これがイージーリスニング | geezenstacの森

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This is Easy

演奏.曲目/
1.Tony Hatch - Music To Watch Girls By 1:53
2.The John Schroeder Orchestra - Agent Double-O Soul* 2:29
3.The Button Down Brass Band - Shaft 3:15
4.Cyril Stapleton - Ticket To Ride 3:22
5.The John Schroeder Orchestra - Sunny 2:48
6.Tony Hatch - Light My Fire 2:30
7.Johnny Patrick - Call me 2:55
8.The Button Down Brass Band - The Odd Couple 3:17
9.The Button Down Brass Band - Everybody's Talkin' 2:57
10.Roy Budd - Pinball Wizard 3:26
11.Roy Budd - Matrimony 3:10
12.Paraffin Jack Flash - Norwegian Wood (This Bird Has Flown) 2:18
13.Tony Hatch - Mas Que Nada 2:02
14.The Button Down Brass Band - The Shadow Of Your Smile 3:52
15.Roy Budd - So Nice 3:04
16.Paraffin Jack Flash - (I Can't Get No) Satisfaction 2:43
17.Cyril Stapleton - She Loves You 2:19
18.Sounds Orchestral - Image 2:30

コンピュレート/1996 Sam Szczepanski

仏Castle Pulse PLSCD 777

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 日本ではさっぱり人気のないイージーリスニングのジャンルですが、好きだということもあって見つけると見境なく購入してしまいます。これもそんな一枚です。トニー・ハッチなんて今の日本では単独でCDが発売されるとは思えません。1曲目はそんな彼らのご機嫌なナンバーが収録されています。邦題は「恋はリズムにのせて」で、アンディ・ウィリアムス歌で知られています。オリジナルは1966年にペプシのCMソングとして作曲されたそうです。そんなことで、1967年にBob Crewe(ボブ・クリュー)がThe Bob Crewe Generationとして演奏した他、Billy Vaughn(ビリー・ヴォーン)やチャーリー・バーネット似のトランペッターであるAl Hirt(アル・ハート)などのバージョンもあります。ここではイギリスのトニー・ハッチの演奏が収録されています。彼はパイ・レコード所属の作曲家兼アレンジャーでありプロデューサーでした。1960年代は自身のオーケストラを率いて軽快で洒落たイージー・リスニング・アルバムを連発しました。これは彼の3枚目のアルバム「Beautiful In The Rain」に収録されています。このアルバムには13曲目に「マシュケナダ」も収録されていますが、こちらも同じアルバムに収録されています。また、6曲目のドアーズの代表曲「ハートに火をつけて」は1969年発売の「Brasilia Mission」に含まれていた曲です。

 

 このアルバムにはシリル・ステイプルトンの演奏も2曲収録されています。彼の名前を初めて知ったのはTVシリーズの「秘密指令S」のテーマ音楽でなかなかかっこいいサウンドを披露していたからです。でも、ここに収録されているのはビートルズアルバムのナンバーです。オーケストラとともにコーラスも配してイギリスのオーケストラらしく品良く仕上げています。下は「Ticket To Ride」ですが、「She Loves You」はちょっと品が良すぎて原曲のにぎやかさが失われているのが惜しまれます。

 

 ROYBADDの「Pinball Wizard(ピンボールの魔術師」)はなかなかパワフルなアレンジで楽しめます。原曲はギターのソロで始まりますが、ここはブラスサウンドでびしっと決めています。その後はエレキピアノサウンドで骨太に演奏していきます。好きなアレンジですね。そして、もう1曲収録されているのが「Matrimony/結婚」というギルバート・オサリバンの曲です。これはアルバム「Himself」に入っていた曲です。オサリバンのピアノリフが楽しい原曲ですが、ここでもエレピのファンキーはリフが楽しめます。こちらを聴いてみましょう。

 

 そうそう、ロイ・バットはジャズ・ピアニストでありながら映画音楽も書いていて、小生は1970年に公開されたキャンディス・バーゲン主演の「ソルジャー・ブルー」で初めてその名を知りました。大体がアクション映画主体ですが、豪快なメロディの音楽がおおく、小生は好きな作曲家でした。でも、日本では評価されませんでしたね。1993年に亡くなっています。このアルバムには15曲目に「So Nice」がしゅうろくされています。こちらは彼のピアノを前面に出したトリオの演奏です。これも聴いてみましょう。こちらはオリジナルは1970年発売の「Budd'n's Bossa」に含まれていました。

 

 すっ飛ばしましたが、2曲目の「サニー」を演奏しているジョン・シュローダーはイギリスのコンポーザー、アレンジャー、プロデューサーです。 彼は英コロンビアのノリー・パラマーのアシスタントを務めた後、1960年代にはパイレコードに移籍した独立してオーケストラを編成しました。この「サニー」はアルバム「SPACE AGE SOUL」に含まれていました。

 

 こういうコンピュレーションですから全く未聴のアーティストの演奏も含まれています。ボタンダウン・ブラス・バンドは知りませんでした。ここでも3曲演奏しています。確かにブラスセクションを中心にした演奏で「シャフトのテーマ」何かはギターのリフから真似ていて、なかなかパンチの効いたアレンジで期待以上の仕上がりです。それ以上に感心したのが、「おかしな二人」です。オリジナルのコメディの雰囲気を残した軽妙なアレンジで、ストリングスを使わずいい味を出しています。それら比べると9曲目の「うわさの男」はオリジナルがストリングスを生かした名曲だけに、やや違和感を覚えます。しかし、ピアノとブラスの組み合わせは面白い効果を生んでいます。ミュートの使い方も洒落ていてキライなアレンジではありません。当時の日本のイージー・リスニングのアレンジものはドラムセクションばかりを強調した金太郎飴的なものが多かっただけに、当時こういう演奏を聴いたら痺れていたでしょう。シャフトを聴いてみます。

 

 Paraffin Jack Flashについては全く知りません。検索するとローリングストーンズのカバー物のアルバムを発表しているようです。ここでも、「Satisfaction」が演奏されています。ギターとブラスがメインで、控え目にドラムスがサポートしています。ギターはなかなかファンキーでいい乗りの演奏です。


 最後に収録されている「sounds orchestral 」のイメージなんて曲はいい加減な演奏でYouTubeにはまさかこんなのはアップされていないだろうと思ったのですが、あるんですねぇ。びっくりしました。ピアノとストリングスのしっとりとした演奏です。wikiで調べて初めて分ったのですが、これはスタジオミュージシャンを集めたオケで、何と先のジョン・シュローダーとジョニー・ピアソンが中心になって組織したものだそうです。やけにピアノが目立つわけです。これは多分ジョニー・ピアソンが弾いているんでしょうな。てなことで、1964年頃から活躍していますが、1975年頃を境に「ジョニー・ピアソン・オーケストラ」に名前を変えています。道理で知らないわけですわ。こういう発見があるので、CD漁りは止められません。