ラヴィ・シャンカル・コレクション | geezenstacの森

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ラヴィ・シャンカル・コレクション
Disc1
・シャンカール:Raga Khamaj
 演奏:ラヴィ・シャンカール、Alla Rakha, Kamala Chakravarti
 録音:1967年4月25日、Studio 3, Abbey Road, London

・シャンカール:シタールとオーケストラのための協奏曲
 演奏:ラヴィ・シャンカール、アンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団
 録音:1971年5月29-31日、Studio No.1, Abbey Road, London

Disc2
・シャンカール:ラーガ・プリヤ・カリャン (Raga Puriya Kalyan)
・シャンカール:Swara-Kakali (based on Raga Tilang)
 演奏:ラヴィ・シャンカール、イェフディ・メニューイン
 録音:1966年7月3-4日、No.1 Studio, Abbey Road, London

・シャンカール:ラーガ・マラーア・ガーランド・フォー・ラーガズ(シタールとオーケストラのための協奏曲第2番)
 演奏:ラヴィ・シャンカール、ズービン・メータ指揮、ロンドン交響楽団
 録音:1982年3月23日、Kingsway Hall, London

Disc3
・シャンカール:モーニング・ラヴ (Based on Raga Nata Bhairav)
 ラヴィ・シャンカール、ジャン=ピエール・ランパル、Alla Rakha, Kamala Chakravarti
 録音:1976年8月19-21日、Boulogne Studios, Paris

・シャンカール:Prabhati (Based on Raga Gunkali)
 演奏:イェフディ・メニューイン、Alla Rakha

・Raga Piloo
 ラヴィ・シャンカール、イェフディ・メニューイン、Alla Rakha, Kamala Chakravarti

・Dhun
・Raga Ananda Bhairava
 演奏:ラヴィ・シャンカール、Alla Rakha, Kamala Chakaravarti
 録音:1967年12月 New York City

・テンダーネス (Tenderness)
・トワイライト・ムード (Twilight Mood)
 演奏:ラヴィ・シャンカール、イェフディ・メニューイン、Alla Rakha, Nodu Mullick, Amiya DasGupta
 録音:1976年4月2日、Studio A, Capitol Records, Hollywood

ほか

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 今年EMIから気になるセットが6月に発売されていました。「ラヴィ・シャンカル・コレクション」という10枚組のボックスセットです。なぜこんな時期にという疑問がありつつも、購入していました。しかし、この年末になってそのラヴィ・シャンカルが亡くなったというニュースを聞いて、このセットにはそんな伏線があったのかという気持ちになってしまいました。

 ラヴィ・シャンカル[1920-2012 ]といえばインド音楽の巨匠として有名で、一般にはビートルズに多大な影響を与えたアーテイストとして認識されています。確かにビートルズの「ノルウェーの森(ラバーソウル所収)」に使われたのがポップスとしては最初のようですが、民族楽器としてはそれ以前から知られていました。なんと、ラヴィ・シャンカル氏は1958年に既にインドの文化施設の一員として日本に来日しています。しかし、小生の場合はそういう認識は全く持っていませんでした。ビートルズを知る前に単純に民族楽器としてのシタールを知っていました。ということで、以前にはこのシタールを使用したジャズのアルバム「インド・ジャズ組曲」を紹介しています。なんと、このアルバム、ビートルズの「ノルウェーの森」よりも2日も早い録音なんですね。しかし、発売は「ノルウェーの森」の方が早かったということで上記のように認識されています。

 さて、そんな楽器のシタールを演奏するラヴィ・シャンカル氏ですが、このボックスセットではシタール協奏曲から和楽器やジャズとの共演も含むコレクションとなっています。ズービン・メータやプレヴィン、ランパル、メニューインなどとも共演、さらにはフィリップ・グラスにも大きな影響を与えるなど、クラシックとの接点もかなりあります。プレヴィン指揮ロンドン交響楽団と演奏したシタール協奏曲、メータ指揮ロンドン交響楽団と演奏したシタール協奏曲第2番などはシャンカル自身の作曲となる作品です。もちろん民族楽器としてのシタールもこのコレクションの中ではちゃんと披露されています。まず、クラシカルなシタール協奏曲第1番の第1楽章を聴いてみましょう。まあ、楽器も特殊ですから中々実演に接する機会は無いでしょうから、こういう音源は貴重です。


 アルバムとしてはこのボックスには含まれていませんがフィリッブ・グラスと組んだ「パッセージ」というアルバムが好きでした。これもオーケストラとの共演でしたが、グラスとシャンカルが曲を提供してのコラボ作品で弦楽オーケストラのまるで映画音楽の様なサウンドが心地いいです。今度はその中の「Ragas In Minor Scale」という作品です。この曲はグラスの作品で、短調の曲なのでミステリーのバックにはお似合いの響きです。


 ラヴィ・シャンカルは知らなくてもジャズ歌手のノラ・ジョーンズは知っている人もいるでしょう。彼女はシャンカルの娘です。もうひとり、父を次いだ娘シタール奏者のアヌシュカー・シャンカルもいます。そんなシャンカルはモントルー・ジャズフェスにも参加していますし、多くのジャズアーティストと共演もしています。ディヴ・ブルーベックの共演ではこんな「テイク・ファイブ」も残しています。


 日本のメロディさえシャンカルの手に掛かれば幻想の世界に変化してしまいます。曲は六段です。シャンカルの素晴らしいところはどんな音楽ともコラボしてしまう懐の広さです。


 民族音楽としてはかなりメジャーなバリのガムラン音楽はガムランの楽器群だけで音楽を成立させてしまいますが、シタールという楽器はタブラなどの打楽器類を必要とはしますが、それだけで自己主張する部分とハーモニーの中に溶け込む部分とがバランス良く存在することで、他の楽器とのコラボの可能性を持っているところが違う様な気がします。シャンカルはシタールのそういう部分を積極的に広く世界にアピールしたということで、成功したのではないでしょうか。ヴァイオリンのメニューインとのコラボも聴いていて何ら違和感はありません。曲はCDにも収録されている「Tenderness」です。


 最後はタブラとタンブーラの組み合わせの伝統音楽としてのシタールです。