セントラル愛知交響楽団の公開講座とリハーサル
5月30日は日程があったので、稲沢市の「名古屋文理大学文化フォーラム」で開催されたセントラル愛知交響楽団のリハーサルと「マーシー山本教授のどえりゃぁわかる!クラシック!!」講座を楽しんできました。「名古屋文理大学文化フォーラム」は稲沢市民会館の事で、ネーミングライツで愛称が変更になっています。当日のスケジュールは以下のようになっていました。

於: 小ホール
10:15 開場
10:30-11:20 「マーシー山本教授のどえりゃぁわかる!クラシック!!」
於: 大ホール
11:30-11:45 ウェルカムコンサート
12:00-13:00 公開リハーサル
水曜日は生憎の雨でしたが、先着200名という制限があるので9時半には言えを出るという慌ただしさでした。会場には10時15分ちょうどに到着し、余裕を持って講座に参加する事が出来ました。講師のマーシー山本氏は、セントラル愛知交響楽団音楽主幹の山本雅士氏の事で、昔は同オーケストラでホルンを吹いていました。現在は地元の@FMで毎週土曜日朝8時から8時半の「ダイドー おは・クラ・サタデー with セントラル愛知交響楽団」という番組でパーソナリティを務めています。

で、第33回の今回は6月1日の定期演奏会にちなんで、ブルックナーにまつわるエピソードが披露されました。個人的にはマーラーとブルックナーは同時期くらいに知りました。丁度ベームがウィーンフィルを指揮した交響曲第4番「ロマンティック」が大きく話題になった頃で、FMでその演奏を聴きブルックナーを好きになったのでした。でも、マーラーはどうも精神分裂症的な音楽に聴こえて、1番以外は手を出さないでいました。ブルックナーはベームで知って、レコードはワルターのものを所有するという変則な体験で没頭していきました。
今回はそのブルックナーの第4番を生で初めて聴くというチャンスでしたので足を運んだ次第です。会場ではスクリーンにギュンター・ヴァンとの指揮する「ロマンティック」が映像で流されていました。この演奏を事前に聴きながらの講座です。ベートーヴェンの亡くなる直前に生まれたブルックナーは父の影響でオルガニストになりますが、熱烈なワーグナーの信奉者という事もあって世間からはブラームス葉からは冷たい目で見られていたと言います。しかもその作品は長大で尚かつ必要なメロディの繰り返しと言う今で言うミニマルミュージックの先駆けとも言える作風は中々世の中に受け入れてもらえません。尚かつ協奏曲が弱いので、人から批判されるとずくにその意見を取り入れて改訂版を創るという事を繰り返したので、この交響曲第4番も、「原点版」、「ハース版」、「ノヴァーク版」さらには、最近では「コーストヴエット版」なども登場して藩の問題は複雑化しています。
今回の演奏会ではノヴァーク版が使われるようですが、最初に聞いたベームものヴァーク版ということで一番馴染みのある演奏という事になります。この講座では全く旋律の異なる初稿と言われる演奏と比較しながらすすみます。ブルックナーの改訂は単なる改訂ではなく、旋律が全く異なるという別の曲のようなイメージです。今回はその事を比較で体験してひしひしと分かりました。特に第3楽章は顕著でホルンの旋律など全くの別物です。

さて、そういう予習をして会場を大ホールに移してののハーサルです。ただし、その前にロビーでウェルカムコンサートがありました。今回のウェルカムコンサートはコントラバスの四重奏による演奏で、日本の童謡による春夏秋冬のメロディとAKB48の「ヘビーローテーション」という組み合わせの演奏でした。このロビーでのコンサートは指揮者のマーク・マスト氏も片隅で聴いており、なかなか楽しいコンサートでした。
さて、指揮者のマーク・マスト氏ですが、初見参の名前でした。調べるとドイツはフリューデンスタットの生まれで、1983年、ハイデルベルク・マンハイム音楽アカデミーで音楽教育の学位を取得しています。最初はバーンスタインのマスタークラスで勉強しますが、最終的にはセルジュ・チェリビダッケの弟子となり、晩年は彼と行動をともにします。そんなことでは、チェリビだっけ最後の弟子といってもいいでしょう。

休憩を挟んで12時からリハーサルの開始です。この日はブルックナーの交響曲第4番の第4楽章のリハーサルでした。写真では中々カッコいいのですが、今では巨漢といっていい程の体格になっています。(^o^;)
おもむろに冒頭からオーケストラを自由に謳わせ、練習番号Aはそのまま通します。しかし、区切りのついた所で細かい指示を出し始め、弦と管とのバランス、あるいは弦のトレモロのアインザッツについての指示など、細かい所のチェックが続きます。

相対的にチェリビダッケの弟子という事もあるのでしょうか、テンポは遅めでじっくりと音楽を作り上げていきます。ドイツ語訛りの英語という事でやや聴きづらい所もありましたが、オーケストラは的確に指示に反応し、リハーサルではありながらその雄大なブルックナーの響きに圧倒されました。
結局、第4楽章は全て演奏される事なく時間切れでリハーサルは終了しました。名フィルのリハーサルとは違い、実際のホールを使ってリスナーを入れてのリハーサルということで、かなり意識したものにはなっていましたが、最後には拍手に応えてわざわざオーケストラを立たせての挨拶もありました。
世の中マーラーがブームかもしれませんがブルックナーも外せませんね。このコンサート本日6月1日、午後6時45分から三井住友海上しらかわホールで開催されます。