エレーヌ・シェーファーのモーツァルト
曲目/
モーツァルト/フルート協奏曲第2番二長調K.314
1.第1楽章アレグロ・アペルト
2.第2楽章 アンダンテ・マ・ノン・トロッポ
3.第3楽章 アレグロ
フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299*
4.第1楽章 アレグロ
5.第2楽章 アンダンティーノ
6.第3楽章 ロンド:アレグロ
フルート/エレーヌ・シェーファー
ハープ/マリリン・コステロ
指揮/エフレム・クルツ
ユーディ・メニューイン*
演奏/フィルハーモニア管弦楽団
録音/1959
東芝EMI AFRC−530
この一枚はこの全集のために編集されたものです。どちらの演奏ものちにセラフィムシリーズに組み込まれています。ただし、フルート協奏曲は1、2番とK.315のアンダンテとのカップリングで、もう一枚はなぜかスゥイトナーの指揮する交響曲第31番とカップリングされて発売されていました。ですから、マトリックス番号は
A面 2YJ1816
B面 2YEA834
とバラバラになっています。で、フルート協奏曲第2番は新たにスタンパーを起こしているのでJの番号が振られています。もちもちはこの曲にアンダンテがプラスされていましたから、全集はちょっとコスパが悪くなっています。
でも、このレコードはこちらの第2番の方が聴きものになっています。クルツのサポートは万全だし、店舗も適切で非常に聴きやすい演奏です。そのバックに支えられてエレーヌ・シェーファーは実に気持ちよくフルートを吹いています。それもそのはず、録音当時彼女は当の指揮者のエフレム・クルツと結婚していたのですから息が合わないはずはありませんわな。ということでいきのぴったりあった演奏です。シェーファーのフルートの音色は、ジャン・ピエール・ランパルのように華やかではなく、清潔さと透明さでオーレル・ニコレに近いものがあります。無論、ニコレと同等な芸風ではなく、表現の振り幅はニコレのほうに分があるのですが、その慎ましやかなフルートの音色はオーケストラとの親和性が高く、聴き手をうっとりさせる優しさがあります。特にフルート協奏曲第2番は、この曲がオーボエ協奏曲の改作であることを忘れさせるほどにフルートとオーケストラの音色の溶け合いが美しい響きを堪能できます。
それに比べると、フルートとハープのための協奏曲はメニューインの指揮がやたら遅いテンポで、ちょっとモーツァルトのイメージからかけ離れすぎています。なんで、この曲もクルツが指揮しなかったんでしょうなぁ。謎です。