音楽閑話 | geezenstacの森

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音楽閑話

 

 

 英国のクラシック音楽雑誌「グラモフォン」が年度賞「グラモフォン・アワード=Gramophone Classical Music Awards 2025」を発表しています。「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」は70歳のサイモン・ラトルで、「ロンドン交響楽団、バイエルン放送交響楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団における近年の傑出した活動」が評価されたのでしょう。

 賞は1977年の創設で、前年1年の録音が対象になっています。クラシック音楽界で最も権威のある賞の一つでしょう。日本のレコードアカデミー賞がレコ芸の休刊とともに無くなってしましたからねぇ。今は形を変えてオンライン上で「新レコード・アカデミー賞」が企画されているようですが盛り上がりにはかけます。現在はノミネート作品として「オーケストラ曲」や「室内楽/器楽曲」「鍵盤曲」「音楽史」「現代曲/ポスト・クラシカル」「オペラ/声楽曲」の各部門がリストアップされています。オーケストラのトップにはクラウス・マケラ指揮オスロ・フィルハーモニー管弦楽団のショスタコーヴィチの交響曲第4-6番が赤っていますが、まずは順当なところでしょうか。まあ、これから大賞が発表されるのでしょうがほとんど注目されていないのが残念なところです。

 

 これに対して「グラモフォン・アワード」は「グラモフォン」誌の批評家などを中心に、放送局や音楽業界のさまざまなメンバーによって選出されています。「オーケストラ・オブ・ザ・イヤー」は2018年から、7月から9月にかけて行われる一般投票によって決定されており、2025年はノルウエーのベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団が選ばれています。主な受賞作は以下の通りです。

 

……… 年間賞

[Label of the Year]
  パラツェット・ブリュ・ザーネ

[Lifetime Achievement]
 トーマス・アレン(バリトン)

[Young Artist of the Year]
 マリア・ドゥエニャス(ヴァイオリン)

[Artist of the Year]
 サイモン・ラトル(指揮)

[Orchestra of the Year]
 ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団



 

……… 録音賞

[Chamber]
 ● ブラームス:ピアノ四重奏曲第2番、第3番
  =マリア・ノヴァク(ヴァイオリン)
   カタジナ・ブドニク=ガウォンズカ(ヴィオラ)
   岡本侑也(チェロ)
   クリスチャン・ツィメルマン(ピアノ)

[Choral]
 ● バッハ:ミサ曲ロ短調
  =ラファエル・ピション(指揮)
   ピグマリオン

[Concerto]
 ● エルガー:ヴァイオリン協奏曲
  =ヴィルデ・フラング(ヴァイオリン)
   ロビン・ティチアーティ(指揮)
   ベルリン・ドイツ交響楽団

[Contemporary]
 ● ジョージ・ベンジャミン:オペラ《こんな日を思い浮かべて》
  =ジョージ・ベンジャミン(指揮)
   マーラー室内管弦楽団
   マリアンヌ・クレバッサ(メゾ・ソプラノ)
   アンナ・プロハスカ(ソプラノ)
   ジョン・ブランシー(バリトン)
   ベアーテ・モルダル(ソプラノ)
   キャメロン・シャーバジ(カウンターテナー)

[Early Music]
 ● クラシンスキ写本~クラクフからの15世紀の音楽
  =アグニエシュカ・ブジンスカ=ベネット(指揮)
   アンサンブル・ペレグリーナ
   アンサンブル・ドラグマ

[Instrumental]
 ● パガニーニ:24の奇想曲
  =マリア・ドゥエニャス(ヴァイオリン)

[Opera & Recording of the Year]
 ● ワーグナー:さまよえるオランダ人
  =エドワード・ガードナー(指揮)
   ノルウエー国立歌劇場管弦楽団
   ジェラルド・フィンリー(バリトン)
   リゼ・ダヴィドセン(ソプラノ)

[Orchestral]
 ● ワイル作品集
  =ヨアナ・マルヴィッツ(指揮)
   ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団

[Piano]
 ● ブラームス:ピアノ・ソナタ第1番、他
  =アレクサンドル・カントロフ(ピアノ)

[Song]
 ● ピーター・ピアーズのための歌曲集
  =ロビン・トリッチュラー(テノール)
   マルコム・マルティノー(ピアノ)

[Voice & Ensemble]
 ● コンテンプラシオン
  =ヒュー・モンタギュー・レンドール(バリトン)
   ルーアン・ノルマンディ歌劇場管弦楽団
   ベン・グラスバーグ(指揮)
   エリザベス・ブードロー(ソプラノ)
   トリニティ少年合唱団員

 

 オーケストラも毎年選ばれていますが、日本の権威主義とは違い過去の授賞オーケストラは、2018年がシアトル交響楽団、2019年が香港フィルハーモニー管弦楽団、2020年がフィラデルフィア管弦楽団、2021年はミネソタ管弦楽団、2022年バイエルン州立歌劇場管弦団、2023年ドイツ・カンマーフィル、2024年ロイヤル・リヴァプール管弦楽団となっていました。まあ、イギリス人中心に選ばれることもありますがこの彩色豊かです。日本だとどうしてもベルリンフィルとかウィーンフィル、コンセルトヘボウあたりが常連になってしまいますからねぇ。