やっぱりミステリなふたり | geezenstacの森

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やっぱりミステリなふたり

 

著者/太田忠司

出版/幻冬舎 幻冬舎文庫

 

 

 薬剤師夫婦がシチューで毒殺。が、各々の皿の毒が異なり夫婦互いに殺し合ったかに見えた事件の真相「皮肉な夕食」。交通事故で男が死亡。しかし彼が撥ねられる直前に青酸カリを服毒していた謎「死ぬ前に殺された男」。最愛の夫が殺人の重要参考人に指定された狼狽と困惑「容疑者・京堂新太郎」など“氷の女王”景子と新太郎が大活躍する傑作7編。

 

 「ミステリなふたり」の最新作で今年の8月10日に発売されました。文庫オリジナルで執事いされました。ということは単行本では発売されなかったということですな。もともと、幻冬舎のPR誌の「PONTOON」に発表されていたもので構成されています。ただ、最後の一編だけは今年の7月に小説「幻冬」に掲載された新作が収録されています。章立ては以下のようになっています。

 

【収録作品】

1.皮肉な夕食

2.死ぬ前に殺された男

3.公園の紳士

4.右腕の行方

5.善人の嘘

6.昭和レトロな事件

7.容疑者・京堂新太郎

 

 例によって名古屋が舞台の推理小説ですが、ふたりが小説の中とはいえ我が家の近くに住んでいたとは知りませんでした。最終の第7話では庄内緑地公園のすぐ北にある星神社近くで殺人事件があり、そこが舞台になっています。この小説の中にスーパーヤマナカが登場しますが、これも実在の店舗で、庄内緑地公園の北の名草線沿いにあります。京堂景子、新太郎がこんな近くに住んでいるとは親近感がわきます。

 

 何度もブログでも取り上げている星神社もそうですが、庄内緑地公園の中にある池でも殺人事件が発生し、東区の墓地が集められた平和公園、さらに名古屋駅西口のユリの噴水前でも事件は発生しています。こちらなんか毎日目にしているところです。

 

 残念なのは、実際の愛知県警捜査一課には主人公として登場している美人の京堂景子警部補は存在しないことです。もう定年退職しましたが、同級生で愛知県警の刑事をやっていたものがいるのですが、そいつが言うのですから間違いありません。

 

 形式的には安楽椅子探偵のパターンを踏襲していますが、最後の一話だけは、その京太郎が容疑者として事件に絡んでいるのでさすがに景子が張り切って解決させているところがちょっと変わっています。

 

 個人的には、事件が発生している場所は名古屋市交通局が開催している「駅チカウォーキング」でほぼ訪れているところといってもいいので、親しみを持ちながら読むことができました。

 

 今度は「ミステリなふたりツァー」でも計画してウォーキングしてみましょうかねぇ。