昨年6月に突然の脳疾患でヴェジテーティブ状態のまま半年以上が経過した知人。
<回復の見込みがない患者さんは退院してください>という現実問題に、高額私立病院から公立病院を経て、現在は介護施設に入居中。
あくび、目の開閉は可能でも、視点があるようには見えない。
しかし、このオッサンになんでこんな有能な女性秘書がいるものなか今も不思議で仕方がないのだけれども、英語ネイティヴ、アラビア語も解する25歳の美人秘書が、
「ギースさんとかの声、わかってますから、話しかけてみてください」
というのだから驚いた。
以前、音大卒の中国人の奥さんに私立病院のICU内で「エリモミサキを歌ってあげてください」と言われるままアカペラで歌おうとしたら看護婦さんに「ツバが飛びますから」と注意された苦い経験がありますが、昨年6月来、ほとんど毎日看病している秘書サンが今さら見舞い客の関心をひいても仕方ないのだろうから、
「オッサン、昔の未払い給料、忘れてないでしょうね」
といった殺伐とした語りかけは封印して、来月日本から友人が見舞いにくることを告げると、目を閉じて涙を流す。
それが感情の涙なのか、乾いた瞳を潤す
単なる生体反応なのか、美人秘書が「今の話がわかったら、目をあけてください」と話しかけると、目をひらく。
以前、ブラックジャックのマンガで植物状態の人間が不規則呼吸を暗号にして意志を伝えるデキスギたエピソードがあったのを思い出したのだけれども、周りの声がわかってて一番シンドイのはオッサン当人なんでしょうね。
