マリナー/ブランデンブルク協奏曲第3番-第5番
曲目
1.第1楽章:アレグロ 6:26
2第2楽章:アダージョ 1:29
3.第3楽章:アレグロ 5:44
ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調 BWV.1049
4.第1楽章:アレグロ 7:34
5.第2楽章:アンダンテ 3:47
6.第3楽章:プレスト 5:28
ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調 BWV.1050
7.第1楽章:アレグロ 10:24
8.第2楽章:アフェットゥオーソ 5:43
9.第3楽章:アレグロ 5:13
指揮/ネヴィル・マリナー
演奏/アカデミー・オブ・イン・ザ・フィールズ
チェンパロ/ジョージ・マルコム*,***
ヴァイオリン/アイオナ・ブラウン**,***
リコーダー/フィリップ・ピケット、キャサン・ラーサム**
通奏低音/ジョン・コンスタブル**
フルート/ウィリアム・ベネット***
録音/1985/10/1-4,11 アビー・ロード・スタジオ
P:ジョン・フレーザー
E:スチュアート・エルザム
東芝EMI HCD-1355
今年初めて取り上げるCDです。まあ、正月の間じゅうもたくさん音楽は聴いていたわけですが、特に印象に残った一枚ということでこのマリナーのCDを取り上げることにしました。昨年末に友人宅を訪れた時に、たくさんCDを借りてきました。実はこれ東芝が90年代に発売していた、「新・名曲の世界」という通販用の100枚組のボックスセットの中の一枚です。友人はこのシリーズを中古品店でかなり集めたようで、その中から40枚ほどを借りてきました。その中の一枚がこのマリナーの指揮したブランデンブルク協奏曲集でした。多分市販のCDではこういう組み合わせのものは出でいないと思います。
マリナーは生涯に3度ブランデンブルク協奏曲を録音しています。バッハのブランデンブルク協奏曲は、1971年に音楽学者・鍵盤楽器奏者のサーストン・ダートが編纂した「ダート版」によってフィリップスに初録音。その後1980年にもフィリップス、そしてこの1985年のEMIです。この3回目の大きな特徴は、前2回がアナログ録音なのに対してデジタル録音になっているということです。フィリップスに2回も録音したのはちょっと解せませんが、デジタルでEMIに再録音したのはわからないでもありません。で、マリナーはこれ以後録音していませんから、彼としてはこれが最良の録音であったと判断したのではないでしょうか。
まあ、巷では音楽学者でもあり、チェンバロ奏者でもあったサーストン・ダートの影響下にあった最初の全曲録音が評価が高いようですし、2回目の録音ではフルートのジャン・ピ エー ル・ランパ ル、オーボエのハインツ・ホリガー、ヴァイオリンのヘンリック・シェリングという大物が加わったスタープレーヤーの競演盤も大変魅力的ではあるのですが、小生的にはマリナーの方向性がきちっと出来上がったこのEMI盤が一番すっきりきます。
第3番の第2楽章は基本に立ち戻ったチェンバロの独奏でまとめていますし、2回目のソロをクローズアップした録音より、全体のバランスを考えたこの録音のほうが合奏協奏曲という性格にフォーカスした演奏になっています。第一回目は第5番のチェンバロ独奏のカデンツァが初稿版ということで僅か19小節だったのですが、ここでは通常の65小節で演奏されています。そして、チェンバロも第1回の録音から登場して気心が知れているジョージ・マルコムに委ねて、阿吽の呼吸の良い演奏となっています。