モリエール
ルネ・クレマンシック
曲目/
1.ジャン=バティスト・リュリ/バレエ音楽「焦燥」 - Nicomede 1:51
2.ジョヴァンニ・バッティスタ・マッツァフェッラータ/ランコントル・デ・イタリアン-Rencontre des Italiens 1:01
3.クレマンシック/モリエール - 女房学校-L'Ecole Des Femmes 1:02
4.ジャン・ジャパール /オム・オワゾ-L'Homme Oiseau 2:53
5.クレマンシック/モリエール - 海の歌 - La Chanson de la MereLa Chanson De La Mere 2:01
6.不詳/サン・ロラン大市-La Foire De Saint-Laurent/Premiere Partie/Deuxieme Partie 4:31
クレマンシック/モリエール(抜粋)
7.Theme De L'Amour 7:20
8.La Foire De Toulouse 3:48
9.La Voyage 4:12
10.Armande 0:54
11.ジャン=バティスト・リュリ/エリード姫 - バル・レーグル-La princesse d'Elide: Bal regle 2:28
クレマンシック/モリエール(抜粋)
12.Carnaval Et Revolte 4:31
13.Armande 0:35
14.La Mort De Madeleine 1:08
15.Le Combat Des Enfants 2:03
16.La Chambre Aux Miroirs 4:54
17.ヘンリー・パーセル /歌劇「アーサー王、またはイギリスの偉人」 Z. 628 - モリエールの死-La Mort De Moliere: Henry Purcell, Extrait De King Arthur* 5:51
指揮/ルネ・クレマンシック、アルフレッド・デラー*
演奏/クレマンシック・コンソート、デラーコンソート*
演奏/クレマンシック・コンソート、デラーコンソート*
録音/1978
HARMONIA MUNDI - Francia HMF 1901020

このCDはバロック音楽の雄、ルネ・クレマンシックが担当した映画「モリエール」のサントラ盤です。本来ならサントラで取り上げる所ですが、あまりにも内容がクラシックなのでクラシックとして取り上げることにしました。最近整理していて見つけ出したCDです。多分、この一枚はそしとショップのクラシックコーナーで見つけたものです。ルネ・クレマンシックの名前とサントラの文字が目についたので購入した一枚なのでしょう。小生の分類上はサントラなるので、サントラのカテゴリーの棚の中で眠っていました。
多分、1回聴いただけで棚に眠ったのでしょう。何しろ仏ハルモニア・ムンディのCDですから、全部フランス語です。曲目もさっぱり当時は分らなかったと思います。CDで発売されたのは1989年です。まだネットの時代ではありませんし、この映画日本で公開されたのは1983年で、入手時はまったく情報がありませんでした。久しぶりに取り出して、ネットで検索をかけてみると、出て来ました。曲目はネットから拾いました。オリジナルとしてはジャン・バティスト・リュリやジョヴァンニ・バッティスタ・マッツァフェッラータ、それにヘンリー・パーセルなんかの作品が収録されていますが、サントラですからクレマンシックが映画に相応しい音楽を書いています。
作品は、17世紀フランスが生んだ大喜劇作家、モリエールの生涯とその時代の人々の生活を浮き彫りにしたものになっています。製作は「愛と哀しみのボレロ」の監督クロード・ルルーシュ。監督・脚本は『太陽劇団』の主宰者アリアーヌ・ムヌーシュキンです。1977年1月から撮影を開始し、翌年に完成。この映画に参加したスタッフ、キャストの数は6000人、出演俳優は120人、新調された衣裳が1300点、組まれたセットが220で、戦後フランス映画史上もっとも製作費のかかった作品といわれている。なお、この作品は劇場公開とTV放映の両方が製作され、TVでは上映時間七時間のヴァージョンが放映されています。それでも、映画版でも国内公開版は235分、アメリカ公開版は260分の大作になっています。
さて、この作品クレマンシックが唯一作曲者として名を連ねている作品です。クレマンシックは指揮者であり、リコーダー奏者、クラヴィコード奏者、チェンバロ奏者、オルガン奏者という肩書きを舞っている通り、それらの楽器を駆使した楽曲をこの作品に提供しています。ルネ クレマンシックは70年代において、それまでの中世ルネッサンスの音楽の解釈をひっくり返すほど新しくダイナミックな演奏による アルバムを数多く発表していました。それは彼自身の音楽的な裏付けを持つ中東音楽の様子や即興的要素、またドラマチックな様子などが盛り込まれたもので、古楽界にはないかつてない新鮮な試みでした。それは、彼が担当したこのモリエールのサントラ盤も、今や名盤となった「カルミナ ブラーナ」などのアルバムを発表していた時期に録音されていることでも分ります。
スコアには、中世ルネサンスとバロックのスタイルが両方が交差するように取り入れられていますが、これはバロック時代においても、その前の時代の音楽は常に民族音楽として人々の間に伝承していたことに由来するのでしょう。ハルモニア・ムンディ・フランスではパニグワもそうですが、彼らの演奏はアカデミックな世界からは、しばしばし批判をあびたものです。たとえば、ここではバレエ曲を多く作作曲した17世紀のルリの曲一つとっても、よりパワフルで民族音楽なものになっており、まるでクラシックをベースにしながら、民族音楽の演奏に近いものを感じさせてくれます。このCDでも8曲目の「La Foire De Toulouse」などは中東のサントゥール奏者がリュートやパーカッションと共演したにぎやかなトラッド風の曲が盛り込まれています。次のシーンのバックに流れています。
ただ、映像の印象が強いので、映画では音楽の魅力は余り伝わって来ません。これを音楽だけで聴くとまた印象が違ったものになります。映画としては音楽が余り表に出ではいけないのですが、こういう音楽がきっちりと映像をもり立てていることをサントラは気づかせてくれます。
9曲目はリコーダーを用いた作品になっていますが、冒頭はまるでモリコーネの書く西部劇の音楽のような響きです。
映画では音楽が余り表に出てこない作品です。こういう時、サントラは威力を発揮しますね。