山川 健一
昨年4月に、東京駅内の書店で見つけて購入したものの、日本に置き忘れていた本。
ようやく読了。
山川健一氏といえば、とうぜん、ストーンズ論でも著名な小説家だけれど、この本は面白い。
幕末時代の、老若貴賎を問わず、志をもった日本人の危機意識、人間像を力強く描き、現代の日本人を鼓舞する、異色のエッセイ。
山岡鉄舟、勝海舟、坂本龍馬、高杉晋作らの偉人像とは別次元として、著者は板垣退助にも言及している。
板垣退助といえば、小学校の道徳のテキストに、「板垣死すとも自由は死せず」という訓話が出ていた。
瀕死の床で板垣は、「自分を殺せたとしても、自由は殺せん」と大見得を切り、さらには自分を襲った暴漢を許した、というような話だった。
しかし、僕はお子様ながらも、そういう美談はウサン臭いと思っていた。
後日、さらに調べてみると、板垣は暴漢に刺された時には死なず、幕末維新人としては、かなりの長寿を全うしている。
しかも、晩年になって、「自由は死すとも、板垣死せず」と風刺漫画にされている。
そこを、著者は板垣退助を「変節漢」としてバッサリ一刀両断しているところが小気味よい。
こういう本が手ごろな価格で読めるのだから、学校で学ぶ歴史はあくまで進級、進学試験用の知識でいい、と僕は思う。
