こんばんてーん
げきみそです。
今月頭だか先月末だかに発売されていた単行本。
鶴田謙二『モモ艦長の秘密基地』
今年で漫画家デビュー35周年を迎えるらしい、鶴田謙二先生の新作。
新作…とはいえ、こちらは年3発行の雑誌“楽園(ル パラディ)”にて2017年から連載されている作品なので、単行本として纏まるのに約5年掛かっている訳ですが。
ただ正直なところ田舎の書店ではなかなかマイナーな漫画雑誌は取り扱いが少なくて、その“楽園”本誌を見たことは無かったので(笑)本作も店頭で単行本を見掛けて初めて知りました。
(;^_^
個人的には“Spirit of Wonder”やアニメ化もされた“チャイナさんの~”シリーズなどがとても印象深い、独特のSF世界観が魅力の鶴田先生。
今回もそんな作風は健在。
舞台は宇宙、宇宙船(貨物船)で長距離の有人航行を単独で行っている主人公“モモ艦長”の日常が描かれる。
既に人類が宇宙進出をしている模様の世界、宇宙船も完全電化され燃料の全てを電気で賄えるようになり、長距離・長期間の航行が可能になった代わりに起こった食糧貨物問題。
それを解決したのが電気エネルギーを変換して食品を複製することが出来る“電子レプリケートレンジ”という発明品。
…という設定が下地にある、宇宙船内での御話。
人間1人と猫1匹で往復3年近くを過ごす、貨物船。
既に何往復も経験があり慣れているモモ艦長は、操縦もフルオートで監視も切っているのをいいことに、私物化した船内で悠々自適に自堕落な生活を謳歌している。
…ほとんどの場面において、モモ艦長は全裸で過ごしているw
この“全裸”というのも近年に鶴田先生が手掛けられている画集なんかと通じるテーマですから、美しく描き過ぎない“裸”と怠惰な様子を、わりとしっかりしたSF世界観の中で行う贅沢さが良いですよねぇ。
(  ̄▽ ̄)
前述の食品を複製可能な電子レプリケートレンジを使い、電子データで作るのならば…と食品以外のものを作っては趣味に耽っている。
読書が趣味のモモ艦長は、この時代には廃れているという“紙の本”をレンジで複製、船内が書籍の山になっている様子が(宇宙空間で)暗い背景とのギャップにも。
個人的に、この前衛的な世界にレトロな佇まいってのも鶴田先生の作品で好きなポイントですね。(^^)
宇宙船が電力で動いていて電子レンジで何を作るにも電力が必要なので、趣味に費やしたいが航行用にはギリギリのエネルギーしか積んでいない…ってとこを、その計算が出来る優秀な能力を趣味優先に全振りしている辺り、ヲタの行き着く未来像を見ているようで親近感を覚えますw
エピソード自体はオムニバスでこれも1巻の扱いになってはいるが、ちゃんと続巻は出るのかな?←
鶴田先生の単行本というのも2020年代では初でしたから、緩くでもシリーズとして続いてくれたら良いなぁ…
(  ̄ω ̄)
げきみそ☆パーンチッ!! ΣO( ̄□ ̄ o)