レコード芸術1972年9月号
その2
昨日の続きです。昨日のテイチクもそうですが、徳間音楽工業もひっそりとクラシックを発売していました。
まだ、この頃は東独のシャルプラッテンは扱っていなかったのでしょうか、バルカントーンとかクラヴィエール・レーベルを扱っています。
RCAは2面のみの広告で、メインはこの1000円盤の告知になっています。グランプリ1000シリーズの初回の発売の告知です。ラインナップはステレオ初期のリヴィングシリーズの名盤がずらりと並んでいます。びっくりするのは初回からオペラの全曲ものを投入していることです。まあ、当然歌詞対訳はついていませんが力の入れようがわかります。翌月にはさらに20枚が追加されています。
こちらがレギュラーの新譜ですが、オーマンディ/ルービンシュタインとクライバーンがメインで、プレヴィンのボーン・ウィリアムズの交響曲は2枚とも文字だけの扱いです。
この号でびっくりしたものの一つがエッシェンバッハの録音がコロムビアから発売されていたことです。エッシェンバッハはDGGの専属ではなかったのでしょうか。多分これはお色ディスク原盤だとは思うのですが、こういう録音が存在していたことも初めて知りました。
右下にはマゼール/ニュー・フィルハーモニア管との「シェエラザード」が掲載されています。マゼールの「シェエラザード」はこの後、クリーヴランド管とベルリンフィルと2回録音しているのですが、このコロムビア盤は未だにCD化されていません。
この月のレギュラー新譜です。コロムビアはすでにCBSを失っていますからメインはエラートとスプラフォンです。ここでは、シャルプラッテンの音源と思しき、ザンデルリンクのシベリウスが新譜として発売されています。
この時期コロムビアのメインはこの栄光のフルトヴェングラーシリーズではなかったでしょうか。あとはオイロディスクのロベルト・シュトルツもので埋めています。
広告最後のページはツェヒリンのベートーヴェンのピアノソナタ全集です。シャルプラッテン原盤ですね。この年来日していますから絶好のセールス機会です。その下はシリーズ名こそ歌っていませんが1000円盤の「ヒストリカル1000」シリーズもの発売です。この月のものはすべテスプラフォン原盤です。右側のREMシリーズは「パルナス1000シリーズ」でしょう。
フィリップスは英デッカと協力関係にありましたから、マリナーの録音も次々に当ジョゥしていました。ここでも売れ筋と見えて、マリナーのモーツァルトものが登場しています。このころのフィリップスは録音データがほとんど記載されていませんが、プロデューサーはエリック・スミスでしょう。スミスはモーツァルトの全集をライフワークにしていましたからデッカからフィリップスに移籍しています。このレコード、推薦盤になっています。
コロムビアの真似をしてモノラル時代の録音をFCMシリーズで出していました。チェロのワレフスカ録音はこの当時に登場していたんですなぁ。ルース・ラレードは名前は知っていましたが、コニサーにスクリャービンを録音していたとは知りませんでした。
グロリアシリーズはジャケットが安っぽくなって1000円に値上げして発売されています。今回はマーキュリー原盤のものを大量に投入しています。このリストを見ていて初めて知ったのですが、コンセルトヘボウのコンマスのヘルマン・クレバースのブラームス、ブルッフ、それにパガニーニの協奏曲がさりげなく投入されています。多分レギュラーでは発売されていなかった音源ではないでしょうか。
まだまだ続きます。