ぼくらのテレビ塔 | geezenstacの森

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ぼくらのテレビ塔

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 名古屋テレビ塔は1954年6月に完成した日本で最初の電波塔なのです!このテレビ塔に18日に出かけて来ました。地元に住み、テレビ塔と同じ年に生まれながら、恥ずかしながら今までテレビ塔を訪れたのは一度しかありませんでした。それも、記憶にあるのは幼稚園時代の事で、娯楽施設の少なかった当時としてはテレビ塔は大人気でした。そして、長い行列の末やっと入場したのはいいものの、トイレに行きたくなって、ほとんど何も見ないままにそそくさと出て来てしまってという記憶しかありません。そんな事でテレビ塔は近しい存在ではあったのですが、どうもイメージがよく無かったのが今まで寄り付かなかった原因なんでしょうなぁ。

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 アナログ放送が終了し、電波塔としての役目を終了した名古屋のテレビ塔が、今年初めて「なごやの公園スタンプラリー」というイベントにあわせて無料公開されたのが、この18日でした。東京タワーはテレビが地デジ化された現在もラジオの電波は送信しているのに対し、名古屋のテレビ塔はラジオの電波は送信していなかったので、今は全くの失業状態です。そんな事で収入を断たれたテレビ塔にお客を呼び込もうという施策の一環として今回無料公開されたのでしょう。

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 映画「ALWAYS三丁目の夕日」が描いていた、東京の人々が伸びゆく東京タワーを見ていた頃、すでに名古屋には天にそびえるテレビ塔がとっくに完成していたのです。東京タワーの完成は1958年12月だから、4年半も早いことになります。設計者は内藤多仲さん。塔博士といわれた氏はこの名古屋テレビ塔を筆頭に札幌テレビ塔(1957)、東京タワー(1958)と次々と設計していきます。そうそう、大阪の通天閣(2代目)も氏の設計ですが、さすが大阪人。同じ設計者でも、他とは違うデザインを依頼し面目を保っています。

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 まあ、名古屋のテレビ塔にも「東京タワー」と「さっぽろテレビ塔」には真似できない特色があります。答えはタワーの色です。これは航空法51条および51条の2により地上60メートル以上の塔や煙突は赤白塗装(昼間障害標識)が義務付けられているのですが、テレビ塔は同51条の制定(1960年航空法改正時に追加された)前に完成されたという理由、名古屋テレビ塔株式会社初代社長の神野金之助の抵抗、最上部に航空障害灯を設置したことで切り抜けています。そのため完成当初から銀色塗装となっているのです。ちなみに、東京タワーとさっぽろテレビ塔は見た目はちょっと野暮ったい紅白のカラーリングです。塔のルーツはパリのエッフェル塔ですが、3兄弟の中で一番元祖に近いのがナゴヤのテレビ塔という事が出来るでしょう。

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イメージ 6 もう一つ、名古屋のテレビ塔には、他にはない特色があります。それは塔の真下を地下鉄が走っているという事です。1965年に開通した名古屋の地下鉄「名城線」が総重量3,300トンのテレビ塔の真下を南北に貫いているんですね。このような例は国内に無く、もちろん世界でも初めての試みでした。元々の設計が「塔の直下に地下鉄を通す」ことを条件に建設されたため4本の脚部は深さ6mまでしか埋め込まれておらず、将来の地下鉄工事に備えるためにだるま式構造と呼ばれる4本の脚を鉄筋コンクリートのアーチで結合して固め重心を下げる工事も行われていました。そのため、施行に際してはテレビ塔が沈下しないように地盤の補強と無振動で杭を打ち込む方法や、トンネルの構築にあたっても天井から先に作っていく「逆巻き工法」などが採用されたという事です。今日のトップのテレビ塔の写真はその地下鉄の久屋大通駅の出口から見上げたものです。

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 無料開放といってもそこは平日、地元の当日の新聞の市民版に告知はされていましたがそれほど混雑はしていませんでした。地上から3階へは通常は無料で上がれます。そこで展望室(90m)のあるエレベーターに乗り換えます。これが、500円の料金なんですね。3階には現在はレストランがあります。また、4階にはテレビ塔の歴史を紹介したギャラリーとお土産ショップがありますが、ここからはあまり景色を見る事は出来なくなりました。

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 展望室に着き、エレベーターを降りると目の前にハートマークのオブジェがあります。このテレビ塔のハグスポットは日本ハグ協会が認定した第1号のスポットなんです。何と展望台にはハグをするパターン、4パターンの足型が床に描いてあります。まあ、ハグは一人では出来ませんから、ぜひとも愛する人と出かけてみてください。そして、ハグした後は同じ栄えにある町中の観覧車でチューするのもいいでしょうなぁ。

 
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 さて、テレビ塔のある栄地区はまだまだ高層の建物はないですから90mのスカイデッキから見る眺望は中々のものです。この360°のパノラマ風景はまだまだ得難いものがあります。そうそう、スカイデッキの上には地上100mのスカイバルコニーもあります。

 観光名所の乏しい名古屋にはテレビ塔は得難い観光スポットなのですが、テレビ塔本来の役目が終ってしまった今後の維持・改修には莫大なお金が必要です。東京タワーと違って、観光地として入場料収入だけでやっていくことは困難で、解体・撤去の可能性が取り沙汰されているのが現状です。 展望室を見る限り若者に的を絞ったデザイン、レイアウトになっています。現在は民間施設ですから文句を言う筋合いではありませんが、ちょっと子供たちが行ってみたいと思う施設とはかけ離れてしまっているような気がしないでもないです。名古屋では科学館が人気の施設となっていますが、子供の心をとらえる事が出来ないような現状では、厳しいことを言いますが先が見えないのではないでしょうか。