ケーゲルのベートーヴェン
交響曲第 7&2番
曲目/ベートーヴェン
1.交響曲第7番イ長調Op.92
2.交響曲第2番ニ長調Op.36
指揮/ヘルベルト・ケーゲル
演奏/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
2.交響曲第2番ニ長調Op.36
指揮/ヘルベルト・ケーゲル
演奏/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
録音/1982-83 ドレスデン・ルカ教会
P:Eberhard Geiger
E:Horst Kunze
独DELTA MASTER J-19452
1982から83年にかけてステレオ録音された、ケーゲルの伝説的な全集録音の中の一枚です。記憶が正しければデジタルで録音された世界最初のベートーヴェンの交響曲全集だったはずです。この全集の良いところは全集でありながらCD一枚づつが単独のプラケースに入っているので気軽に持ち歩いて聴くことができる点です。いまのボックスセットは紙ジャケット入りで、暫く前は組み物専用のケース入りでしたから持ち歩くには不便でした。また、このセット当時は発売窓口がなかったこともあり、今では考えられませんがレコードチェーンの新星堂がデルタミュージックから直輸入したものです。ですからCD番号の頭に「J」が付いています。
さて、ケーゲル(1920/7/29-1990/11/20)はピストル自殺というあまりにも凄惨な亡くなりかたをしたためもあってか、猟奇的なまでの個性派と見られがちなこの指揮者がここで聴かせてくれます。そういえば、音楽之友社のムック「究極のオーケストラ超名曲徹底解剖66」でベートーヴェンのの交響曲第7番が取り上げられていて、その中でこのケーゲルの演奏も言及されていました。そういう事と、例の「のだめカンタービレ」で一躍スポットが当たった曲でもあります。
ヘルベルト・ケーゲル
これが実に良い演奏です。第1楽章などは遅めのテンポ設定で流麗優美な表情を徹底して追及したものになっています。余分な音が無くきわめて澄明なベートーヴェン演奏には正直言って驚かされます。冒頭の和音は巨匠風にテヌート気味に延ばしてどっしりとした重厚感を醸し出しています。ヴィヴァーチェの主部は対照的にホルンを咆哮させるし歯切れのいいリズムでぐいぐい押しまくります。ユニークな表現がいたるところに聴かれれまるでSオケの演奏を聴いている面白さがあります。比較したカルロス・クライバーの演奏には感じられない雰囲気です。まあ、オーケストラのレベルはちょっと落ちフルートソロなんかは今イチな部分もありますが音楽は聴いて楽しければ良いんです。
総じてコントラバスの旋律が強調されている演奏なんですがその効果を感じられるのはムックの記事でも指摘されている第2楽章です。ゆったりとしたテンポで流れるアレグレットにのって聴かれる微妙な弦の音色の変化は素晴らしく悠久の時を感じることができる名演です。所々で見せるティンパニの強打が効果的でしびれます。
| 指揮者 | 第1楽章 | 第2楽章 | 第3楽章 | 第4楽章 |
| ケーゲル/ドレスデンPO | 12:55 | 9:23 | 8:47 | 9:02 |
| クライバー/ウィーンPO | 13:29 | 8:02 | 8:13 | 8:33 |
| カラヤン/ウィーンPO | 11:36 | 8:36 | 7:39 | 6:41 |
第3楽章は一転して速いテンポと歯切れのいいリズムで快調に進んでいきます。そして、トリオに入る直前の劇的なリタルダンド。これが効果的です。そして、ここでもスカッとするぐらいにかっこ良くティンパニが響きます。
編集上こうなっているのでしょうが、4楽章はアタッカで繋がっています。この連続感はまるでライブ演奏を聴いているような興奮を味わうことができます。第4楽章のリピートは他に例のないアプローチ方法です。後半のバス・コンティヌオも盛大で迫力充分、凄い演奏です。再三にわたって指摘しているティンパニですが、まるで「のだめ」の中の真澄ちゃんが演奏しているような雰囲気でかっこいいです。
併録されている交響曲第2番も聴き応えがあります。ベートーヴェンの交響曲の中では比較的聴く機会の少ない曲ですが、ケーゲルは全然手を抜いていません。ベートーヴェンの若々しさをそのままにダイナミックな演奏で歯切れのいい処理で聴かせます。


