※このページは、『脱出ゲーム 香川県からの脱出』の途中のページです。ゲームを最初から始めたいときは、「【脱出ゲーム 香川県からの脱出】タイトルページ」へ進んで下さい。
綾川
i
「私のために、わざわざ手に入れてくれたのですか! ありがたい! ……ありがたいのですが、私が悩まされている青蠅というのは、昆虫のハエのことではないのです」
「中国の『詩経』という書に『営営青蠅、交乱四国』という言葉が出てきます。青く汚染された蠅があちこち飛び回って、諸国を乱すという意味です。
青蠅とは讒言(ざんげん)、つまり嘘の中傷をする、政治家や役人を指します」
「私が讃岐守としてこの地に赴任していた頃は、清く慎ましい政治を心掛けていました。
しかし、青々と汚染された蠅どもを排除できず、貧しさに苦しむ民を救うことができませんでした。
苦しむ民衆のことなど気にも留めず、私腹を肥やすことしか頭になかったあの蠅どもが、今でも恨めしいのです」
ii
「今また、あの頃と同じような青蠅どもが、勝手気ままに飛び回り、民をないがしろにして政治を私しているようですね」
「“学問の神”と呼ばれている私の目から見ますと、そもそも県強付会の連中も、条例に賛成したほかの議員たちも、そして教育委員会も、勉強が足りません!
彼らは『テレビゲームをやると子供たちが勉強をしなくなり、学力を落とす』と主張しています。でもそういう本人たちこそ、何の勉強もしていないではないですか。
だから怪しい言説、デマ、フェイクニュース、疑似科学、オカルトに、いとも簡単にだまされるのです」
「『ゲーム脳』などという偽科学をいまだに信じているような人は、小学生並みの国語の読解力も、科学の知識も持ち合わせていません。
たとえそういう人でも、ちょっと調べれば、『ゲーム脳』が偽科学だということが、遅くとも十年以上前にはよく知られていたということくらいわかるはずです。
つまり青蠅どもは、今携わっている政治・行政・報道案件についての、わずかな調査をすることすら怠っている。これでよく子供たちのことを悪しざまに言えたものです」
iii
「私は福沢諭吉という若い人が書いた、『学問ノスゝメ』という本を読んだことがあります。この本で彼はこう説いています。
『天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず』
『人は生まれながらにして貴賤・貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり』
つまり、身分制度が廃止になった以上、良く勉強したかどうかでその人の身分が決まる、と」
「しかし、今の日本社会は果たして、彼が想像した通りになっているでしょうか?
青蠅どもは、ろくすっぽ学問をすることもなく、まるで、『天が人の上に造った人』であるかのように振る舞っているではないですか」
iv
「特に酷いのが、所属していた会派の方針に反し、会派を辞めてまで、自分の意志でこのトンデモ条例に賛成した議員ですな。
まるで秦の始皇帝の後継者、二世皇帝・胡亥(こがい)のように、偏った情報を信じ込み、馬と鹿の区別さえできなくなってしまった」
「いや、この議員に限らず、条例に賛成した議員は全員そんな感じでしょう。
讃岐には少なくとも、23人の胡亥がいる。
市町議会も含めれば、おそらくもっといるでしょう」
「勉強もしないのに、自分は賢いと思い込んでいる輩が権力を握ると、人々の役に立つ者が粛清され、政治は乱れてしまいます。今のうちに何とかしなければなりません!」
「金刀比羅宮におわす崇徳天皇と手を組みたいのですが、連絡が取れません。
讃岐に邪気が満ちあふれているのを感じた、崇徳天皇か大物主神(オオモノヌシノカミ)が、結界を張ったのかもしれません」
「あなたも邪気にお気をつけ下さい。これを差し上げましょう。邪気や悪意に覆われた、大量の物質を取り除くことができます。私は以前、蜂の群れに襲われたとき、これに助けられました」
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※この作品はフィクションです。実在する人物・場所・団体等とは関係ありません。
公式動画・ニュース動画
綾川町選挙区
定数 1 立候補者 2
ゲーム規制条例に
賛成議員 1 反対議員 0 中立議員 0
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周りの人に知ってもらいたいこと
(「高齢者と同居しています」「基礎疾患を持っています」等)
幸福追求権(日本国憲法第13条)
“恋人の聖地”エンジェルロード
参考資料
子どものゲーム依存防げ 四国新聞 紙面で警鐘、啓発用DVDも配布 健康懸念 香川で条例化へ(北海道新聞 2020年1月27日)
よろしければこちらもお読み下さい(ゲイムマン(府元晶・竹谷新)による解説)
「ゲーム脳」とは何か? ~「日本人として非常に恥ずかしい」
(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)『テレビゲームのちょっといいおはなし・3』より)