
「真珠の耳飾りの少女」――少女が肩越しに親密で謎めいたまなざしを投げかけるフェルメールの代表作であり、絵画史上最も愛されてきた名画のひとつが、2012年に来日する。生涯に遺した作品が36点と非常に少なく、数々の盗難事件や贋作事件に巻き込まれるなど、注目を浴び続ける画家、フェルメール。作品の楽しみ方のポイントから、画家の生涯、彼を生んだ17世紀オランダの時代背景までこれまでになくわかりやすく解説。専門的な絵画の知識を持たなくても、この一冊でフェルメールが10倍楽しめる入門書。 ---データベース---
私事ながら「フェルメール」の名前を知ったのは「こち亀」が最初でした。2009年の第3号に掲載された「フェルメール全点鑑賞道中記」というタイトルで、ひょんなことからフェルメールの全作品を鑑賞するために江崎教授と弾丸ツアーに出るというストーリーでした。当然この時も、この本の表紙を飾る「真珠の耳飾りの少女」も紹介されていましたが、こういう作品があり、現存する作品が37点しかないということも知りました。近年はこの本が出版された2012年に、フェルメール作品が6点も来日したことと無縁ではないでしょう。この年のマウリッツハイス美術館展が朝日新聞主催で開催されたのも無縁ではないでしょうし、NHKでも日曜美術館で単発でちょくちょく取り上げられています。折しも、現在は「フェルメールとレンブラント~17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」が開催されていて、フェルメールの「水差しを持つ女」が日本初公開で展示されています。1/37ですな。
この本の目次です。
パーフェクト鑑賞講座
フェルメールを「語る」ための5つのキーワード
私のフェルメール
フェルメール30作品誌上ギャラリー
37枚目のフェルメール
フェルメールの時代
世紀の贋作事件はいかにして起こったのか?
“謎の画家”43年の生涯をたどってみよう
再現!/ちょっと美術史 オランダの同時代の画家たち
フェルメールに出会える!全17美術館ガイド
フェルメールを「語る」ための5つのキーワード
私のフェルメール
フェルメール30作品誌上ギャラリー
37枚目のフェルメール
フェルメールの時代
世紀の贋作事件はいかにして起こったのか?
“謎の画家”43年の生涯をたどってみよう
再現!/ちょっと美術史 オランダの同時代の画家たち
フェルメールに出会える!全17美術館ガイド
監修者の小池寿子さんは美術史家ですが、専門はフェルメールではないようです。彼女の専門は「死の舞踏(ダンス・マカーブル)」で、中世末期の14世紀から15世紀のヨーロッパで流布した寓話、およびそれをもとにした一連の絵画や彫刻の様式ですな。それでも、ここで解説されている視点は興味深いものがあります。
本書のでは、作品全点がカラーの綺麗な図版で紹介されており、それぞれに基本的な情報が付記してあります。特に有名な作品6点については詳しく、作品の一部を原寸大に拡大したり、構成要素について説明を加えたりと丁寧な紹介をしています。ただし、ここで詳述されている6点の内2012年に日本で展示されたのは「青衣の女」「真珠の耳飾りの少女」「真珠の首飾りの少女」と3点もあり、本書を読んでフェルメールに関心を持った人も多かったのではないでしょうか。
本書に掲載されている様々なフェルメールに関する事柄は、フェルメール通になるうえでの第一歩を踏み出すのに十分な情報でしょう。特に、フェルメールの作品の盗難事件(3点のうち未だに1点は発見されていません)や、フェルメールのファン・メーヘレンによる贋作についてのエピソードなど興味を引かれるコラム記事も充実しています。とにかくわかりやすい内容で、フェルメールの作品の特徴、その題材の傾向などの分析も含め、フェルメールの生涯を追うように作品が紹介されています。この本での一番の発見は、その作品の大きさです。全ての作品について大きさの記載があり、最大の作品は「マルタとマリアの家のキリスト」で、159㎝×142㎝で、「真珠の耳飾りの少女」なんかは44.5㎝×39㎝というサイズでフェルメールは大作を描いていた訳ではないことが分ります。
フェルメールの作品には書き足しや削除された形跡があり、それがどんな意図を持って行なわれたのかという推測も中々興味深い考察です。また、遠近法を駆使するためにカンバスに穴を開けて描いたことや、描かれた小物には一つ一つ意味があることが詳しく解説されています。こんなことで、小生のようなフェルメール初心者には誠に最適な入門書です。
世界に37作品しかないということではこち亀の両さんのように、「フェルメール全点鑑賞道中記」も夢ではないということでしょう。ちなみに今話題の「大塚国際美術館」には
牛乳をを注ぐ女
手紙を読む青衣の女
真珠の耳飾りの少女
デルフトの眺望
デルフトの小径
が展示されています。ここなら手っ取り早く観に行けますね。(^▽^
牛乳をを注ぐ女
手紙を読む青衣の女
真珠の耳飾りの少女
デルフトの眺望
デルフトの小径
が展示されています。ここなら手っ取り早く観に行けますね。(^▽^
