かつてのタイ人社会の韓国ギライは大変キビシイものがあったけれど、ここ数年で大きく好転。
ハナもひっかけられなかった家電製品は飛ぶように売れ、韓国ブランドの携帯電話端末はノキアひとり勝ち市場の勢力図を大きく塗り替えた。
芸能界にもハン流ブームの波が押し寄せ、有名人気アイドルグループがバンコク公演を行い、さらには出稼ぎ的にタイに進出していた韓国人男優が怨みを買った女性ファンにビール瓶で頭を一撃される、という事件も起きている。
ある日、僕が家に帰ると、家の人間が竹野内豊の日韓合作ドラマ「輪舞曲」を見ていたが、タイ語字幕がついていることに驚いた。
華僑系の友人に「面白いから見てみろ」と言われて借りてきたのだそうだ。
「タイ愛国党員の家に、ウインドウズの海賊盤が置いてあっちゃマズイからね」 の精神はどうしたものなのか、家の人間は違法品「輪舞曲」にシッカリとハマっていた。
今年2006年の第一四半期にTBS系で放映された日韓合作テレビドラマ「輪舞曲」。
僕は毎回ほぼ一週間おくれの時差で、日本人向けテレビ番組レンタルサービスで視聴。
基本はただの日韓ラブストーリーに、「これでもか、これでもか」のサスペンス色を強調したあまり、盗作疑惑も取り沙汰された。
竹野内豊と「冬ソナ」女優の共演が第一義的に注目されていたけれど、オトボケおじさん橋爪功のいつにないシリアスな配役も面白かった。
屋台、ビル内屋台で白昼堂々と流通しているタイ語字幕付き版は、韓国に流れた日本製DVDボックス版から日本語字幕を抜き、タイ語を挿入したものと推測できる。
「違法行為」「著作権侵害」を棚にあげて考えると、11時間作品に字幕をかぶせた翻訳者の熱意は瞠目に値する。
「水戸黄門」時代 よりは確実に進化してるのではないだろうか。
ライセンス取得ずみの日本のマンガ、ドラマの翻訳作業は概ね、日本語を学習している大学生サークルの手によるところが大きい。
上流家庭のお嬢さんたちが一日250バーツ(約750円)のアルバイト料で、マンガやドラマの翻訳を請け負っている。
電話口でいきなり、「「このヤロウ、やりやがったな」はタイ語でなんと言いますか?」などと尋ねられると、「そんな野卑な言葉は使ったことがないからなあ」と僕も困ってしまうんだけれど、趣味とはいえ若いタイ人たちの「日本、韓国のドラマも面白いんだよ」のメッセージが正当に評価される日も、そう遠くはないのかも知れない。
