野坂 昭如
野坂氏を初めて知ったのは、10代のころ。
突然のように田中角栄にくってかかり、83年の衆院選に出馬。
選挙番組で田中軍団七奉行の渡部恒三相手にああでもないこうでもないと意見を戦わせていた。
落選。
その後しばらくして、何かのパーティーの壇上で、横にいた大島渚氏を突然殴り飛ばしたのを見た。
いきなり殴られた大島監督も、原因がわからず、おののいていた。
アニメ公開時に僕は日本にいたので、付和雷同で映画館まで観に行った。
僕はやっぱりヒネクレモノだったのか、当時のガールフレンドも含めて、「さあ、みんなで泣きましょう」「シクシクシク」といった館内の雰囲気が異常にカンに触り、見たのはソレッキリ。
バンコクのコピー屋台でアニメDVDを見かけても、懐かしくもなんとも思わなかった。
昨年11月?にテレビドラマ化された「火垂るの墓」も視聴した。
高視聴率女優松嶋菜々子が主演。
イメージ拡張といわんばかりに長身松嶋が意地の悪いオバサン役を演じるが、そんなものを主役に据えたということは「火垂るの墓」は原作ではなく、原案ということなのか。
が、衰弱死寸前の節子ちゃんが泣きじゃくりながら、「おにいちゃん、いかんといて」とすがりつくシーンには、不覚にもヤバくなった。
おにいちゃん=清太は、「僕は海軍ダレソレの息子です」とやけに胸を張り、町内会奉仕は放棄しながらゴハンが少ないと不平をこぼし、空襲泥棒を繰り返し、結果的には守るべき妹を死においやってしまう。
まあ、いち小説だし、いちドラマだし、「戦争って悲惨ですね」で完結してもいいのだけれど、
・無駄にプライドは高いが、実態はただのワガママ
・空気が読めない
・火に油をそそぐ
・見つからなければ何をしてもいい
が人生4原則の清太みたいな人間は、戦時下でもないタイにもいっぱいいる。
物理的にも節子になりかけている人間、ことがらも、「ない」とはいえない。
社会構造そのものが清太に思える時もある。
僕自身が清太になってしまいそうな時もある。
「創作の中の、戦争の悲劇」ではなく、現実問題としての「火垂るの墓」が目の前に横たわっているから、やはり、なかなかタイを見捨てきれずにいるものなのか・・・。
「そんなことは祭りの黒子風情の、しかもガイジンのオマエの知ったことじゃない。さっさとこの国から立ち去れ」などと言うヤツがいたら、いつでもハリ倒せるように、早く右手も治しておかなくてはいけない。
自分の言ってることが「独善すぎる」というのは僕も判ってるんですが、ヤセガマンを貫き通せなくなったら、さっさと日本に帰るか、ノルウェーに引っ越します。
