は、
日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」

と定められています。そこではあくまでも施政権が問題にされているのであり、主権については論じられていません。
 
 それゆえ、旧日米安保が改定された際、沖縄はアメリカの占領下にあり日本の施政権が及んでいなかったため、安保条約の適用範囲外となったわけです。

 アメリカが「尖閣諸島は日米安保の適用範囲」と述べたからといって、それは日本の主権を認めていることにはなりません。アメリカは従来通り、主権に関してはあいまいな態度をとり続けています。

 実際、台湾政府は、
釣魚台列島(尖閣諸島)の主権問題で米政府も「特定の立場は取らない」と明言しているとして、「釣魚台列島に対する中華民国の主権主張に影響しない」との見解を強調しています(「“尖閣”日米安保適用 外交部:主権主張に影響なし」)。当然、中国も同様の考えです。

 こう主張すると、それでは尖閣を中国に譲るのか、という反論が聞こえてきますが、そのような主張をするつもりはありません。しかし、中国に譲るよりはアメリカに提供していた方がましだ、というのであれば、それは幻想です。アメリカと中国の間にそれほど違いはありません。

 アメリカが日米安保を適用してくれたと喜ぶ暇があったら、アメリカなしにどうやって尖閣を防衛するか考えるべきです。アメリカの詭弁に振り回されている限り、日本はいつまで経っても「属国」の立場を脱することはできないでしょう。アメリカからも中国からも自立する国家を築くためにどうすべきか、それが問われているのだと思います。(YN)




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