「まぁ、こいつがやたらやばいやつなのは
だいたい理解できた。」
黒騎士は白い少年を見てそう呟く。
「でもこいつだって人間だし、
少なくとも現状お前達にも危害はない。
そうだろ?」
今度は私を見つめてそう問いかける。
「…神狩りの剣は腐神を
殺すために存在する。自分の職務を超える、
または自分の職務が怠慢。もしくはーー」
「文字通り、気まぐれよ」
たった「神狩りの剣」となったものの
気まぐれで神は殺されるのだ。
私としてはとんでもないことだと
強く感じてしまう。
「でも、結局こいつの親は
『神狩りの剣』として
機能していないんじゃないのか?」
黒騎士は眉一つ動かすことなく
問いかけてくる。
「…その通り、彼の母親は
堕天使なのは確かだけど、そもそも
器は『人間』そのもの。天使に実体はない」
おじさんが口を開いた。
「つまり『神狩りの剣』の魂が
入る予定の『肉体だけ』の器に
堕天使の魂が乗り移ってしまってね…」
「…?考えてみたら堕天使は
人に害を為すんじゃないのか?」
「それは人が勝手に考えたものだよ。
実際には、天界の意思に背けば堕とされる」
「なんかそれは…世にいう社畜だな…?」
黒騎士が目頭を押さえてそう答えた。
「まぁそうだね、天使は人間の魂が
元だし、そもそも雇用制だからね」
「はぁ…!?死んでも働くのかよ…」
黒ずくめの男が随分と取り乱す。
「『この世をよくするために
一緒に働いてくれ』なーんて、神様から
言われたら働いちゃうでしょう?」
と、クスリと笑いながら返すおじさん。
「堕天使は人間が大好きなんだ、
好きすぎて飽和させてしまうほどにね。
ほら、本来僕達はこの世のすべての生物が
平等になるようにしなくてはならない」
「でも、こうして人間が良いように
世の中を動かしてしまうだろう?
それって全部堕天使のせいなの」
「じゃああんたらは俺達の敵ってわけか…?」
殺気を滲ませてそう問いかけてきた
「もしそうだったら容赦なく
半分くらいは殺すわ…神といえど感情が
あるのが大半で、だからこそ堕天使は
度が過ぎなければ放置する」
というか、私からすれば
寿命を全うしていない命を刈り取るのは
心苦しいのだ。