佐渡裕/ベト7 | |
交響曲第7番 イ長調 作品92
1.第1楽章 Poco sostenuto-Vivace 14:31
2.第2楽章 Allegretto 9:06
3.第3楽章 Presto:Assai meno presto 9:19
4.第4楽章 Allegro con brio 8:35
指揮/佐渡裕
演奏/ベルリン・ドイツ交響楽団
録音/2011/10/16 フィルハーモニー・ザール、ベルリン
演奏/ベルリン・ドイツ交響楽団
録音/2011/10/16 フィルハーモニー・ザール、ベルリン
P:フリーデマン・エンゲルベルヒト
E:マーティン・リッタウアー
EM:ジュリアン・シュエンカー
E:マーティン・リッタウアー
EM:ジュリアン・シュエンカー
エイベックス VCL25760

何とも贅沢なCDで、ベト7一曲で定価は税込み3,240円という価格がついています。まあ、ネットで買えば2,700円台で買うことが出来そうですが、それにしても高い買い物ですな。もっとも、最近は流行らない、SACDとCDのハイブリッド盤ということらしいですけどね。CDでしか聴かない人には余計なお世話の仕様です。なんとなれば、このアルバムハイレゾ音源でネットのダウンロードサイトでは、1944円という価格で販売しています。なんか矛盾してますなぁ。
それでも、佐渡裕氏の指揮するディスクはコンスタントに発売されて売れているようです。まあ、ポスト小澤に一番近いところにいる様な気がしますがいかがなものでしょうか。で、このディスクはベートーヴェンの交響曲第7番の一本勝負で挑んできました。ベルリンには、もちろんベルリンフィルという世界最高峰のオーケストラがあるわけですが、このベルリン・ドイツ交響楽団も侮れません。元々は1946年、西ベルリンのアメリカ軍占領地区放送局(英: Radio In the American Sector,独: Rundfunk im amerikanischen Sektor, 通称:RIAS)のオーケストラとして設立されたもので、初期は初代首席指揮者フェレンツ・フリッチャイが活躍し、名盤を多く残しましたし、その後改名したベルリン放送交響楽団となった時代にはロリン・マゼールが活躍していました。この頃のレコードは溌溂としてして好きですねぇ。一時低迷期がありましたし、最近では放送局翼下の別のベルリン放送交響楽団との合併問題もあり揺れましたが、2012年からはドガァン・ソフィエフが首席指揮者に就任してまたまた注目されそうです。
直近ではこのコンビでヘートーヴェンの交響曲第5番とシューベルトの交響曲第7番「未完成」との黄金のカップリングで発売され、それがまた英が「オーケストラ」のサントラ盤ということで話題になっているようです。このシリーズ、ベルリン・ドイツsoとのライヴ録音で進められるようです。このコンビでどこまで録音が進むんでしょうかね。楽しみでもあります。
ベートーヴェンの交響曲第7番といえば、「のだめ」ブームで一気にベートーヴェンの交響曲のなかでもメジャーな作品になりました。クラシックにもブームがあるんですなぁ。ブーム以降小生もどれだけこの曲を聴いたことか・・・・そのなかでも、この佐渡の演奏上位にランクされます。最近はオーケストラのレベルも上がっていますが、このCDを菊限りオーケストラは佐渡の棒にぴったりと付いていっています。オケの精度は高く、響きはさすがベルリンフィルのような重厚感は感じられませんが、それは録音ポリシーの違いによるものでしょう。
第1楽章は良く練られた演奏です。録音時佐渡氏は丁度50歳ですが、やや、鋭角的なアタックの強いフレージングでいわゆる男性的なアプローチを取っています。近代オーケストラの演奏としては、やや遅いテンポで開始しています。師匠のバーンスタイン/ウィーンフィルと殆ど演奏時間は違いありません。最近の演奏ではティーレマンが13分代半ば、ドゥダメルなんか11分台ですから、そのどっしりしたテンポの演奏だということが分るでしょう。ピリオド楽器による演奏はメトロノーム記号に準じて概して早い演奏が多いのでそういう意味では、このテンポは往年のテンポといえないこともありません。まあ、のだめの演奏がこんなテンポでしたかね。
そして第2楽章。もともとベートーヴェンの7番というとこの第2楽章が花でした。不滅のアレグレットと評されるぐらいですから、多分ヨーロッパの聴衆はこの楽章を一番注目したと思います。そして、そういう部分は指揮者も一番ポイントとしていたところでしょう。ここでも、ゆっくりとしたテンポで往年のクレンペラーやフルトヴェングラー並のテンポで丁寧に音を積み上げていっています。一つね不満があるとすればティンパニの音で、やや固めのマレットで叩かせているのですが、音が固いイメージでオーケストラ全体の音とはちょっと調和していないのかなと感じる点です。
そして、第2楽章とは対照的に第3楽章はオーケストラをスゥイングさせていることです。これにより、後半の2楽章は楽章が進むに連れてテンションが上がっていくことです。とくに、第4楽章は佐渡のエモーションの爆発といってもいいほどテンポが速くなり、多分リハーサルのときとテンポが違ったのでしょうか、必至にオーケストラが喰らい付いていくさまが目の前に浮かびます。そんなことで、少々アンサンブルは乱れる部分も散見されますが、熱気に覆い隠されるほどです。