嘘つきと今まで何度言われたか。そして今日も嘘をつく | 劇団かに座ブログNeo

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横浜の「劇団かに座」オフィシャルブログです。稽古場日記、公演情報、劇団員募集、演劇に関することをポロポロと書いています。

まぁさぁ~、

なんだかんだ言っても、

今年は悪い流れになっちゃったよね。

そういう時ってさ、

どうにかしようと

ジタバタすればするほど

泥沼にハマっちゃう。

みたいな、

そんな一年だったよね~。

 

と、

今年のヤクルトスワローズについて

回顧する際に

偉そうに語っていた

 

ねこよう

です。

 

 

10月25日(水)

 

京野圭子はゆううつだ。

 

勤めている会社では、

特に仲のいい人もいないし、

カレシはいないし、

自分をキレイだとは思わない。

毎日同じ時間に起きて、

混んだ電車でガタゴト揺られて、

あー早く仕事終わらないかな~

と思いながら、

パソコンの前に座っている。

 

ある日の朝、

課長が

「京野さん、ちょっといい?」

そう私を呼び出した。

 

なんなんだろう?

ひょっとして私なんかやらかした?

あ、

この前風邪ですってズル休みして、

ディズニーランド行ったのバレた?

だってしょうがないじゃない。

土日は混むから平日に行こうって

大学時代の女友達が言うからさ。

 

あの時、

テンション上がってて、

テレビのインタビュー受けたな。

減税についてどう思いますか?

って、

いやディズニーランドで聞くなよなの

インタビュー。

税金が減ってくれるのはうれしいですね。

そんなのミッキーカチューシャ被った女が

言ったって、

説得力も何もないだろっての。

あれがテレビで流れて、

課長が見てた?

うわ~サイアクじゃん。

 

会議室のドアをノックした課長に

「さあ入って」

と促された。

失礼します。

慎重に発して入室すると、

人事課の課長が座っている。

 

「京野さんですか?

 急にお呼びだてしてすみません。

 実は、本日付で中途採用で入社した彼が、

 京野さんとお知り合いだっていうから」

 

人事課長の正面に座ったその人は、

人のいい笑顔を見せて

「久しぶりだね」

と言ってきた。

 

え? 誰?

でも何か見覚えのあるような・・・

 

「田島翔太です。

 ほら、あの、

 こばと幼稚園で一緒だった・・・」

 

ひょっとして・・・翔君?

電車が好きで、

「昨日さ、けいおう線に乗ったんだよ」

とか言ってた翔君?

 

あーーーー!!!

 

私と翔君で、

「なつかしい~」

って大笑いした。

 

課長や人事課長がいる事を

思い出して、

慌てて仕事モードに戻る二人。

 

「まぁ、田島君は、

 転職っていうよりも

 ヘッドハンティングに入るくらいの人だから、

 京野さん、昔の知り合いとして、

 よろしくお願いしますね」

 

かしこまりました。

 

頭を下げて隣を見ると、

よろしくお願いいたします。

って頭を下げた翔君もこっちを

ちらっと見ている。

 

なんか、

ちょっとだけ楽しくなりそう。

 

 

「今日の稽古は」

と打って変換したら、

「京野圭子は」

となったので、

京野圭子って誰?

どんな人?

そう脳が暴走して

こんな一場面を

書き出してしまいました。

 

ちなみに、

今回の芝居と

京野圭子のある一場面は

全く関係ありませんので、

あしからず。

 

 

本日の稽古は、

主役の佐藤君が体調不良で休み。

主役がいないと、

出ていない所をやるしかなくなるので、

かなり稽古できる範囲が狭くなる。

 

そういうわけで、

嘘をつく牧野さんと、

騙されるふりをする馬場君と、

それを見破るオッスさんの

シーンを繰り返す。

 

人は、嘘をつく。

どっちかっていうと、

正直に話すよりも

嘘ついて話すほうが

多いのかもしれない。

(このろくでなし人生観!)

 

演じている役柄が嘘をついている時は、

さらに難しい。

この人が嘘をつくために、

こんな工夫して

こんな事考えていて、

嘘って事がばれないように

このセリフを言うんだ・・・

 

目の前の相手役を

精一杯騙すつもりでやらないと、

お客さんなんて騙せない。

もっと達観した目で見ているんだから。

 

まぁ、

うまくいってないよね~。

何度もやり直している。

繰り返しすぎて、

「よし来い! 行きます!!」

と、変な気合を入れ始める牧野さん。

そういうトコ嫌いじゃない。

 

それを横目に見ながら、

こっちでは舞台監督のなるみさんと

舞台装置についてアレコレと

細かい部分を打合せする。

やる事が多すぎて、

グワー!!!と

10分に一回叫ぶなるみさんを

よしよしとなだめながら、

話を詰めていく。

 

役者も大変だけど、

裏方だって大変なのだ。

どんどん突き詰めていって、

‘‘無‘‘から‘‘有‘‘を作らないといけない。

 

今回の芝居は再演だけど、

前と同じ舞台装置で、

同じ照明音響衣装小道具で。

なんてわけはいかない。

全く新しい

「今度は愛妻家」

を作らないといけない。

 

エ?

照明は何にもしてないじゃないか?

やってますよ~。

頭の中で。

あー、ここはこうしようか。

この場面ではこんな色にしようか。

とにかく、

芝居の‘‘芯‘‘というか、

最も大事な部分を分からないと、

適当な照明で

なんとなーくきれいに見せる事

しか出来なくなってしまう。

前回の公演の時は私もいたが、

あれは、

あの時の役者陣が馬場演出と作った

「今度は愛妻家」

であり、

今回とフィットするものではない。

 

だから、

今回の芝居は照明として

自分がお客さんのために

何が出来るのだろう。

稽古を見ながら

答えを探しているのです。

 

あとは、

年齢もある。

前回上演したあの頃は、

まだ結婚して間もない頃だった。

それが今じゃ離婚して、

娘と住んでいる。

そんないろんな経緯を通ってきた自分が、

この「今度は愛妻家」という戯曲を

どう捉えるようになったのか。

 

時間

というものは、

残酷なものだと思う。

あの頃の

北見やさくらや誠や蘭子や文太が、

物語を終え、

十数年という時間が過ぎた今、

どうなっているのか。

見てみたいなぁと思う。

 

 

おっとこんな時間になっちゃった。

会社の中で、

サボってブログ書いてるのバレたら

課長が苦虫嚙んだ顔するんだよな。

早く戻らなきゃ。

 

ア!

なんだ、京野さんか。

驚かさないでよ~。

・・・うん、ナイショでよろしく。

すみませんネ。

そう言えばさ、

最近、

京野さん楽しそうだよね?

 

なんかあった?

 

 

ねこよう