NCM管弦楽団 第9回定期演奏会 |
演奏曲目
1.ムソルグスキー/R.コルサコフ編 歌劇「ホヴァンシチナ」前奏曲「モスクワ川の夜明け」
2.ボロディン/交響曲第2番ロ短調Op.5
3.ブラームス/交響曲第2番ニ長調op.73
-アンコール-
ブラームス/ハンガリー舞曲第6番
日時:2016年3月4日(金)
開場:17:45
開演:18:30
場所:日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
指揮:田久保裕一
開場:17:45
開演:18:30
場所:日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
指揮:田久保裕一

今年もチケットを入手していたのでこのオーケストラのコンサートに出掛けて来ました。昔はよく市民会館へ出掛けたものですが、最近はこのオーケストラの演奏で出掛けるだけです。ということは1年ぶりに日本特殊陶業市民会館 フォレストホールに出掛けたという事になります。
このオーケストラの演奏は昨年も記事にしていますが、昨年初演された小野江良太/管弦楽のための前奏曲「リジラーレ」がYouTubeにアップされていましたので、記事を更新しておきました。良ければ世界初演の曲を聴いてみて下さい。
今年も意欲的なプログラムで、ボロディンとブラームスの交響曲を2曲並べて来ました。そんなことで期待して出掛けました。なんでも、お客さんが4時前から会場に並んでいたとかでコアなファンがこのオーケストラには付いているようです。ただし、ちょっと通好みのプログラムだったようでお客の入りは芳しくなく、6割程度埋まっただけでした。まあ、キャパが広いホールですからね。
オープニングの前奏曲「モスクワ川の夜明け」は、小生としては良く知る曲なので生で聴けるのは楽しみでした。ただ、この曲も前座として演奏するには渋い曲で、朝の日の出を描いているためあまり、盛り上がりはありません。小生は後列の中段ぐらいの中央で聴いたのですが、オーケストラが小じんまりと纏まり過ぎであまり魅力的に響いていなかったのが残念です。こんな感じの曲です。レコード時代に親しんだアンセルメ/スイス・ロマンドの演奏です。
個人的には一番期待したのがボロディンの交響曲第2番です。この曲は、レパートリーの多くなかったカルロス・クライバーが取り上げたほどの隠れ名曲です。そういうこともあってか、編成が大きいのでアマチュアのオーケストラも最近は取り上げることが多いのですが、なかなかの難曲です。
このオーケストラ、名前からしてユニークですが、早い話しが核は卒業生でサークルオーケストラですから殆どがトラです。さらに副科のメンバーが多いということでは充分なアンサンブルが確保されていません。そのため弦楽でも第1ヴァイオリンのプルト数は6プルトあるのですが音量が足りません。こんなこともあり、強奏するとぼろが出てしまう確率が高いので安全運転になってしまいます。まあ、こういうこともあって演奏がこじんまりしているわけなんでしょう。本来なら第1楽章の冒頭は、低音のユニゾンの勇壮な第1テーマで始まりますが、ここからしてフォルテで聴こえないのですから残念です。
第2楽章はプレスティッシモではじまります。細かいフレーズが色々な楽器で目まぐるしく引き継がれながらすすみますが、テンポが速いので難所です。指揮者が必至にテンポを保って指示を出しますが、やはり、出で音がひっくり返ったり、落としたりとやや不安定な演奏になってしまいました。聴かせどころだったのですが惜しい演奏でした。
第3楽章ではハープが登場します。そして、ホルンのソロが続くのですが、ここがまた難所です。アンダンテはソロには辛いところです。曲はこの第3楽章と第4楽章がアタッカで繋がっていて続けて演奏されます。第4楽章は打楽器が活躍する楽章で、メンバー表を見ていると先の打楽器アンサンブルの演奏会で活躍したメンバーがトラとして参加しています。そんなこともあり、打楽器郡が滅茶かっこ良く演奏していたのが目につきました。終わりよければ全て良しといいますが、第4楽章はかなり全体に音が出ていて盛り上がっていました。実演でこの曲を楽しめたことに感謝です。

後半はブラームスの第2交響曲ということで、おなじみの曲です。指揮者の解説ではこれはブラームスの夏の交響曲という位置付けで、確かにこの曲は、1877年6月、ブラームスは南オーストリアのケルンテン地方、ヴェルター湖畔にあるペルチャッハ(ドイツ語版)に避暑のため滞在、第2交響曲に着手し、9月にはほぼ完成しています。そういう意味では夏の交響曲なんでしょう。そして、全楽章長調で書かれていますからブラームスの作品の中では明るい曲でしょう。第1楽章など、明るい日差しのヴェルター湖のキラメキや湖面のさざ波を感じ取ることが出来ます。まあ、そんな風に感じれるようになったのはかなり年を取ってからで、若い頃はブラームスなんか聴く気もしないほどレコードも持っていませんでした。
音量の少なさはかえってこの曲には合っているのかもしれません。ブラームスの作品は全体に室内楽的な響きですから、この曲もそういう視点で演奏するのもさもありなんといったところでしょうか、オーケストラは相変わらず小じんまりとした音量でしたが、全体はバランスの取れたサウンドでしっとりとした演奏に仕上っていました。
今までの演奏会では、新作を演奏したり、ソリストを迎えて協奏曲を加えた構成を取っていました。そういう意味では今年のプログラムは意欲的?といえるのでしょうが、やや団員には負担の多い内容になっていたのではないでしょうか。来年は節目の第10回です。いい意味で意欲的なプログラムで演奏会が開けることを期待しています。