レコード芸術 1973年2月号 5 | geezenstacの森

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レコード芸術 

1973年2月号 

5

 

 

 スターンがソリストでバレンボイム指揮という共演はCBSにかなりあります。モーツァルトだけでもVn協奏曲3曲、コンチェルトーネK.190、当K.364。バレンボイムと親交の深いズーカーマン(va)も参加したものもあります。年配のソリストと若い指揮者という組み合わせはその中でも興味深いもので、ここではカール・シュターミッツの作品ではズーカーマンはヴィオラを弾いています。バレンボイムはかなり遅いテンポを取って演奏しています。オケは殆どファミリーのようなイギリス室内o.。いかようにも動いてくれる彼のホームである。スターンに好きなように弾かせているようで全て想定内の演奏なのでしょう。下はその時の録音セッションのグラビアです。モーツァルトを演奏しているとあって石井宏氏がこの録音を紹介しています。なかなか読み応えがあり、本誌に連載中の「素顔のモーツァルト」ばりの文章になっています。ただ、一連の写真については何のキャプションもついていないのでこの録音のプロデューサーが誰だったかは確認できませんでした。推測では70年代でかなり若いのでアンドレアス・K・マイヤーのような気もするのですが・・・

 

 

 この月はどこも広告の出稿は少ないようで4ページ告知が多いように感じました。コロムビアのその口で、トップは魔・クレール・アランが占めています。この70年台はオルガン奏者のトップで体系的にバッハの録音を進めていたのはエラート理方針なのでしょうが、こういうポリシーは保刈レコード会社には少なくなっていました。CBSのパワー・ビッグスにしろフィリップスのダニエル・コルゼンパ、アントン・ハイラー、ヴァージル・フォックスにしろみな単発ですからねぇ。

 

 ここでは来日記念盤として「バッハ・オルガン名曲集」が再発ながらトップで告知されています。面白いものでこの当時の器楽曲は選評を小石忠男氏が行なっているのですが、再発にも関わらずトップて取り上げ推薦を付けています。他の部門ではこんなことはないのですが、小石氏は器楽曲としては初めてなので自分の視点で旧譜も平等に評価しているのでしょうか。

 

 また、この年の秋にエラートとの契約が切れるので2枚組3000円でジェミニシリーズという企画も打ち出しています。

 

 

 

 日本コロムビアのクラシックはメインがエラートとスプラフォンのみになていましたから、必死に新録音を投入しています。よく見ると、バロックものの中にミラン・ムンツリンゲルのスプラフォン物も混ぜ込んでエラートの穴を埋めよとしているのがわかります。

 

 

 そうそう、コロムビアには準メジャーのオイロディスクもありました。アンナ・モッフォはそんな一枚でしょうか。コロムビアとしてはひっとしたフルトヴェングラーの栄光シリーズに加えて、クレンペラーの芸術もシリーズで投入しています。ヴォックスに残したクレンペラーがウィーン交響楽団を指揮したもののシリーズです。それよりも囲みで近日発売で告知している「エラート発売12周年企画」の「バロックの大作曲家たち」がエラート1000シリーズで2月25日発売という企画が目をひきます。ここでもコロムビアが先鞭を切ってバロックブームを牽引していきます。この「バロックの大作曲家たち」は別刷りのパンフレットを手に入れチェックしながら手持ちの曲目とダブらないように購入したものです。

 

 

 そして、各シリーズの1000円盤も続々投入しています。フランスムジディスク原盤を使ったパルナス1000シリーズ、ヒストリカル1000シリーズもヴォックス原盤を投入しています。この中ではブレンデルのシューベルトの四手のピアノ曲集を手に入れています。

 

 

 レコードアカデミーを獲得したアルバムは格好の注目盤ですからそキュゥしています。スメタナのモーツァルトは初のデジタル録音のアルバムでした。この頃はまだ16ビットではなく特殊な13ビット録音ということでは標準的なフォーマットのひとつ前の世代ですが、テープヒスのないクリアなサウンドは魅力的ではありました。下の「東京のパイヤール」もPCM録音第2号のアルバムです。

 

 

 

 さて、ちょっと目先を変えて当時はレコ芸には多くのオーディオメーカーが広告を載せていました。姉妹誌のステレオと見間違うほどの広告でした。下のソニーの広告は実際は見開き両面の打ち出しで、左にキャッチコピー、右に製品一覧という具合でオープンテープデッキ、カセットテープデッキ、アンプ、チューナーを告知していました。ちょうど小生のオーディオ機器もこの頃コンポーネントへ切り替えていて、オープンデッキはこのソニーのTC−6000を狙っていたのですが品薄で手に入らなくて諦めました。カセットはまだ出始めで、もう少し様子見でした。オーディオはいろいろなメーカーを組み合わせる楽しみがあります。このソニーの広告の中ではグッドデザイン賞に輝いたFMチューナーのST5150を購入しています。

 

 

 ポリドールの広告は全集の発売を控えていて、活気がありました。まだ予約段階ですが3月からいよいよ発売開始です。ラインナップを見てもこの1970年代はカール・ベームが1番の人気でした。カラヤンではないんですなぁ。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトはベームが抑えています。カラヤンはメンデルスゾーンとシューマンが本当の意味での全集で、シベリウスはカラヤンが第3番だけ録音しなかったのでオッコ・カム/ヘルシンキ交響楽団の演奏を混ぜ込んで全集にしています。

 

 

 カラヤンはこの時期声楽作品を積極的に録音しています。ヴェルディの「レクイエム」もそうですし。この後バッハの「ロ短調ミサ曲」も発売されますが、セールス的には落ちますからオーケストラ曲のアルバムを並べてアピールしています。

 

 

 切れリスのブラームスのピアノ協奏曲は前回がライナーとのステレオ初期の録音でしたからこれは待望の新録音と言えたでしょう。

 

 

 レコード産業が活況を呈している頃で、グラモフォンは積極的に新譜を投入しています。

 

 

 

 

 

 

 最後のページはいろいろな賞を獲得したアルバムの訴求です。14個の受賞をうまくPRしています。まあ、よく見るとラサール四重奏団の真ヴィーン学派の作品は3つのしょぅでどれも受賞しています。最後のSGディスク大賞はレコ芸のライバル誌だった「ステレオ芸術」のことで、ラジオ技術社が発行していました。このステレオ芸術誌、レコード芸術が現在採用している、ジャケット写真を左に置き詳細なデータと注釈を表に収める巻末新譜紹介のスタイルを先行して採用していました。