
江戸の大川端にある小さな旅篭「かわせみ」。そこに投宿する様々な人たちをめぐっておこる事件の数々。その渦の中に巻きこまれながら、宿の若い女主人るいと恋人神林東吾の二人は、互いに愛を確かめ合い、次第に強く結ばれていく…江戸の下町情緒あふれる筆致で描かれた人情捕物帳。人気シリーズ「御宿かわせみ」新装版第一弾。---データベース---
いよいよ、平岩弓枝氏の「御宿かわせみ」の登場です。つい数年前までは時代小説、いや江戸時代そのものに全く興味が無かったもので、ドラマの「御宿かわせみ」は一度も見たことがありませんし、どういうストーリーなんかも全く興味がありませんでした。ま、時代小説を読み始めてもこのシリーズを読みたいとも思っていませんでしたが、先日アンソロジー版の第1話を読んだのがきっかけで、この作品に目覚めてしまいました。それで、いつにこの世界に飛び込んだわけです。昭和48年から開始されたシリーズで、中断はありますが未だに書き継がれ既に300話を超えていますし、文庫本ですら26冊出ています。まあ、長丁場にはなりますが、この世界をじっくり楽しんでいきたいと思います。文庫本では以下のものが発売されています。
1.御宿かわせみ
2.江戸の子守唄
3.水郷から来た女
4.山茶花は見た
5.幽霊殺し
6.きつねの嫁入り
7.酸漿は殺しの口笛
8.白萩屋敷の月
9.一両二分の女
10.閻魔参り
11.二十六夜侍の殺人
12.夜鴉おきん
13.鬼の面
14.神かくし
15.恋文心中
16.八丁堀の湯屋
17.雨月
18.秘曲
19.かくれんぼ
20.お吉の茶碗
21.犬張子の謎
22.清姫おりょう
23.源太郎の初恋
24.春の高瀬舟
25.宝船まつり
26.長助の女房
さて、シリーズのタイトルともなっている第1作。ストーリーは唐突に始まります。アンソロジーで読んだ時もびっくりしたのですが、「かわせみ」が宿屋を営んでいることは既に既成事実として始まっています。事件を通して、物語の背景人物模様が少しづつ明らかにされるという筋立てになっています。何も知らずに読み始めた人は少々戸惑うところでしょう。小生も、あわててWIKIや「御宿かわせみの世界」で人物関係を確認したしだいです。第1作は以下の8作品です。最初は週刊誌に掲載されていましたから、1話は30ページちょいというボリュームです。2.江戸の子守唄
3.水郷から来た女
4.山茶花は見た
5.幽霊殺し
6.きつねの嫁入り
7.酸漿は殺しの口笛
8.白萩屋敷の月
9.一両二分の女
10.閻魔参り
11.二十六夜侍の殺人
12.夜鴉おきん
13.鬼の面
14.神かくし
15.恋文心中
16.八丁堀の湯屋
17.雨月
18.秘曲
19.かくれんぼ
20.お吉の茶碗
21.犬張子の謎
22.清姫おりょう
23.源太郎の初恋
24.春の高瀬舟
25.宝船まつり
26.長助の女房
♦初春の客
長崎から連れてこられた女と黒い犬。東吾と源三郎が金座・銀座役人の不正に立ち向かう、ご存じかわせみの第1話。当初、神林東吾は(かんばやし)という読みになっていましたが、今では(かみばやし)になっています。いきなり第1話で異人(オランダ人)が出てくるということで、このストーリーの時代背景が遠回しに分るというせ定になっています。そう、この話は幕末なんですなぁ。長編の常として、背景の設定が時として変わることがあります。主人公の「るい」は発表当時の25歳から22歳に若返りますし、後には同心の正司家はここでは与力の家柄となっています。新版では大川の柳橋ということになっていますが、当初は豊海橋の袂から少しはずれたところというのが「かわせみ」の場所となっていました。矢印の当たりでしょう。
長崎から連れてこられた女と黒い犬。東吾と源三郎が金座・銀座役人の不正に立ち向かう、ご存じかわせみの第1話。当初、神林東吾は(かんばやし)という読みになっていましたが、今では(かみばやし)になっています。いきなり第1話で異人(オランダ人)が出てくるということで、このストーリーの時代背景が遠回しに分るというせ定になっています。そう、この話は幕末なんですなぁ。長編の常として、背景の設定が時として変わることがあります。主人公の「るい」は発表当時の25歳から22歳に若返りますし、後には同心の正司家はここでは与力の家柄となっています。新版では大川の柳橋ということになっていますが、当初は豊海橋の袂から少しはずれたところというのが「かわせみ」の場所となっていました。矢印の当たりでしょう。

東吾が深川の宴席で見た女は毎度かわせみに違う男とやってきた辰巳芸者でした。嘉助の娘の安産祈願のお札をもらいに水天宮にお参りしたるいに、「出来たのか?」東吾がたずねますが、まだまだ二人の間に子供は授かりません。辰巳芸者が登場するということで、伊三次シリーズの「お文」を思い浮かべてしまいます。しかし、ここで登場する「千代次」には哀しい結末が待っています。
東吾が狸穴(まみあな)の稽古場に出かける途中で見かけた仲睦まじい初老の夫婦。そして、かわせみに逗留している年若い武士と供の女中。仇討ちの絡んだ糸を東吾と源三郎が解きほぐしていきます。
大雨の夜、かわせみに宿を求めた父と娘ですが、男は足に怪我を負っていました。その夜から江戸の町に旅籠ばかりをねらう押し込みが出没します。東吾はかわせみの警護と称しておおっぴらにかわせみに泊まり込むようになります。しかし、怪我をしたこの男、仲間割れした盗賊の一味でした。番頭の嘉助はそれを察知し、後を老います。嘉助はもとは岡っ引きだった男で追跡はお手の物ですが、この時は孫を連れていました。
ものもらいになり目医者に行った帰り、るいとお吉は首くくりの老女を助けます。しかし、その老女には自殺する理由が思い当たりませんでした。女は伊勢屋という質屋の母親でした。この伊勢屋の主人半兵衛は妻と使用人の駆け落ちで独り身になっていましたが、妻の行方は不明のままです。そして、店の倉には変な噂があります。常廻同心の畝源三郎はこの倉を改めることにします。
「かわせみ」で預かった大百姓の娘おすがは夜中に寝ぼける癖があります。何でも秋の代々木野で知り合った侍に一目惚れし、その侍を探しに江戸へ出て来たのだそうですが、その男はなんと東吾だったのです。あ、るいとの間はどうなるのやら・・・。ここでは畝源三郎が絶妙の一手を打ちます。
かわせみの泊まり客の五十両が紛失します。客は神奈川宿の旅籠「はとり屋」の夫婦で、娘の結納金を返すために所持したいたものです。そして泊まり合わせた若い男はちょうど五十両持っていました。ために男は捕縛されます。しかし、男には50両の所持を明かせない理由がありました。るいは老夫婦のために金の工面の算段をしますが、東吾は真相を探りに男の身請け人を訪ねます。
シリーズには珍しい男と女のいとなもが描かれます。佐原から江戸へ出てきた大店の新婚夫婦は、取引先の挨拶のために「かわせみ」に逗留します。しかし、その「かわせみ」に芸者のおもんが怒鳴り込んで来す。どうも、若旦那の方に問題がありそうです。やがてその若旦那とおもんが心中してしまいます。夫の漏らした「玉屋の紅」という言葉で新妻はすべてを悟ります。