コンサートホールのマスターワークス・コンサート |
曲目/
1.ヴィヴァルディ:トランペット協奏曲 ハ長調 作品46-1(2本のトランペットのための)
ミシェル・キュヴィ(tp),ミシェル・ドゥボヌヴィーユ(tp)
ロベール・デュナン指揮コレギウム・アカデミクム・ジュネーヴ合奏団
2.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第20番 ト長調 作品49-2
フリードリッヒ・グルダ(P)
3.チャイコフスキー:バレエ音楽「眠りの森の美女」(抜粋)
ロリン・マゼール指揮ベルリン放送交響楽団
4.ショパン:別れの曲(練習曲 ホ長調 作品10-3)
ニキタ・マガロフ(P)
5.モーツァルト:交響曲第32番 ト長調 K.318
カール・バンベルガー指揮ウィーン音楽祭管弦楽団
6.シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 「未完成」
ヨーゼフ・クリップス指揮ウィーン音楽祭管弦楽団
録音/1960年代
日コンサートホール JFS-3101

このレコードを聴いたことがある人はもう、相当の御年配でしょう。かくいう小生もその仲間ですが、既に1000円盤のレコードが出ていた時代ですから、コンサートホールの1,350円は価格的にはあまり魅力を感じなかったものです。通信販売でしか買うことが出来ないというのも、何か胡散臭い所を感じていました。で、このレコードも友達が買うというので便乗して購入したのを覚えています。まあ、毎月1.350円の出費は学生には辛いものがありましたからねぇ。ただし、この一枚は安かったはずです。
曲目を見ても、何がマスターピースか分りません。最初のヴィヴァルディのトランペット協奏曲なんか、ヴィヴァルディの作品の中でもこの曲しか無いという珍しい曲ですし、バンベルガーのモーツァルトの交響曲第32番なんて、まったく未知の曲でした。シューベルトの未完成にしてもまったく興味の無い曲でしたから、今思うと何故このレコードを買ったか分りません。多分安さと、ゲテモノ趣味に惹かれて購入した物でしょう。唯一の救いは、マゼールの「眠りの森の美女」でしょうか。この演奏でマゼールに興味を持ったことは確かです。
最初のヴィヴァルディのトランペット協奏曲は独奏者の紹介はありますが、指揮者と演奏団体のことには触れられていません。トランペットの独奏はスイス・ロマンド管の当時の主席です。こういう団員がいたからこそアンセルメのスイス・ロマンド管は輝いていたのでしょう。四季以外のヴィヴァルディを知った曲でもあります。こんな演奏でした。
グルダがコンサートホールに録音していたとは知りませんでした。オーストリアの「アマデオ」にはベートーヴェンのピアノソナタ全集を録音していますが、それとは違う録音なんでしょうかね。ただ、当時は曲目表示ではピアノソナタ第20番となっているのですが、解説では2番となっていて混乱したものです。下は所有するアマデオ盤の音源による第1楽章です。
マゼールの「眠りの森の美女」は別項で取り上げていますので割愛です。
ニキタ・マガロフの名前は当時から知っていました。フォンタナから出ていたベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を所有していたからです。マガロフはフィリップスにショパンの全作品を録音するという快挙を成し遂げた人です。そのショパンですから安心して聴いていられます。
カール・バンベルガーは殆ど指揮者としては知られていませんが、「指揮者の領分」という本の著者としての方が知られているかもしれません。故岩城宏之氏の「指揮のおけいこ」という本で、この本が紹介されていました。そんなことで、この演奏を聴いてもモーツァルトの交響曲第32番はこういう曲かとは分りますが、それ以上の印象は残りません(^▽^

最後はクリップスの「未完成」です。オーケストラは臨時編成のウィーン音楽祭管弦楽団です。ウィーン音楽祭なんていう音楽祭はありませんからねぇ。クリップスの指揮ですからそれなりに音楽を纏めています。ただし、晩年のデッカへのウィーンフィルとの録音では第1楽章の提示部をリピートしているのに、ここではそれをしていません。やっつけ仕事だったんでしょうかねぇ。
こんなレコードですが、レコード棚をひっくり返していたら同じものが2枚出て来ました。小生の潜在意識の中では、このレコードはある意味、重要なポジションを占めているのかもしれません。