東山植物園、最後は子供動物園の一角に設けられている「バラ園」です。名古屋には鶴舞公園や庄内緑地公園にバラ園がありますが、ここ東山にもバラ園がありました。各所のバラには少しづつ咲いている品種に違いがあるようで、あまりダブっていません。ここは、初夏のバラ園はまたイメージが違うかもしれませんが、この時期は全体に四季咲き中輪系のバラが多いように思いました。
最初は「パルメンガルテン・フランクフルト」1988年ドイツ作出のバラです。濃いローズピンクの中輪で半つる匍匐性です。写真のように開花に従い枝が垂れ下がり地面を覆うようになります。雨のせいではありません。ドイツの有名な同名の植物園「パルメンガルテン」にちなみます。パルメンガルテンは、直訳すると「ヤシ園」という意味のようです。

「ゴールデンボーダー」は1987年フランス作出の四季咲きの修景バラです。直立性でコンパクトな樹形です。小さな丸弁カップ咲きの花が、房になって咲きます。花色は黄色ですが、咲き始めは色が濃く、咲き進むと白に近いクリーム色になります。

1990年イギリス作出のバラは「ライラック・ローズ」です。秋の花はやや色が薄くピンク色をしていますが、初夏の花はもう少し紫がかっているそうです。日射時間の違いが花色に影響しているんでしょうね。

1992年ドイツ作出の「サティーナ」です。半八重咲きで、死や真の様な丸弁平咲きもあるようです。トゲが無かったら山茶花と間違えそうです。

「クィーン・オブ・スウェーデン」は2004年作出のイングリッュローズです。オールドローズとモダンローズを交配して作り出した新しい系統のバラです。花の姿や香りは優美でかぐわしいオールドローズそっくりですが、モダンローズの四季咲き性や耐病性をあわせ持っています。花名は、スウェーデン国クリスティナ女王と英国オリバークロムウェルとの間で結ばれた友好通称条約締結後350年を記念して命名されました。

「イントゥリーグ」は1982年作出のアメリカのフロリパンダ系のバラです。1984年AARS受賞作です。「はかりごと」という花名も雰囲気をよくあらわしています。強いダマスク系の芳香で、本来は深みのあるワインレッドの花色何ですが、秋の花はピンクに近いです。

1993年イギリス作出の「シャルロット」です。本来はクリームイェローなんですが、ほぼホワイトに見えます。ネットでは「シャルロット・オースチン」となっているものもありますが、後になって孫の名前を追加したようで同じもののようです。

1868年フランス作出の「ラ・フランス」です。フルーティーな香りが強く、ピンクの花弁は45枚とも言われ、幾重にも重なる大輪の花を咲かせます。なんでも、ハイブリッド・ティーローズ第1号のバラで、ラ・フランス誕生以前のバラを「オールドローズ」(Old Roses)、誕生以降のバラを「モダンローズ」(Modern Roses)と称しているそうです。バラの歴史に残る、名花中の名花です。

「浮雲」は1999年作出の日本のバラです。名前のように、フワっとした感じの花で、薄くて透けそうな感じでも、その性で、雨には弱くて、直ぐに花びらが痛んでしまいます。蕾の時は中心がオレンジ色をしていて、開花につれて純白に変わっていきます。 初夏の花は、ほんのりと優しいピンク色をつけてくれるものもあります。

作出年不詳のチャイナローズは「フンショウロウ(粉粧楼)」といいます。白系ピンク花種。ソフトピンクの淡い花色です。気候によってピンクの濃淡に変化が出ます。花弁数がとても多く、球形に近いカップ咲きから、ロゼット咲きへと変化します。花枝が細めで花が重いので、花はうつむきかげんに咲きます。この日は雨でしたから、さらに下向きになっていました。

「ジョセフィン・ブルース」は1949年イギリス作出のハイブリッド・ティー・ローズです。黒みを帯びた赤、ビロードような質感の厚い花びら、優雅なダマスク香とまさに「深紅の薔薇」のイメージそのものですが、秋の花色はやや赤みが強いです。

こちらのバラは「ロサンゼルス・ビューティフル」です。つる性のハイブリットティで、昭和46年3月、名古屋の姉妹都市であるロサンゼルスより送られた品種で、日本国内ではここ東山植物園でしか見られない、珍しい品種のバラだそうです。

「ジョン・F・ケネディ」はもちろん第35代アメリカ大統領の名を冠したバラです。1965年アメリカ作出のハイブリッドティです。ケネディ大統領の暗殺事件の後ジャクソン&パーキンス社が『ケネディ大統領に捧げるバラを』と申し出たところジャクリーヌ夫人は承諾しましたが『白薔薇にして欲しい』という条件を出したそうです、そして、選ばれたのがこの品種だったそうで、直立性の樹形の強健種で、ダラスの暑のような気候にとても強い品種として定評があるそうです。


バラには人の名を関したものがたくさんあります。このバラ園にも目についたものがいくつかありました。上は「プリンセスチチブ」と「プリンセス・アイコ」です。女性形はどうもピンクが多いですね。


続いては「クリスチャン・ディオール」と「ヨハン・シュトラウス」です。こちらは対照的で深紅系とホワイトピンク系です。

最後はちょっと毛色の変わった1947年アメリカ作出の「ホワイト・ウィングス」です。デリケートな一重平咲きのバラです。純白の花芯にチョコレート色の蕊がよく映え、大きな房咲きで花数も多いフロリバンダ的要素を持つ品種です。一輪を愛でるよりは景色として楽しめる品種です。大輪のバラでひときわ目立っていました。