ロリン・マゼールの「眠れる森の美女」 | geezenstacの森

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マゼールの「眠れる森の美女」

 

曲目/チャイコフスキー

眠れる森の美女Op.66(抜粋)

A面

1.Introduction And March

2.Pas De Six

3.Intrade

4.The Singing Canary

5.Violente

6.Waltz

B面

1.Pas D'Action, Adigio

2.Pas D'Action, Aurora's Variation

3.Polacca

4.Pas De Quatre

5.Adagio

6.Variation I

7.Variation II

8.Coda

9.Pas de Deux, Adagio

10.Apotheose

 

指揮/ロリン・マゼール

演奏/ベルリン放送交響楽団

 

録音/1969 イエスキリスト教会 

 

Concert Hall, SMS 2570

 

  

 一時期日本コロムビアから昨年コンサートホール原盤のCDが再発されましたが、このマゼールのものは残念ながら復活しませんでしたし、2014年の死去にともなう追悼盤としても登場しなかったものです。ロリン・マゼールはベルリン放送交響楽団のシェフを1964年から1975年まで務めていました。これはその丁度半ば頃の録音という事になります。

 

 コンサートホール盤は世界各国で発売されていましたが、日本では日本メールオーダーというところから通信販売という方法で販売されていたため、小生がその存在を知ったのは高校生になった頃でした。この頃は既にピエール・ブーレーズがハーグ・レジデンティ管弦楽団を指揮した最初の春の祭典が登場していて話題になっていたものです。そういうものに混じってマゼールの録音も数点発売されていました。知っている限りではブルックナーの交響曲第3番、ハイドン/交響曲第92,103番、モーツァルト/交響曲第25、29番、これとは別にフランス放送管とストラヴィンスキーの「火の鳥」全曲なんてものも録音していたように思います。

 

 で、このチャイコフスキーの「眠りの森の美女」は旅行の折、イギリスのレコード店で見つけたものです。イギリスではコンサートホール盤は普通にショップに並んでいました。それで、目につくものはどんどん抱え込んで購入した物の一枚です。ジャケットのマゼールは若々しくて精悍で、まだ30代です。オーケストラも馬力のあるサウンドでバレエ音楽というよりは単独のオーケストラ曲のようなアプローチです。この頃のマゼールは若手ながら注目株の筆頭で、いい意味で切れ味がありました。ここでも、速めのテンポでメリハリのある音楽を作っています。多分マゼールは、舞台(踊り)の映像的な楽しみが無い分を、音楽だけで表現するにはよりドラマチックに音楽を響かせる必要があると感じたのではないでしょうか。意識して旋律線を強調させ、ディティールをはっきり描くことを主眼に演奏しています。

 

 当時のコンサートホールの録音は、一枚づつムラがあり、良いものは良いのですが、ひどいものも混じっていました。これも馬力のある録音ですが全体に音が団子状で余り良いものとはいえません。そういうところがCD化されない理由なのかも知れません。コンサートホールのこのレコードは右の方に「シンクロ・ステレオ」の表示があります。手元に有るコンサートホール版を調べると、モノラル、シンクロ・ステレオ、ステレオの3種類があることがわかります。日本やアメリカでは新しい技術は直ぐに普及して、1960年代後半にはシングル盤を除いてほぼ100%がステレオ盤に切り替わっていましたから、シンクロ・ステレオの表示は余り見かけなかったのですが、イギリスでは1970年代になってもモノラル盤が発売されいました。手持ちはイギリスプレス盤ですから、それを考慮して「シンクロ・ステレオ」で発売されていました。ただ、表ジャケットの表示はSMS2570の番号ですが、裏面はSMSA2570と表示されています。この末尾のAがシンクロの表示なのでしょうかね。ちなみに小生が購入したのは1977年です。

 

 この録音は17cmLPでも発売されています。手頃な価格で代表曲4曲をチョイスして発売されました。

 

 

 この17cmLPはマゼールの顔をアップで捉えたデザインで、A面がパ・ド・シス/ワルツ、B面がポロネーズ/パ・ド・カトルで、先ずは順当な選曲でしょう。17cmLPで発売されたのは、この録音は当時そこそこ話題になったからでしょう。それが証拠に、1977年にはターンナバウトからこの録音がライセンス発売(TVS34664)されています。

 

 手持ちのレコードのマトリックス番号はA面がSMS2570 2 26 11、B面はSMS2570 1 26 117とあります。デッカやEMIは中袋はビニール製でしたが、コンサートホール盤は安っぽい紙袋で、出し入れすると擦り傷が付いてしまうのが難点でした。