「キミはジェントルマンになれるぞ」 | ローリング・ストーンズ野郎の雑記
ローリング・ストーンズに関する雑記とその他

ロンドンにいた頃、僕はよく中華人民共和国のチャイニーズにいじめられた。

カルチャー・レボリューションの時代にまともな高等教育を受けられなかった方々が1980年代中期のロンドンに留学していた。
僕のホストファミリーのお父さんが元外交官だったので、そうした中国人留学生らを夕食などに招いた時には、まずきまって先方から、

「日本は中国でどんなことをしたか知ってるか」

という話が出た。
当時二十一歳だった僕は、「それって初対面の人間同士が夕食の席でする話なのか」と不思議に思いながらも、

「僕が生まれる二十年以上も前の話ですから、南京ジェノサイドだってどこまでホントのことかわからない。それがホントだったとしたら、僕にどうしろと言うんでしょうか」

と突き放せば突き放すほど、相手は増長して、

「今の若いジャパニーズはみんな、こうなんですか? 謝ることを知らないんですか? 日本の将来にとっては嘆かわしいことです」

などと言っては、元外交官のイギリス人に同意を求めていた。
そういう出来事が天安門事件以後であったのなら、僕も多くの言葉を使っていた可能性もありますが、ホストファミリーのいつもは厳しいお父さん は席をたつふりをして、

「ここでイージーにアポロジーしなければ、キミはジェントルマンになれるぞ」

と小声で言ってくれたので、ジェントルマンになりたかった僕は謝りませんでした。

と前置きが本筋より長くなりましたが、酒グセの悪さ と、政治家としての資質は必ずしも相関するものではないけれど、そういうゴーマンきわまりないニーハオな連中に断固として「NO!」と言えた数すくないポリティシャンの中川昭一の突然の訃報にはビックリした。

僕の場合もそうでしたが、心筋梗塞は突然やってきた。
前触れはあったのだろうけれど、前後左右に四本の五寸クギを同時に打ち込まれているかのような激痛が心筋梗塞であることを認識できる余裕なんて、普通の人にはない。

僕がこっち側に戻ってこれたタイミングに、中川元大臣は向こう側に行かざるをえなかった、ということが同じ症状経験者としては残念でならない。

ちなみに、僕は、昨日今日と、前々から予定されていた冠動脈強化?の治療を受けたので、これでしばらくは大丈夫でしょう、とのことです。
もちろん、暴飲暴食厳禁が大前提ではございますが。