心休まる「龍潭寺」 | geezenstacの森

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心休まる「龍潭寺」

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 今年の初詣の静岡への遠征。訪れるのは2度目でしたが、予備知識があるのとないのとでは印象はまるで違いました。特に龍潭寺はそんなに大きく無い寺ですが、井伊家の菩提寺という事もあって風格があります。井伊家は徳川四天王の井伊直政や大老伊直助を輩出した名門で、江戸時代は彦根藩の藩主として西の守りを固める重要な近江地方を任せられています。このため、この龍潭寺も彦根市に1600年(慶長5年)分寺が設けられています。

 其の本家のある遠州井伊谷は「井の国」とも呼ばれ、、浜名湖の注ぐ井伊谷川、神宮寺川の沿っての台地には縄文・弥生の遺跡、古墳が数多く残され、水にまつわる伝説も多いところです。この地の豪族が平安時代から戦国時代までの六百年にわたり当地方を治めた名門井伊氏の元祖でもあります。井伊氏は保元の乱で源義朝に、鎌倉時代には源頼朝に仕え、南北朝時代では御醍醐天皇皇子、宗良親王を迎え北朝と戦い武勲をなしています。このため、龍潭寺は宗良親王の菩提寺でもあります。寺は、天平5年(733)に行基菩薩によって開創されたと伝わり、禅宗となったのは室町時代末期、20代直平が帰依された黙宗瑞淵和尚を開山として迎えてからです。その後、遠州地方の臨済宗妙心寺派の法源となりました。また、室町時代に今川氏に仕え「桶狭間の戦い」で戦死をした井伊家22代直盛の戒名をとり龍潭寺と寺号を変えて現在に至っています。

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 本堂には、木像寄木作りの本尊を始め左甚五郎作の「竜の彫刻」や「恙(つつが)なしの彫刻」が天上隅にひっそりと飾られています。本殿は虎や竜の襖絵もあり中々見事です。また、井伊家の駕篭も展示されていて、初めてその中を覗く事が出来ました。御簾もあり、中々豪華です。

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 さすが井伊家の菩提寺とあって、左手奥には「井伊家霊屋」があり、中には元祖共保公、二十二代直盛公、二十四代直政公の木像が安置されています。入り口左手に井伊家系図がありますが、ここでは大老井伊直弼公は通常の扱いで位牌のみが祀られています。

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 本堂の裏手に広がるのが庭園です。ここには、小堀遠州作・龍潭寺庭園は、江戸時代初期に本堂北庭として築かれた池泉鑑賞式庭園があります。 中央に守護石、左右に仁王石、正面に礼拝石(坐禅石)が配され、更に池の型が心字池となっていて寺院庭園として代表的な庭です。数多くの石組みで、瀧・渓谷が表現され、鶴亀が表現されています。昭和11年国指定名勝に指定されています。庭園に面した回廊には、座布団が用意され座してじっくり鑑賞出来るように解説が流れています。部屋の隅には掛け軸も掲げられておりこころが落ち着きます。

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 庭の観賞の後は、茶室もある本堂の奥です。ここには寺の宝物が展示されています。以前訪れた時にあった井伊の赤揃えの武者姿こそありませんでしたが、加藤文麗作の富士の掛け軸や趣のある香炉、花鳥風月の襖絵なども飾られており、歴史を感じさせる寺を心行くまで鑑賞しました。

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 普通の寺は、総門から仁王門を通って本堂に至るのですが、この龍潭寺の仁王門は帰り道に配されています。裏側には狛犬が、正面には仁王像が伺えます。建立が新しいのでこういう方法になったのでしょうかね。

 拝観料は400円かかりますがそれに比する内容で、今回の静岡へ遠征しての初詣はここが一番印象に残った次第です。