ショルティの惑星 | geezenstacの森

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ショルティの惑星

 

曲目/ホルスト

組曲≪惑星≫ 作品32 

1.火星-戦争の神 6:41

2.金星-平和の神 8:20

3.水星-翼のある使いの神 3:49

4.木星-快楽の神 7:15

5.土星-老年の神 9:49

6.天王星-魔術の神 5:34

7. 海王星-神秘の神  8:02

 

指揮/ゲオルグ・ショルティ

演奏/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

  ロンドンフィル合唱団女声メンバー

(合唱指揮:ジョン・オールディス)

 

録音:1978/02 キングスウェイ・ホール

P:ジェームズ・マリンソン

E:ケネス・ウィルキンソン、アンドリュー・ピンダー

 

キング SLA1186

原盤 DECCA ZAL16044、16045  SDLB5395L、536L 

 

 

 このレコードジャケットは日本独自のもので、かの横尾忠則がデザインしています。ジャケットの左りに縦に「THE PLANETS」と配されているのは横尾氏のせめてもの抵抗だったのでしょう。なぜなら日本版は最終的にはこの部分に帯が配され隠れてしまうからです。まさに日本のレコードならではのデザインです。

 

実際の手持ちのレコード帯のついた状態

 

 で、本国では豪華見開きジャケットで発売されています。番号も通常のものでなくSET628というカタログ番号になっていました。まあ、これが現在でもCDとして発売されているジャケットになります。

 

 

 ゲオルク・ショルティは、アナログ最後期の1978年に「惑星」を録音しました。当時、シカゴ響を使わずに、もう一方の手兵、ロンドン・フィルハーモニーを起用したことも話題となったものです。しかも、このロンドンフィルは直後の1978年5月12, 30日、場所も同じキングスウェイ・ホールを使ってボールトが生涯5回目録音をしているのです。そんなことで、話題性を作ろうとキングレコードが横尾忠則のデザイン画を使って差別化を図ろうとしたと言えます。その近未来的かつシュールな趣きのジャケットはインテリアとしても使えそうな感じでした。さらにおまけで特大ポスターまでついていたのです。

 


 

 まずは、ロンドンのキングスウェイホールの重厚かつ響きの良い音響をとらえた録音の素晴らしさに驚きます。
フォルテやアレグロの曲では、いかにもショルティらしい、威勢のいい一筆書きのような演奏となっている一方、金・土・海王のしっとり系では、円熟の兆しにあったショルティがじっくりと腰を据えて音楽と向かい合ったような味わいがあります。ブリリアントな弦の響きを持つロンドンのオケを起用した訳がよくわかります。ところでデッカにはこの時代、以下の「惑星」の録音があります。

 

・1954 サージェント/LSO

・1957 カラヤン/VPO

・1970 バーナード・ハーマン/LPO フェイズ4録音
・1971 メータ/ロスフィル

・1978 ショルティ/LPO

・1986 デュトワ/モントリオール

 調べるとこれ以降デッカの正式録音はないようです。ということで、デッカがイギリスのオーケストラを使って録音したものとしてはショルティ盤が今のところ最後ということになるようです。


 火星や木星、天王星などの賑やかな部分では、ロンドンフィルの金管もいいが、シカゴだったらさぞや・・・と思います。ちなみにシカゴ響はジェイムズ・レヴァインと組んでDGGに名演を残しました。これは結構売れたんじゃあないでしょうか。
 

 このショルティの演奏は「火星」からして速いテンポで畳みかけます。ボールトの演奏と比べると特急と普通ぐらいの違いがあります。しかし、全体の演奏はショルティが「土星」と「海王星」でたっぷり時間をかけているので
トータルでショルティのほうが長尺になっているのは予想外でした。

 

 

 さて、このレコードには別の楽しみ方があります。それはアナログならではのもので、レコード・プレーヤーのカートリッジを取っ替え引っ替えして鑑賞することです。そんな面白いサイトがネットで見つかりました。このサイトでは手持ちのカートリッジ12種類でこの「惑星」が如何に再生できるかを検証しています。オーディオ・テクニカ、スタントン、シュアー、デンオン、グレースなどのカートリッジを使って検証しています。まあ、YouTube音源は一度デジタル変換されていますからその違いが聞き分けられるのか微妙ですが、凝り性のマニなら合点がいくでしょう。ご用途お急ぎで無い方は一度アクセスして見てください。