演奏曲目
1.ムソルグスキー 禿山の一夜
2.グリーグ ピアノ協奏曲
3.小野江良太 管弦楽のための前奏曲「リジラーレ」
4.グリエール 青銅の騎士Op.89a
アンコール
ドリーヴ/シルヴィアよりバッカスの行列
1.ムソルグスキー 禿山の一夜
2.グリーグ ピアノ協奏曲
3.小野江良太 管弦楽のための前奏曲「リジラーレ」
4.グリエール 青銅の騎士Op.89a
アンコール
ドリーヴ/シルヴィアよりバッカスの行列
〈指揮〉田久保裕一
〈ピアノ〉桃井加奈子
〈ピアノ〉桃井加奈子
2015年3月2日(月)開場17:45開演18:30
日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館) フォレストホール
日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館) フォレストホール
2日の夜は久しぶりに金山に繰り出し、NCM管弦楽団第8回定期演奏会を聴いて来ました。このオケは「名古屋音楽大学オーケストラ」とは違い「名古屋音楽大学オーケストラサークル」が自主的に開催している演奏会です。名ことでOBやOGが多数参加しています。授業の一環とは違うということでプログラムも柔軟性があり、今回は世界初演の小野江良太/管弦楽のための前奏曲「リジラーレ」も含まれるという意欲的なものです。前半はおなじみの曲ですが、後半は多分オーケストラコンサートでは名古屋では初めて演奏される曲目ではないでしょうか。この演奏会の整理券は県文のプレイガイドで配布されるということだったので正月にわざわざ出掛けて入手していたので、期待していたものです。
会場でプログラムを貰いメンバーを確認すると何とほとんどがエキストラという布陣なのにはびっくりしました。弦楽器を習う学生が少ないんでしょうかね。それでも、編成は本家の「名古屋音楽大学オーケストラ」よりも充実した弦楽編成で、コントラバスも5本と中々の陣容です。
1曲目は、昨年のサマーコンサートでも演奏している曲目なので手慣れたものだろうと安心して聴いていたのですが、ちょいと小さく纏まった演奏になりすぎていました。そんな中、後半で登場するクラリネットとフルートのソロが続く部分でやけにクラリネットが張り切っているなぁと、と聞き耳を立てると音がひっくり返ってしまいました。それも同じフレージングで2度続けてです。ちょいとイエローガードですな。まあ、オーケストラの試運転といったところで良しとしましょう。
2曲目はよく知られたグリーグのピアノ協奏曲です。ソリストも同大学のピアノ科出身の桃井加奈子さんとあって、息の合った演奏が展開されました。スケール感は余り感じられませんでしたが、よく動く指に支えられて正確なピアノタッチで曲の持つリリシズムを表現していました。惜しむらくは、そこにもう一つ大胆な表現が付け加わると一皮剥けた演奏になった様な気がします。楽章が進むに連れて、緊張感から解放されたのか第3楽章は少し余裕のあるタッチで、曲を楽しむ余裕が出て来たのかオーケストラとの対話を楽しんでいたように感じられます。
さて、休憩を挟んでの管弦楽のための前奏曲「リジラーレ」は作者がオーケストラの中でチェロを弾いていたことでも分るように、チェリストでありながら作曲もするというまだ20代の若者です。タイトルの「リジラーレ」はイタリア語で絵本や、小説、漫画などのページをめくる動作のことで、その先には未知の世界が広がっているという期待感が込められている言葉です。そして、前奏曲とあるようにイメージとしてはオペラのあらすじを辿るような曲想で進められていきます。イメージとしてはベルディのオペラの前奏曲のようなものです。ただし、小生的には静かな曲調で始まり、中間部には華やかな部分や複数の旋律線が次から次へと現れる様は、映画のサウンドトラックの音楽のように聴こえました。この曲はこのオーケストラの公募作品として2014年の10月に書かれたということでは、この演奏会が世界初演という事になります。まあ、普通のコンサートで初演に立合うことは滅多に無いので良い経験になりました。その演奏がYouTubeにアップされていました。
最後も耳慣れない作品です。ただし、吹奏楽でのシーンでは課題曲として取り上げられるなど近年盛んに演奏されている曲ということです。その吹奏楽版の楽譜が発売されるきっかけとなったのが、下のエドワード・ダウンズ/BBCフィルハーモニーの演奏によるCDで、1994年に発売されたものです。グリエールの作品としては「赤いけしの花」というバレエ音楽が有名で、小生もそちらはレコード時代から知っていましたが、この「青銅の騎士」というバレエ作品はこのコンサートで初めて知った口です。今回の演奏でも、プログラムでは単に青銅の「騎士Op.89a」と紹介されていましたが、実際には抜粋版の形で演奏されました。全曲は、1.序奏 2.元老院広場にて 3.広場での踊り 4.エフゲニー 5.パラーシャ 6.抒情的な情景 7.ダンスの情景 8.占い師 9.輪踊りとダンス 10.第2の抒情的な情景 11.ワルツ 12.嵐の始まり 13.偉大なる都市への讃歌という全13曲からなる作品です。
青銅の騎士』とは、ロシアのサンクト・ペテルブルク市の元老院広場に立つピョートル大帝の銅像のことで、グリエールはプーシキンの詩に霊感を受けて作曲したバレエ音楽です。序奏はワーグナーの「タンホイザー序曲」のようなホルンの勇壮な旋律で立ち上がるます。ついで、テンポの速い活気のある踊りを繰り広げる「元老院広場にて」へと続きます。こうして聴くと中々楽しい曲で、ものの本では「赤いけしの花」と双璧の代表作と言う評価がなされています。その割には、著名な指揮者による演奏は皆無で、僅かに過去にンナジ・ロジェストヴェンスキー指揮国立モスクワ放送交響楽団が検索出来た程度です。バレエ指揮者のアンセルメやボニンジ辺りも録音してなかったと思います。そう言うことではこれは、西側による最初の録音といってもいいのかもしれません。
最後はコラール風の「偉大なる都市への讃歌」で締めくくられます。金管が華やかに活躍する作品としては。吹奏楽向きなのかもしれません。ここでのダウンズの演奏は、序奏~元老院広場、ダンスの情景、輪踊りとダンスそして偉大なる都市への讃歌が収録されています。雰囲気だけでも感じられるのではないでしょうか。吹奏楽版で演奏し慣れているのか、指揮者の的確な指揮のもとオーケストラはこの日一番の楽しさでこの曲を演奏していました。
アンコールはバレエ繋がりということで、ドリーヴのバレエ曲「シルヴィア」より「バッカスの行列」が演奏されました。こけも単独の曲として演奏されるのは珍しい曲とあって最後まで楽しい演奏会でした。プログラムの最終面には次回の演奏会の告知まであり、来年は3月4日に第9回の定期演奏会が予定されているようです。