ラヴェルの世界
曲目/
A1 Daphnis And Chloe - Daybreak (Lever Du Jour)
– Pierre Monteux/London Symphony Orchestra
A2 Pavane Pr Une Infante Defunte (Pavane For A Dead Infanta)
– Pierre Monteux/London Symphony Orchestra
A3 Sheherazade - The Enchanted Flute (La Flute Enchantee)
– Regine Crespin、Ernest Ansermet/L'Orchestre De La Suisse Romande
A4 Introduction And Allegro For Harp With Flute, Clarinet And String Quartet
–Osian Elis、The Melos Ensemble
A5 Piano Concerto In G Minor - 3rd Movement, Presto
–Julius Ktchen、 Istvan Kertesz/London Symphony Orchestra
B1 La Valse (The Waltz)
– Ernest Ansermet/L'Orchestre De La Suisse Romande
B2 Rapsodie Espagnole (Spanish Rhapsody) - Habanera
– Pierre Monteux/London Symphony Orchestra
B3 Bolero
– Ernest Ansermet/L'Orchestre De La Suisse Romande
録音/1959-1966
Decca – SPA392

先のフランク・チャックスフィールドの所でも書きましたが、英デッカのSPAシリーズはその怪しげな内容で一番嵌まったシリーズでした。このSPAシリーズは1982年までに約600枚ほどリリースされています。今回のそのシリーズの中からコンピュレーション物の「The World of Ravel (ラヴェルの世界」)です。このアルバムは1975年の発売ですが、内容的にはどちらかというとサンプラー盤的な色彩が濃く、ト短調のピアノ協奏曲は第3楽章しか収録されていません。その証拠に、曲目一覧の後にはオリジナルアルバムのレコード番号がクレジットされています。日本では直ぐ廃盤になってしまい、こういう形でリリースすることは難しかったでしょうねぇ。

ちなみにこのシリーズ、このレコードの前後で発売されていたものには以下のようなものがあります。
SPA 387 The Blues World of Eric Clapton
SPA 388 The World of David Whitfield Vol. 2 David Whitfield
SPA 389 The World of Country Music Vol. 7: A Tribute to Johnny Cash featuring Lee Brennan
SPA 390 The World of the Piano Various Artists
SPA 391 Favourite TV Themes Vol.2 Ray Martin
SPA 392 The World of Ravel
SPA 393 The World of the French Horn (Barry Tuckwell)/Joseph Haydn / Wolfgang Amadeus Mozart / Richard Strauss
SPA 394 The World of the Flute Various Artists
SPA 395 The World of the Clarinet Various Artists
SPA 396 The World of the Sea Various Artist
SPA 397 Also sprach Zarathustra Royal Philharmonic Orchestra / Henry Lewis
SPA 388 The World of David Whitfield Vol. 2 David Whitfield
SPA 389 The World of Country Music Vol. 7: A Tribute to Johnny Cash featuring Lee Brennan
SPA 390 The World of the Piano Various Artists
SPA 391 Favourite TV Themes Vol.2 Ray Martin
SPA 392 The World of Ravel
SPA 393 The World of the French Horn (Barry Tuckwell)/Joseph Haydn / Wolfgang Amadeus Mozart / Richard Strauss
SPA 394 The World of the Flute Various Artists
SPA 395 The World of the Clarinet Various Artists
SPA 396 The World of the Sea Various Artist
SPA 397 Also sprach Zarathustra Royal Philharmonic Orchestra / Henry Lewis
てなもんで、エリック・クラプトンからバリー・タックウェル、ヘンリー・ルイスまでごちゃ混ぜに並んでいて、とても日本では考えられないラインナップです。
このアルバム、冒頭を飾るのはモントゥー/ロンドン響の「ダフニスとクロエ」から「夜明け」です。モントゥーがラヴェルの「ダフニスとクロエ」を1912年に初演しているのです。その後半世紀近くを経て録音されたこの音源は、初演者自身の指揮による記念碑的な全曲盤からのチョイスです。ということで、ベルリオーズやラヴェルといったフランス音楽をレパートリーの中心にしていたモントゥーにとっても、この作品は特別の存在でした。精妙に変化する音のニュアンスや色彩感を見事に表現し、彼ならではの豊かなエスプリに溢れた演奏を繰り広げています。収録作品の中ではこれが一番古くて1959年4月の録音になりますが、モントゥーに敬意を表してトップに収録されているのでしょう。
2曲目もモントゥー/ロンドン交響楽団の「亡き王女のためのパヴァーヌ」です。こちらは1961年12月の録音ですが、この年から亡くなる1964年までロンドン響の首席指揮者に就任しています。ラヴェルと同時代を生きた指揮者としての淡々とした表現の中にも味わいのある演奏です。ロンドン響とは在任期間は短かったのですが、請われて就任しただけのことはあり、相性の良さが伺われる演奏です。
オリジナル初出時は、ラヴェルにも「シェエラザード」があるんだと気になった録音なんですが、歌曲集ということで見送った経緯のある作品でした。多分、こういう形でないと聴くことは無かった演奏です。演奏もさることながら録音が優秀で、そういう意味では2重に得した感があったレコードということで抜粋ですが、今も手元に残しています。
このLPでは次の「序奏とアレグロ」も聴きものでした。この曲、今はNHKBSプレミアムの朝6時から放送されている「クラシック倶楽部」のテーマ曲として使われているので結構知られているのではないでしょうか。ここではメロス・アンサンブルが演奏しています。1961年の録音で、オリジナルメンバーが12人が息の合った名演を繰り広げています。そのメンバーは、
・リチャード・アデニー(フルート)
・ピーター・グレーム(オーボエ)
・ジェルヴァーズ・ド・ペイエ(クラリネット)
・ウィリアム・ウォーターハウス(ファゴット)
・ニール・ソンダース(ホルン)
・エマニュエル・ハーウィッツ(ヴァイオリン)
・アイヴァー・マクマホン(ヴァイオリン)
・セシル・アーロノヴィッツ(ヴィオラ)
・テレンス・ウィール(チェロ)
・エイドリアン・ビアス(コントラバス)
・オシアン・エリス(ハープ)
・ラマー・クラウソン(ピアノ)
の12人なんですが、ジャケットにはハープのオシアン・エルスしかクレジットされていません。まあ、ハープの活躍する曲なんで、そういうことなんでしょう。
・リチャード・アデニー(フルート)
・ピーター・グレーム(オーボエ)
・ジェルヴァーズ・ド・ペイエ(クラリネット)
・ウィリアム・ウォーターハウス(ファゴット)
・ニール・ソンダース(ホルン)
・エマニュエル・ハーウィッツ(ヴァイオリン)
・アイヴァー・マクマホン(ヴァイオリン)
・セシル・アーロノヴィッツ(ヴィオラ)
・テレンス・ウィール(チェロ)
・エイドリアン・ビアス(コントラバス)
・オシアン・エリス(ハープ)
・ラマー・クラウソン(ピアノ)
の12人なんですが、ジャケットにはハープのオシアン・エルスしかクレジットされていません。まあ、ハープの活躍する曲なんで、そういうことなんでしょう。
デッカでフランス物といえば、レコード時代はモントゥーとアンセルメが看板だったといっていいでしょう。奇しくもモントゥーとアンセルメはバレエ上がりの指揮者という点でも共通しています。今ではこの演奏CDでも所有していますが、手元のものは初期のマスタリングのため音が濁っている所がありますが、このレコードでは意外とすっきりした演奏に聴こえるので、作品の良さがストレートに伝わってきます。やっばり、レコードの方が良いですねぇ。
最後はやはり一番有名なボレロで締められています。レコード時代は長く名演として評価されてきた演奏です。アンセルメというと数学者でもあった人ですからどこか冷めた感覚でスコアを分析して演奏するところが長所でもあり、短所でもあるのですが、このボレロはもともとがバレエ音楽として書かれた作品ですからアンセルメは曲を知り尽くしているのか、情熱的表現でクライマックスまで突き進んでいきます。まさに音楽にのめり込める演奏です。ただ、レコードの難点は我が家の装置はオートではないので、終わってもアームが戻らず、そのまま内周でぐるぐる回っているので余韻に浸れないことです。(^▽^

このSPAシリーズまだまだ取り上げるつもりです。